2008年12月29日月曜日

映画『戦艦ポチョムキン』、クリティカル・エディション

小気味よいテンポでカットが挿入される、サイレント映画の傑作。僕はサイレント映画というのは、音がないから退屈するのだと、漠然と誤解していた。どのアングルから、どの方向から光の入った、どのくらいクローズアップした、どんな表情をしたカットを何秒挿入するのか、そんな「編集の妙技」と言ってしまえば陳腐この上ない一言に内包される感覚の鋭敏さが、映画にはきっと必要なのだろうな、と思わされた。

「圧政に虐げられた民衆が立ち上がる」というのを、いわゆる共産主義のプロパガンダだというのは簡単なことなのだけれど、高く掲げられる赤旗が星条旗で、字幕がアメリカ英語だったりして、細かな設定が「アメリカ仕様」だったらどうだろう。案外アメリカ人達は、「民主主義の勝利だ」と叫んで喜ぶんじゃないかと思ったりもする。大恐慌時代、アメリカのクラシック音楽にはナショナリズムが勃興した一方で、外ではマルクス主義に裏打ちされた労働運動も盛んになっていたのではなかっただろうか。いま若者の間で日本共産党を支持する人が増える一方で、日本全体が右傾化している。何となく歴史的に繰り返しているところもあるのではないかと思ったりもする。

2008年12月23日火曜日

映画『風とライオン』

音楽=ジェリー・ゴールドスミス。アラブもの映画音楽というと、『アラビアのロレンス』のを担当した、モーリス・ジャールが確立したステレオタイプなハリウッド・アラブ系音楽の呪縛というものはあるんじゃないかと思ったりもする。でも、ゴールドスミスくらいの大御所ならば、それもない、というのはひいき目過ぎるだろうか。打楽器がリードするという点では、確かにジャールの『アラビアのロセンス』が一つの規範だろう。ただ、甘美でノスタルジックな旋律はここには見出せない。そういう要素は、ジャール時代のハリウッド全体に要求された、いわゆる一般の人が漠然と「映画音楽」という言葉から想像するスタイルの一つだったんだろう。一方のゴールドスミスの旋律にノスタルジーはなく、ヒロイズムがある。

米軍の歩兵隊が宮殿を占拠しようという場面。行進や隊列の合図としてドラムが使われている。そして宮殿平定時には米国海兵隊の公式マーチ《忠誠》が使われていて、このスーザの行進曲がとても好きな私は、アラブ人たちの殺戮場面の後に《忠誠》が流れるという一連のシーンは、ひどく心が傷む。ところでこの《忠誠》という曲を、あの映画の設定で使うのは、時代考証的に正しいのだろうか? あるいはそれよりも、《忠誠》という曲が持つ象徴、ドラマ的な意味合いの方が、時代考証よりも優先されるということなのだろうか?

この場面の音楽の使い方というのは、いかにも征服者の音楽という感じがして、実に心地が悪い。そういう感情を引き起こす意図が、あそこにはあったのだろうか? あるいは国際感覚に欠けたヤンキーの一部が自分たちを「誇り」に思うことを見越しているのだろうか?

一方ショーン・コネリー率いる一団が「神への歌」を歌う場面があるが、たしかイスラムでは音楽と宗教は切り離すというのが常識となっていると思う。別に僕はゴールドスミスをくさそうとは思わないし、むしろ彼の音楽があったゆえに、あの映画が引き立っていると強く思うのだけれども、やはり多少民族音楽学をかじったが故に、イスラム社会と音楽との関係が気になってしまうのである。コネリーがアラーに祈りを捧げる場面がないのは、彼自身がイスラム教徒でないのであれば当然なのかもしれないけれど、それでは衣装以外に、彼のアラブ人としてのアイデンディティは、どう示されているのだろうか? これもまた気になるところである。

ところで『風とライオン』には2枚組のサントラ盤も出ている。スコアが映画にでた順番にすべて1枚のCDに収められ、かつてLPで出ていた時の形式による編集が2枚目に収められている。この2枚目には、軍楽隊の太鼓、スーザの《忠誠》の一部など、ソース・ミュージックも収録されている。

2008年12月20日土曜日

2008年12月16日火曜日

ドルリュー映画音楽集

Le Cinéma de Georges Delerue. Universal 531 263-0 (6CDs).

ドルリューの映画音楽を集めたもの。網羅的に概観し、一つの映画に1〜2トラック、テーマ音楽や有名どころのスコアを収録している。ライナーは、生前ドルリューと交流のあった人たちによる証言集となっている。

心の中にこだまするような印象的なフレーズがあったり、軽妙なリズムに一抹の寂しさがあったり。素直だからこそ訴えかける、多層的な感情表現をしみじみ味わいたい。

「映画音楽のような現代音楽」という言い方があるけれど、実際それは、どんなものなのだろう。映画音楽はイージーリスニングなのだろうか? ドルリューのテーマ音楽の中には、いわゆるイージーリスニングの音楽様式を彷彿とさせるものがあるが、必ずしも旋律が明確でない時もあるし、聴き流すにはあまりにも主張の強いものもある。

一つ一つの具体的作品ということになると分からないけれど、ドルリューの音楽に影響された、日本のテレビ主題曲は、かなり多いのではないだろうか?

2008年12月15日月曜日

最近入手した本

奥野宣之『情報は1冊のノートにまとめなさい』Nanaブックス

僕は情報集めのノウハウ本は結構好きなんだけれど、実際に買ったのは久しぶり。25万部突破とあるけれど、僕が賛同できる部分はある。例えば発想したことを、すぐそのままノートに書き留めるまでのハードルをできるだけ低くしておくことなど。

実は以前にノートをテーマごとに分けたことがあって、そうすると、アイディアを書く適切なノートが見つかるまで、思いついたことを覚えておかなければならないということが起こる。この記憶を保持することが、かなりしんどい。電話が入ったり、別の何かが起こると忘れてしまったりするものだ。だから1つにまとめておくというのは一つのやり方だと思う。

この本のもう一つのキーは、ノートに時系列に書いたメモを、パソコンを使ってデータ管理するということ。これは僕のCD-R管理法と似ている。僕は自分の所有するLPやエアチェック・カセットをCD-Rにしているんだけど、このCD-Rにはずっと通し番号をつけている (作った順になっているといってもいいだろう) 。そして、そのCD-Rのデータは、作曲家・演奏家で出せるようなデータベースにしている。といっても、究極的には作曲家や演奏家、おおよその曲名とCD-Rの番号がきちんと対応していることが大切で、対応関係さえちゃんとやっておけば、細かなデータがDB上になくとも、かなり有用に使えるというのが実感だ。マックのSpotlightのおかげで、テキスト形式のデータベースでも、かなり検索が楽になり、Excelを使ったDBにしなくてよかったなあ、と思う次第。

ただ、本の内容に戻ると、アイディアを即座に書くということに賛同はするものの、例えば印刷資料を折り曲げてノートに貼付けるというのはかなり面倒だし、その貼り付けたページの裏にメモを採るのがイヤだったりする。貼り付けた箇所とそうでない箇所に、段差ができてしまうからだ。また、チラシやらCDのライナーなどは、やっぱり、これまで通り、フォルダーに入れておきたい。要点をまとめる時の3 x 5カードも手放す気になれないしねえ。

まあ、だから、この本で学んだ事は、やはりアイディア・ノートは1つにして、常にそれを活用すること。そのアイディアをまとめる場合は、テーマ別ノートの活用も悪くないということなんだろうと思う。アイディア・ノートから情報を引き出せるような、上記CD検索のようなDBを作るかどうかは、検討課題だな。

この本には、その他にも、いろいろ面倒な方法がいろいろ書いてあって、おそらくこの本に書かれていることを忠実に実行して失敗する人もいるんじゃないかと思う。ようするに、自分なりにカスタマイズできるかどうかってところが最終的に重要なんだから、一つの参考という風に考えればいいんだと思う。

レッカ社 『アニメ×アニソン101連発—いつだって“星屑ロンリネス”と口ずさんでいた』ソニー・マガジンズ新書、2008年

QRコード付きでアニメの音楽本ということでは、僕のディズニー本と重なるところがある。でも中身は僕らの世代が楽しんだアニメ作品の紹介8割以上+アニソンのコメント2割以下という感じ。アニソンの歴史を知ろうという人向けではないように思う。アメリカでは最近ディズニー・レコードの歴史の本が出たようだ。そちらも早急に入手してみたいところだ。

2008年11月30日日曜日

面白そうな本

1960年代のサンフランシスコ・テープ・センターを題材にした本が出たようです。しかもDVD付き。 The San Francisco Tape Music Center: 1960s Counterculture and the Avant-Garde https://amzn.to/49DuJL0

2008年11月28日金曜日

きょうの1枚

・John Frusciante. Niandra LaDes and Usually Just A T-Shirt. American Recordings.

アコースティック・ギターを弾きながら歌うという基本的なトラックを中心にして、そこに加えられるディズトーテッド・ギターやうめき声という構成か? (ピアノのトラックもあったかな?)。それぞれの楽曲が自由に作られ、そして、それぞれの魅力を放っている。しかし、最初から第2パートを想定して弾いている楽曲も少なくなくて、結構凝ってるんじゃないかという印象も持っているのだが、本当はどうなのだろう。自分で録音したテープをそのまま集めた感じだけれど、抵抗は別段ないし、それで充分伝わってくる。Untitledとされている後半の楽曲は、タイトルのついているのよりも、さらに「素材」的になっているんだけれど、こういう才能を持ってる人だと、そのまま録音して足しただけでも、楽曲として、魅力あるものになってしまうのだろうか。

これを聴いた後、『ダークサイド・オブ・ロック』のフルシアンテ (フラシャンテ?) の箇所を読み返してみた。アーチストに興味があって、すでにCDを聴いた人が、アネクドートとして楽しむのかもしれないけれど、そんなに「狂っている」っていう感じに聴こえなかったのも、僕の正直な実感だ。声のうめきみたいなものは確かに入っているけれど、なぜかスピリット的には『ジョン・レノンの魂』の延長線上に聴こえるんだな。

もっとも、僕は前衛音楽みたいな、本当にクレイジー (?) な音楽を知っているからこそ、そう思ってしまうだけなのかもしれない。

2008年11月18日火曜日

きょうの1枚

子供のマーチ アーサー・ウィノグラード指揮ロンドン・ヴィルトゥオーゾ管弦楽団 日本コロムビア (Audio Fidelity) WS-3051-AF (LP) (c) 65・6


収録曲:シューベルト/軍隊行進曲、ベートーヴェン/トルコ行進曲、メンデルスゾーン/僧侶の戦争行進曲、チャイコフスキー/くるみ割り人形の行進曲、グリーグ/こびとの行進曲、エルガー/行進曲威風堂々、ピェルネ/鉛の兵隊の行進曲、グノー/マリオネットの葬送行進曲、イッポリトフ=イヴァーノフ/酋長の行進、プロコフィエフ/行進曲三つのオレンジへの恋

スーザを待たなくとも、クラシックには親しみやすい行進曲があるものです。その中には、子どもたちが、ぱっときいて楽しめる、程よい長さのものもあるのでしょうね。上記の選曲には、なるほど「くるみ割り人形」や「鉛の兵隊」など、子どもたちが身近に触れるおもちゃの世界がある訳ですが、全曲が「子どもむけ作品」というわけではないようです。

それよりも、このLP、なかなか良い演奏でした。ウィノグラードはジュリアード四重奏団のチェリストだった人で、このAudio Fidelityというレーベルに、指揮者としての録音を多く残していたのですね。大人の方でも、手軽にクラシックを楽しむ1枚となりそうです。こういう地味な音源もCDになるといいのですが。

2008年11月3日月曜日

上京の記録

10月25・26日、日本音楽学会@国立音大に出席のため上京した。立川のホテルが宿泊先。前日の24日に東京入りし、某氏に会う。なんでも自宅にあるLPレコードを処分したいとかで、その場でテキトーに、欲しいものをかたっぱしから段ボールに入れてきた。送料6,000円強を僕が持つにしても、うれしい内容。古いとはいえ注目は、例えば『音による音楽史』全10巻。これはOxfordの西洋音楽史 (旧版) の準拠レコードとしてRCA Victorからリリースされたものの国内バージョン。僕は以前、古賀書店で第1巻〜第3巻の解説書が一冊の本になったものは入手していたし、単発ではいくつか米盤を持っていた。

意外な発見としては、ハール・マクドナルドの《子供の交響曲》を外山雄三が東京都交響楽団と録音したもの。おそらくアメリカではモノラルの自演 (Columbiaの10インチ) くらいしかないので、貴重だと思う。Carol Ojaのディスコグラフィーにも、当然載っていない。

ホテルに戻り、夕食の時間になった。ホテルから電車で20分くらいの所に妹が住んでいる。せっかくなので立川まで出てきてもらい、二人でグランデュオ6階のCAFE AL GRAZIEへ行った。ピザがめちゃめちゃおいしかった!

http://www.granduo.jp/tachikawa/floor/indexfl.asp?Floor=6&ID=102

学会初日は、多摩モノレールに初めて乗った。完全におのぼりさん状態。玉川上水の変わり様に腰を抜かす。前に来たのは、もう15年も前か。駅の下に見えるお墓の数、家の数。拝島線のホームも拡張され、完全に浦島さんになりました。昔はなーんにもなかったのになあ。

研究発表は中身の濃いものが多く、ほんとうにみなさんよく調べておられるものだと感心し、私自身の不甲斐なさを思い知ることに。中にはギャラリーから厳しーいコメントをもらってる人もいたけれど、AMSもタラスキンとか怖〜い人がいるからなあ。

アカデミア・ミュージックのコーナーでは、Hさんと談笑。ヨーロッパの学会でDouglass Seatonに会ったとか、一時同僚だったSiegwald Reichwaldが本を出したとか (懐かしの顔がカバーに載っててびっくり) 、わが母校の情報をいただいた。

懇親会では、国音のHさんが、僕の書いたアンダーソン記事を、ご同僚の方がご覧になったという話。図書館でも企画展示をしてたらしく、そのためのパンフを書くのに苦労されたとかで、僕の記事がもうちょっと早くでていればと言われてたとか。

http://www.lib.kunitachi.ac.jp/tenji/2008/tenji0807.pdf

でも、これを読むと、とても詳しくまとめられているではないですか! とりあえず「よろしくお伝えください」と申し上げた。また東北大で私の学芸時代の師匠のもとで博士をやっておられる方から、その師匠の近況と、その学生さんの博論の現状などをお聞きする。そのほか、知人にあいさつなど。

学会2日目は、今大会の目的の一つでモートン・フェルドマンの発表を聞きに、9時30目指してホテルを出たつもりだったのだが、玉川上水駅からは早足でなんとか間に合ったという感じ。もっと早く出ればよかった。以下、ひとりごと。

武満徹がフェルドマンの音楽をミニマリズムの文脈で述べている。一つの捉え方だろう。いっぽうでフェルドマンはそれを明確に否定する。それはなぜなのか、というところから始めるというのがいいのだろうか。そもそも作曲家たちは「ミニマリズム」という言葉からして気に入らないのだし、ライヒとの関連でない方法を探るのもいいかもしれない。ラ・モンテ・ヤングのストイシズムだって、反復しないミニマリズムなのだし。

パターンによる反復というのは、実はかなり文字通りの反復だけれど、音楽であれをやると、とてもつまらなくなる気もする。以前グラスのドキュメンタリーを観てたら、繰り返しているようで絶えず変化しているのが演奏者にとって難しいということが語られていた。

反復技法と作曲家が考えている? (ライヒ) /いない? (フェルドマン) というのと、実際に生まれてくる音楽がパルス上の厳格な反復 (ライヒ最初期)、加算式から拡大解釈される反復音楽としてのミニマリズム、ミニマリズムと決別していると主張しながら、それっぽい音楽を直感的に書く、そんないろんなものが、結構複雑に絡み合ってんじゃないかなーっていう主張だったのかも。フェルドマン自身が唱えるミニマリズム否定の言葉と、実際我々が聴取するものの間にあるものは何だろう、なんて考えてしまうんだなあ。

夕食前に、お茶の水DU、新宿タワー、新宿DUでお買い物

・Bach. The Organ Works. Helmut Walcha. Archiv.
・Bach. The Art of Fugue. Musica Antiqua Köln; Goebel. DG.
・Original Works for Theremin. Lydia Kavina. Mode.
・Cage. Works for Percussion, Volume 5. Amadinda. Hungaroton.
・ハイドン 天地創造 ガーディナー Archiv国内盤
・Adams. Doctor Atomic. Opus Arte DVD
・Beethoven Sym. 3 BPO; Kerajan (30 April 1982). Sony DVD.
・Stockhausen. Helicopter String Quartet. Medici Arts DVD.
・Feldman. Durations; Brown, Music for Violin, Cello, and Piano etc. Time LP.
・伊藤淑 アメリカ・アメリカ Victor国内盤LP

夜は八重洲地下街にあるタイ料理。鶏挽肉のバジル炒めのせごはんに大満足! うまかったー。

http://r.gnavi.co.jp/g501109/

いつものように、東京駅20:12発の新幹線+ほくほく線・北陸本線で帰宅。

2008年10月22日水曜日

最近聴いたもの

・Das Goldene Lied: Weltbekennte Folklore aus 11 Ländern mit dem Fred Schercher Chor. MPS 14268 St (LP).

おそらく前の所有者のものなのだろう、「ドイツのパーダーボルン (Paderborn) 市の音楽教師より 授業で使っていたのを贈呈されたもの。各国の民謡を扱っているので 教材として使っているとの事」と、ジャケット裏に鉛筆書きがある。

収録作品をリストアップしておこう。

Die Waldschenke (W. Kummer)
Die kleine Schwalbe - La Golondrina (N. Sarradell/P. Kaegbein)
Oh, Susanna (St. C. Foster/P. Kaebein)
Von Luzern uf Weggis zue (Volksweise/Welker)
Mein grünes Värmland - Ack Värmland (Volksweise/P. Kaegbein)
Ungarland - Ha jö a Nyár (2 Volksweisen/P. Kaegbein)

Bella Bimba - La Vinanella (Welker/Kaegbein)
Ein kleines Lied - Londonderry Air (Volksweise/K. G. Breuer)
Ich hab' eine Blonde - Après e ma Blonde (Welker/Kaegbein)
Grün war dein Sommerkleid - Greensleeves (Volksweise/P. Kaegbein/P. Martin)
Kirschblütenzeit - Sakura (Volksweise) Sopran-solo: Anne-Rose Seuffert
Lili Marleen (N. Schultze/H. Leip)

いずれもア・カペラによる合唱で、充実した響きは確かに技術に支えられている。そして、俗っぽくもなく「高尚」すぎでもなく、楽しくきけるのが特徴か。《さくら》は、まずソプラノ独唱が日本語で歌い、コーラスがドイツ語で続けるというもの。《グリーンスリーヴス》のドイツ語版というのも、はじめて聴いた。

2008年10月18日土曜日

最近買った音楽書

・富樫鉄火、石本和富、橎堂力也著、『一音入魂! 全日本吹奏楽コンクール 名曲・名演50』、河出書房新社

実際にコンクールに乗せようと考える時、どれくらい参考になるかわ分からないのだが、コンクールの「伝説的名演」や様々な騒動、特定の作品が有名になった背景などに触れられているところが、吹奏楽をやっている連中にアピールするのだろう。吹奏楽以外の人間であれば、アレンジものに見る選曲が、いわゆる「大作曲家・名曲」と違うことを実感するだろうし、オリジナル作品については、アマチュア合唱同様、独特の世界があることが分かると思う。

僕も中学・高校と、吹奏楽部でホルンを吹いていたので、このジャンルには親近感を感ずる。

最近第2弾も刊行されたようで、こちらも入手したいところだ。

・田中健次著、『図解 日本音楽史』、東京堂出版

以前、音友からB5版で出てたものの改訂増補版。前々から買おうと思っていたが、ようやく決心がついた。一冊で、ここまで幅広く日本の伝統音楽をコンパクトに概観できる本というのは、そうそうないと思う。巻末の文献表も、とても有益ではないだろうか。

・山崎智之、中野和洋、川嶋未来著、『ダークサイド・オブ・ロック』、洋泉社

殺人、悪魔崇拝、ドラッグ etc. ロック・アーチストにまつわる暗黒面にスポットをあてた著作、ということか。複数の書き手によるため、アネクドート中心になったり、楽曲のテーマが中心になったり、時代背景と絡めたりと、切り口はさまざま。

・クライヴ・ロビンズ著、生野里花訳、『音楽する人間:ノードフ--ロビンズ創造的音楽療法への遥かな旅』、春秋社

DVDが付いているというので、つい買ってしまった。もっと音楽療法についての入門書も読んでおくべきなのかもしれない。

・石間万範著、『オカリナ物語:土塊 (つちくれ) の音色』、ショパン

オカリナというと、どうしても一人でさみしく吹いているという偏見があったりする。でも、この本を読むと、ハーモニカ・バンドじゃないけれど、アンサンブルで吹いたりしてたんですね。付録CDには《トルコ行進曲》なんかも収録されています。すごいです、これ。

2008年8月23日土曜日

最近観たもの、聴いたもの

・メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ホ短調 (第2楽章後半〜第3楽章)  ヤッシャ・ハイフェッツ、 トーマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 日本ビクター SD-3 (78 rpm)


http://amecla.main.jp/music-files/mendelssohn-side6.mp3
(上記音声ファイルは、ノイズがすごいです)

僕の音楽の原点っていうのは、いろいろあると思うのだけれど、クラシック系から辿ると、ここだったんだろうな、という1枚。といっても、聴いていた当時は、クラシックやらポピュラーやらという、うるさいジャンル用語などは知らなかったし、協奏曲だのハイフェッツだの言っても、何のことか分からなかったと思う。それに、もともと第5・第6面のディスクしかなかった。第5面が「ここで終わるのか!」という人もいるのかな。

祖父が骨董屋で仕入れてきたレコードの1枚で (祖父は小5の時に亡くなったので、それ以前に聴いたのは間違いない。「黒ねこのタンゴ」と書こうとした落書きがあるので、小学校前じゃないかなあ) 、このほか、メニューインの《スプリング・ソナタ》第1・第2面、日本語による (演奏者は忘れてしまった) 《女心の歌》《乾杯の歌》があった (後者は落として割ってしまった) 。

《女心の歌》は「風の中の、羽のように」がデフォルトで、オリジナルを聴いた時に、不思議な違和感を感じたのを覚えている 。

ちなみに表紙も傷んでて、ビクターのロゴの横には関係ないシールも貼ってしまった (^^;;

ちなみに、MP3にしてみた思い出の「メンコン」はCDになっている。ノイズがなくて、とても聴きやすいけれど、何かしらよそよそしさを感じてしまうから、不思議なものだ。




・Ella Fitzgerald: Something to Live for. 14 February 2000 (GPTV).

フロリダにいた頃に録画したもの。CATVはジョージア州の公共テレビ放送も観れたってことかな。DVDにもなっているようだ。フィッツジェラルドの生涯を追うドキュメンタリー。歌唱の映像も、いいですねえ。晩年、糖尿病で両足を切断したっていうのは知らなかった。

・プロコフィエフ ピーターと狼、黒柳徹子 (ナレーター)、ロリン・マゼール指揮フランス国立管弦楽団、DG国内盤 (+ブリテン《青少年のための管弦楽入門》)

LPの初期盤 (確かチューリップ・レーベル) だと、オケの表示はフランス国立放送管弦楽団になってました。そして指揮者の読みも「ローリン・マーチェル」 (^^;; また、ブリテンの方は、小山田宗徳氏のナレーションが入ってましたが、CDには入っていません。ナレーション付き版で演奏したものにナレーションが付いていないというのは、録音としても珍しいのではないかな? ちなみに黒柳徹子の語り (声が若い!) は絶品です。

・Arthur Foote, Music for Cello and Piano. Douglas Moore, cello; Paula Ennis Dwyer, piano. Musical Heritage Society MHS 4108 (LP).

Musical Heritage Societyっていうのは、いわゆるレコード・クラブで、私も一時期、オリジナル音源が欲しくて入ったのですが、私が入ったころはオリジナルもなく、メジャーの音源を、白黒印刷の、ちゃっちいジャケットにして発売するものばかりで、途中で解約しました。電話の対応がぶっきらぼうで、よい印象がなかったなあ。ああ、それでも米国海兵隊軍楽隊の10CDボックスなんかは買ったな。

・『夜のスクリーン・ミュージック』 NHK-FM、1983年3月26日、4月2日エアチェック

関光夫がDJをやっていた、映画音楽専門の番組、最終回とその前の回を録音したもの。『幻魔大戦』って懐かしいなあ。

僕の前後の世代で、この番組を経由して映画音楽に興味を持つようになった人は多いんじゃないかな。いわゆる主題曲だけでなく、劇中音楽もかかったりもした。最後の2回はリクエスト・アラカルトなので、関さんの話も淡々としているけれど、やっぱり名調子。「やあ」とさりげないあいさつ。嫌味にならないのは、才能だなあ。

2008年8月20日水曜日

ルロイ・アンダーソン (『レコード芸術』9月号)

20日に発売された『レコ芸』9月号に、ルロイ・アンダーソンの特集があります。生誕100周年を記念した特別企画で、私も執筆させていただきました。本屋さんや図書館で、ご覧いただけると幸いです。

2008年8月4日月曜日

ハール・マクドナルド:子どものための交響曲

米Columbia、10インチLPで出ていた音源がNaxos Music Libraryで聴けるようです。Naxos.comやAmazon.comで調べてみたんですが、CDにはなってないのかなあ?

9.80507
McDONALD, H.: Children's Symphony / BRAND, M.: The Wonderful One-Hoss-Shay (Harl McDonald, Ormandy)
http://ml.naxos.jp/?a=9.80507

古い録音では、これも面白そう。

9.80158
ケイ:ケークウォーク組曲/グールド:組曲「フォール・リヴァーの伝説」(オーマンディ/ミトロプーロス)(1952)
http://ml.naxos.jp/?a=9.80158

以下も珍しい曲が満載ですね。

9.80118-19
パノラマ・オブ・アメリカン・オーケストラル・ミュージック(コーン)(1955)
PANORAMA OF AMERICAN ORCHESTRAL MUSIC (A) (Korn) (1955)
http://ml.naxos.jp/?a=9.80118-19

2008年7月10日木曜日

読書記録2

O'Toole, Patricia. Shaping Sound Musicians: An Innovative Approach to Teaching Comprehensive Musicianship through Performance. Chicago: GIA, 2003.

読み始めです。てっきりComprehensive Musicianshipの最新の理論が書いてあるのかと思っていたのですが、CMP (Comprehensive Musicianship through Performance) にもとづいたノウハウ本のようです。しかも吹奏楽、合唱、学生オーケストラのリハに伴う諸活動としての位置づけ。アメリカは、たしか通常のクラスから音楽は外されているんだし、こういうのが現実的な内容となるんでしょうか。

しかし、単に音符を誰かの指示に従って演奏するのとは違うっていうのは分かります。ホルストの吹奏楽のための第1組曲のシャコンヌ組曲の主題の特徴をつかむための活動や、歴史学習などがあったり、曲の展開を分析する活動なんかもあるんですね。

この本の内容は、例えば日本でも吹奏楽や合唱の顧問をやってる先生には参考になるのかもしれません。ちなみに実例として最初に挙げられているのは、ホルストの第1組曲 (吹奏楽)、ヘンデルの《ハレルヤ・コーラス》(合唱)、モーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク 》(オーケストラ) です。

2008年7月9日水曜日

読書記録

Elliot, David J. Music Matters: A New Philosophy of Music Education. New York: Oxford University Press, 1955.

今日の昼にアメリカのアマゾンから届きまして、午後から夕方にかけて、流し読みしました。とても面白い本です。

静的な音楽作品だけが音楽ではなく、それが即興的に生まれるプロセスも音楽であるし、アクティヴな聴取活動も音楽に含まれるのだというのが主な主張でしょうか。民族音楽学の人からすれば当然のことだろうけれど、著者デヴィッド・エリオットの師匠のリーマーなど、従来から考えられてきた「作品」に美的価値を見出す考え「だけ」では、人間の「行為」としての音楽、文化としての音楽を考えることはできないということですね。

このほかにも色々な話題に触れていて学ぶことや目を開かれることも多く、要点を述べるために具体的な想定事例を引いたりして難しいことを簡潔に述べているという点でも、好感を持ちました。

多文化主義のアメリカでは、こういうアプローチで音楽を考える必要性が増してくるような気がします。


2008年6月21日土曜日

Smithsonian/FolkwaysのMP3/FLAC

スミソニアン・フォークウェイズ (http://www.folkways.si.edu/) のLP音源がMP3とFLACの2つの形式で配信されているのはご存知だろうか。以前ここは、カスタムCD-Rを作成するという形での販売を行なっていて、CRIレーベルもこれに続いている。

でもオンラインだと、目的のトラックだけがダウンロードできるし、あのブックレット型のライナーはPDFファイルになっているというのだから、とても便利。このライナーはトラックをダウンロードしなくても見られる。

さっそく南米・民族音楽のトラックを5つ購入してみた (例えば http://www.folkways.si.edu/albumdetails.aspx?itemid=1503) 。フルアルバムじゃなくてトラック5つなら値段も全部で700円くらいだし、いいですね、これ。MacのiTuneはFLACに対応していないんだけど、Toast TitaniumでCD-Rに焼くことが可能だ。ダウンロードしたファイルは「Download Manager」にあるんだけど、特に回数制限とかは書いていない。ないのかな?

CDになってない音源には、例えば、第2次大戦中のプロパガンダ・ソングを集めた、下記のものがあります。"The Sun Will Soon Be Setting" ってタイトルは "Rising Sun" に引っ掛けたんでしょうね (残念ながら、この音源についてはダウンロード販売をしていないようです) 。

http://www.folkways.si.edu/albumdetails.aspx?itemid=499

2008年6月19日木曜日

最近の記録

2008年6月12日木曜日

今週のFM放送、夜7時半のライブは海外オケ特集なので、とりあえず全部録音している。火曜日のブロムシュテットの回をCD-Rにした。

聴いているもの

・Friction, "Zone Tripper"

のっけのタイトル曲からI, V, VIの3つのコードのみ。ただし I のリフは、構成音の種類が3通りかな。


2008年6月13日金曜日

友人から借りているカセットを聴く。マリー・シェーファーの《ミニワンカ》 (田中信昭/ひばり児童合唱団)、近藤譲《島の様式》(演奏者不明)、ジェームス・テニー《エオリアン・モードで》 (アーク・アンサンブル+近藤譲 [pf] ) と、詳細不明の作品が一つ。

FM放送、今日は《ツァラトゥストラ》を録り逃した。ショック。

聴いたもの

・Syria: Sunnite Islam. EMI Italiana 3C 064-17885 (LP).

観たもの

・American Indian Dance Theatre. PBS "Dance in America" ("Great Performances") (VHS).

アメリカ先住民の踊りの様子はYouTubeでも随分多く観られるようだけれど、やはりこの番組は面白い。先住民族の文化を守り伝える、そしてハリウッド映画ではなく、本物の踊りと音楽。ドラミングはひどく単純だけれども、ハリウッドの「インディアン・ドラミング」とは明らかに違う。「男たちの華麗な踊り」は大した見せ物にもなると思う。

もちろんこのドキュメンタリーでツアーをしている人たちは、新しい伝統といえる人たちなのだし、文脈と切り離された、つまりフィールドではないパフォーマンスとしての先住民の踊りなんだろうけど (一部パウワウの映像は挿入されている)、それだけに我々先住民の文化を知らない人間にも強く訴えかけてくる。


2008年6月17日火曜日

届いたもの

・ カール・ベーム ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1975年日本公演 (NHKエンタープライズ、DVD)

シンクロ技術ってすごいですねえ。2枚目のリハーサルの最初の部分、これが有名なベーム流? って感じです。リハ後の舞台の様子が長々と残っているってのもすごい。資料的価値が高そうです。

・Heart of the Forest (Ryko)

バカ族の「ピグミー」の音源はいくつか聴いたことがあるんだけど、ウォータードラム (手のひらを水をすくう時の形にして、それを水の水面に向けて叩き付け、ドラムのような音をだす演奏法、でいいのかな?) の音を探していたんですよ。昔NHKの番組で紹介されていたのとは違うんのですが (あれはEMIかなんかのLPのはず。欲しい〜)。

全体としても、とても雰囲気の感じられる素晴らしいディスク。


2008年6月18日水曜日

『ローリング・ストーン』誌1990年11月号に掲載されたバーンスタインのインタビューを読む。家にシンクラヴィアが持ち込まれて、エンジニアがいろいろ操作方法とかも教えてくれて、いやいやトライしてみたんだけど、クリック音に合わせて演奏するのが大変。クオンタイズもできなかったのか、ベートーヴェンの《悲愴》ソナタ第2楽章を弾いたのに、出来上がった楽譜はアイヴズみたいだったって書いてあった (笑) 。《ウエストサイド》のキャスト盤で、米コロンビア社が財政的にも救われたっていうのは知らなかったなあ。「マリア」の増4度なんて歌えないっていうのが当時の一般的な見方だったっていうのも、なるほどねえ。

・Marin Alsop Records Latest Installment of Roy Harris' Complete Symphonies ("Naxos")
http://www.naxos.com/news/default.asp?op=453&displayMenu=Naxos_News&type=2

オーソップのハリスの交響曲全集、5番と6番を録音したようです。個人的には、10番以降が早く聴きたいところ。


2008年6月19日木曜日

聴いているもの

・ケン・イシイ Sleeping Madness

サンプリング技術が発達するようになると、いわゆる「打ち込み音楽」もアコースティックっぽく聴こえるようになるんだろうか。といっても、もちろんデジタル経由のアコースティック音なんだろうけど。

ところで、こういうヴォーカルを乗せたくなるような音楽が最初にメインストリームにでるようになったのは、ディスコからなんでしょうかね。

2008年6月7日土曜日

ワルターのシューマン、チャイコフスキー

・Bruno Walter in America with Toscanini's Orchestra. NBC SO; Bruno Walter, cond. Grammofono 2000 AB 78525.

シューマン4番+チャイコフスキー5番で、1940年録音。無理にエコーをかけたりステレオ効果を出したりしている。この方が良いっていう人もいるのかな?

個人ブログで取り上げている人にはえらい評判が悪い。チャイ5の第4楽章、ソナタ主部のテンポがやたらと遅いけど、コーダ部が迫るとぐいぐいとテンポを上げたりしてて、ストコフスキーみたいだなあ、なんて思ったりもする。ただストコフスキーのような華麗な響きよりも、太く朗々とした鳴りを大切にしているとは思う。

一方のシューマンは、オーケストレーションにかなり手が加えられている。太い鳴りに加えて、明るさが増した感じだ。「シューマンはオーケストレーションがうまくなかった」というのは、私は中学生のころ、NHK-FMで諸井誠さんがラジオ番組で話していたので覚えているが、実はそのシューマンを聴いて、特にオーケストレーションに問題を感じたことがないというのが本当のところだ。ロイ・グッドマンとザ・ハノーヴァー・バンドの録音を聴けば、余計にそう思ったりもする。

このCDに収められている2つの作品の、一般に漠然と考えられているテンポ設定やフレーズの作り方を離れられないと、ワルターの2曲の演奏が風変わりに聴こえる可能性はあると思う。評判が「悪い」というのもうなずける。ただ、表現に対する飽くなき欲求に圧倒されたので、私は満足している。モノラル時代のワルターって、やっぱり野心的な感じがして、面白いですね。

2008年6月6日金曜日

最近の記録

2008年6月4日水曜日

聴いたもの

・Ives, Pre-First Violin Sonata (Allero Moderato). Eugene Gratovich, violin; George Flynn, piano. Finnadar 90023-1 (LP).

仰々しいエンディングです。

・Yun, Isang. Symphony No. 2. Filharmonic Pomerska Bydgoszcz; Takao Ukigaya, conductor. CPO 999 147-2.

ヨーロッパの人々が日本の現代音楽に「日本らしさ」を求めるように、ユン・イサンに「韓国らしさ」を求めるのは間違っているのだろうか?

・Daniel Bortz. Dialogo 3; The Elegier. Mats Persson, piano; Stockholm Chamber Choir; Eric Ericson, conductor. Phono Suesia PS CD 24.

・Bartok, Violin Sonata No. 1. Gidon Kremer, violin: Yuri Smirnov, piano. Hungariton 11655.

バルトークはWGBHのエアチェックより (1993.10.6.) 。このアナウンサーは、レーベル名を「ハンガリトン」と発音してる。クレーメルとフンガロトンっていうコンビネーションは他にもあったのかな?


2008年6月5日木曜日

聴いたもの

・Duke Ellington. Harlem. Detroit Symphony Orchestra; Neeme Jarvi, conductor. WCRB, Boston, 10/6/1993.

シャンドスのCDにも録音があるけれど、これはライブ収録の放送。アナウンサーによると、スクリーチ・トランペット (screech trumpet) と呼ばれるハイ・ノート専門に吹くトランペット奏者を加えて演奏しているんだそうだ。曲が終わっての反応が「ブラボー」じゃなくて「イエーイ」っていうのがナイス。アメリカですねえ。

・Visions and Miracles. Ensemble Alcatraz. Nonesuch.

Cantigas de Santa Mariaがまとめて聴けるアルバム。アルフォンソ10世が収集したのだとか。トルバドゥールやトルヴェール、ミンネジンガーも同じような楽器編成や歌唱法で歌われているような気がします。単旋律聖歌と同じように、『聖母マリアのカンティガ集』も旋律だけが記されているはずなんですが、こういう風に想像力を豊かにして演奏できるってことですね。むかしフロリダの大学院で記譜法を勉強した時に、現代譜にtranscribeしたことがあったなあ。

・Fruhe Musik in Italien, Frankreich und Burgund. Telefunken (LP).

トレチェントの音楽、ヴィルレイ、シャンソン、パリの劇場歌など、バラエティに富んだ楽しい曲集。バンショワのDe Plus en Plusは名曲。


2008年6月6日金曜日

聴いたもの

・J. C. F. Fischer. Le Journal de Printemps: Suite No. 2. L'Ensemble Orchestral de L'Oiseau-Lyre; Louis De Froment, conductor. Editions de L'oiseau-Lyre OL 50136 (LP).

モノラル録音で、ピリオド楽器から考えると、なんとも古めかしい演奏ですが、作品の概観をつかむ、ということでしょうか。このLPにはムファットも入ってます。リュリ風組曲がドイツに流れて、オーケストラ音楽も発展、という流れなんでしょうか。

2008年5月28日水曜日

最近の記録

2008年5月25日日曜日

中古で購入したナカミチZX-9で、ボストン時代にラジカセで録音したボストン・ポップスの音源を聴いてみる。え、かなり生々しいんだけど! びっくりしました。他のデッキで録音したものにしても、解像度が格段に良いですね。特に古楽系、合唱ものに強い威力を発揮します。


2008年5月26日月曜日

騎馬民族には3拍子の音楽があり、農耕民族には2拍子の音楽がある、などと小泉文夫は言っていたけれど、例えば典型的な馬のリズムを使ったギャロップという種類の音楽は3拍子ではない。パカラン、パカラン、パカラン、は2拍子だ。

日本のお坊さんが唱える「南無妙法蓮華経」は、明らかに3拍子ではないだろうか。「南無阿弥陀仏」「南無阿弥陀」なども3拍子になることがあるのでは?

3拍子の音楽は日本固有ではないのに《ふるさと》が日本の歌の代表に考えられているのも不思議な話だ。


2008年5月27日火曜日

今日は高岡に行ったので、この近辺に置いてないCDを2枚、図書館から借りてきた。『東京ビートニクス』 (ビクター音産) 収録作品には、ラテン・ブームからロックへのシフトが聴けるようだ。《バットマン》の訳詞には爆笑してしまったが (^^;;

今度の週末は、石川県立音楽堂で《あまんじゃくとうりこひめ》を聴くつもり。


2008年5月28日水曜日

聴いたもの

・Friedrich Kalkbrenner, Grande Sonate Brillante, Op. 177 in Ab Major. Adrian Ruiz, piano. Genesis GS 1016 (LP).

古典的なフレーズ感を崩さないようにし、しかしながら走句を挟みたがる欲求を抑えきれない、という涙ぐましいバランス感覚を感ずる。「無理してるなー」というか。

2008年5月23日金曜日

上京しました

上京したのは久しぶりかな。21日 (水) の昼に東京入りして、2人の編集者と面会&会食。実に有意義な時間でした。現在進行中のプロジェクト+次のプロジェクトについて話しました。世の中、意外なところから意外なところにつながっていくものだと改めて実感。新刊もいただき、うれしい限り。

夜の7時から初台のオペラシティでライヒの新作《ダニエル・ヴァリエーション》と《18人の音楽家のための音楽》。新作はなぜか《砂漠の音楽》を思い出させました。《18人》の方は名作ですし、その評価は今回の演奏でも確認できたのですが、ところどころ、フェイズ・シフティングしているところは、あれは楽譜通りなのか、あるいは単なるルーズさなのか、分からないもどかしさがありました。それでも空間をハーモニック・リズムや音色、音域のコントラストで微妙に支配したり、時々線的な動機がそこここに現れてメリハリがついていたり、最後まで飽きさせずに聴けるのは、やはりライヒが演奏者としての能力を持っていたからなのだろう、と感じさせるものであったと思います。正直スタンディング・オヴェイションがあそこまで派手に起こるのは、日本では初めての体験でしたけれど。

22 (木) は、神田神保町→お茶の水で本やCDを仕入れ、妹と渋谷のスタバで待ち合わせして、渋谷西武地下2階でランチ。ノルブネという韓国料理店にて、私はブルダックを食べました。確かに辛いんですが、とても心地いい感じです。その後、渋谷タワーで若干の買い物をして、東京駅へ。サンマルクカフェでチョコクロワッサンを食べながらだべり、夕食はねぎし八重洲店にて牛タンを食いました。久しぶりの牛タンはうまかった。

帰りの特急電車は黒部から魚津の間で踏切の故障があり、15分ほど遅れましたが、一応11時40分くらいには帰宅したと思います。疲れたー。

2008年5月20日火曜日

パッサカリアとシャコンヌ

かなり前のことだけど、「パッサカリアとシャコンヌはどう違うのか」という問いがmixiのマイミクさんの日記に出ていた。実は私も新潟大学でこの2つを楽式論の時に勉強して以来、もっていた疑問。当時はパッサカリアをバッハのオルガンのパッサカリア ハ短調 BWV. 582から、シャコンヌを無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番から学んでいて、当時の先生の説明ではパッサカリアは旋律重視、シャコンヌは和声重視の展開とされていたけれど、いろんな例を聴くと、そうでないのもあって、結局分からなくなる。音楽事典などには、それぞれの用語の由来は書いてあっても、音楽語法の明確な区別は書かれていない。

今日もたまたま八尾の図書館からバッハのオルガン名曲集を借りてきたんだけど、このCDのライナーノートだと、「二つの形式の間に、はっきりとした区別はなく」と書いてありますね。まあ解説として書くのであれば、こう書いておく方がはっきりしていいんだろうし、事実そうなんじゃないかと思うんだけど、どうだろう。

僕はマックス・レーガーのニ短調のパッサカリアも好きだなあ。Peter Hurfordの2つの盤 "Romantic Organ Music" "Romantic Organ Music Vol. 2" 、いまは組で出てるのね。むかしレギュラー盤で両方買いました。で、YouTubeでレーガーのを検索したら、面白い映像が上がってますねえ。

レーガー 序奏とパッサカリア ニ短調