2026年5月5日火曜日

高橋アキ・プレイズ・フェルドマン@神奈川県立音楽堂 (感想メモ)

高橋アキ プレイズ フェルドマン
モートン・フェルドマン生誕100年を祝って
2026年5月2日、神奈川県立音楽堂 13:10開場、14:00開演
13:30 プレトーク 高橋アキ×柿沼敏江(音楽学)
 モートン・フェルドマン(1926-1987):
《ピアノ》
《トライアディック・メモリーズ》
《バニータ・マーカスのために》
《マリの宮殿》

とても有意義な4時間弱のコンサートでした。特に印象に残ったのは、《トライアディック・メモリーズ》(1981) です。最初に演奏された《ピアノ》(1977) よりも運動性があり、メリハリがあります。ピアニズムはもしかするとシューベルトに通じるところがあるのでしょうか。反復と楽想の切り替えの絶妙なバランス。丁寧で程よい加減。そして「最後はその音で終わってくれるといいんだが」という感じで終わってくれる、そんな完璧な作品と演奏でした。もちろん《ピアノ》の訥々とした流れにも魅了されてはおります。

正直なところ《バニータ・マーカスのために》(1955) に関していえば、僕と波長が合わないといいますか、きっと良い作品なのだと思いつつも、完全に没頭できないところがあります。狂気ともいえる反復(譜めくりの人も戸惑ってしまうような)が、逆に、おそらく凄みなどだろうけれど、もっと変化が早く訪れてくれることを期待しているのだろうと思ったりも。もちろん演奏に不満はないし、こういった作品がフェルドマン後期の醍醐味であると頭ではわかっていても、身体反応として受け付けないところがあったのも正直なところでした。ただそれも含めての貴重な体験だったことは間違いないです。しかし…例の弦楽四重奏曲第2番などは、修行のようなものに感じてしまうのでしょうか???

最後に演奏された1986年の《マリの宮殿》は、それに比較すると、自然にすっと入ってくる身近に感じられる作品。技巧的にもバニータマーカスよりもやさしいということでですが、それでも大変なものだとは思います。

それにしてもフェルドマンと言うのは、先にも後にも彼に連なる存在がいない唯一の人であるということが改めて分かりました。高橋アキさんは、真剣にアンコールの作品を探していたそうだが見つからなかったとおっしゃってました。しかしほとんどの聴衆はこの4曲を聞いて十分に満足できたのではないでしょうか。歴史的コンサートになるという事前の触れ込みもありましたが、本当にその通りでした。同じ横浜市内でこういったコンサートが楽しめるのは、本当に嬉しいです。

会場には、現代音楽に強い親しみを持つ人が多かったのではないかと推測します。顔見知りの人も何人か見かけました。会場40分前くらいに音楽堂に到着しましたが、すでに列ができていました。

先に入った方は前の方から席を取られていたようでした。フェルドマン作品は弱音を多用するということで、一番前から座られていたのだとは思いますが、僕はもう少し後ろのほうに座りました。(確か10列目)。せっかく県立音楽堂なのですから、ホールの響きもともに味わいたいと思ったのでした。

終演18:00予定ということでしたが、10分ほど早く終わりました。




Pauline Oliveros Papers (ポーリン・オリヴェロス・アーカイヴ資料)

カリフォルニア大学サンディエゴ校にあるポーリン・オリヴェロス関係の資料、日本からアクセスして読めるものもありますね。

2026年5月4日月曜日

ヘレン・フォレスト+カーメン・ドラゴン楽団によるメドレー

archive.org をカーメン・ドラゴンで検索して出てきた音源ですが、ヘレン・フォレストの歌声がなかなか良いです。

HELEN FORREST WITH CARMEN DRAGON AND HIS ORCHESTRA (聴きやすい)

HELEN FORREST WITH CARMEN DRAGON AND HIS ORCHESTRA (雑音多し)
 

フォレストについては、以下に参考となる情報がありました。
歌と歌手にまつわる話 (229) ヘレン・フォレスト voice of the big bands

2026年5月3日日曜日

ソニー・ヴァレンティン (テノール)によるトスティ、ベッリーニ、スウェーデン歌曲集

Tosti, Bellini & Romances from Sweden. Sonny Wallentin, tenor; Rolf Lindblom, piano. Proprius PROP 9937 (LPレコード).

おそらく声楽を専攻していた大学学部時代、上京した際に購入した1枚ではないかと思います。石丸電気本店3階で購入かなと。トスティの歌曲目当てに買ったんじゃないかと思います。トスティといえば、カレーラスのCDもリリースされて買ったのですが、オーケストラ伴奏だったというのが(なぜか)残念だと思ってしまったりもします。

スウェーデンのテノール、ソニー・ワレンティンは、北欧音楽院に在学中の1981年5月、ストックホルムの郊外のウルリクスダル宮殿劇場コンフィデンセンにて、ベッリーニの《夢遊病の女》のエルヴィーノ役として鮮烈なデビューをしたようです。ライナーノーツによると「歓喜に沸く観客の拍手は止むことを知らず、批評家たちも同様に…称賛する筆を止めなかった」を留めなかったとのこと。音楽院を出てからは1983年、ストックホルムのフォーク・オペラでヴェルディの《エルナーニ》が上演された際、ワレンティンは主演として歌いました。再びライナーノーツから引用すると、夕刊紙『エクスプレッセン』のカミラ・ルンドベリは「イェムトランド出身のこの遅咲きのテノール歌手は、今やスカンディナヴィア随一の『イタリア系』テノールとして本格的に頭角を現している。その声は美しく豊かで流麗、何の制約も感じさせない…」と評価したそうです。

ただ、ワレンティン氏はいわゆる「遅咲き」の人で、エルナーニを歌った時はすでに34歳。声楽の道に専念したのは1979年になってからで、スウェーデン国鉄の機関車整備技術者としての職を休職した時だったといいます。

その後、1984年、ストックホルム歌劇場に新監督ラース・アフ・マルンボルグが就任した際、彼はワレンティンの名を知り、即座に彼を団員に迎え入れます。そしてシーズンの幕開けに、ソニーはケルビーニの《メデア》でジャゾン役を演じました。

この録音は、《エルナーニ》でメジャー・デビューを果たした直後の録音ということになりそうです。


2026年4月29日水曜日

小林正樹『日本の青春』(アマプラ)

アマゾン・プライム・ビデオ (有料)

武満徹が音楽を担当しているということもあって、小林正樹の『日本の青春』を一度観たいなあと思っていたら、なんとアマゾンのプライム・ビデオで観られるようになっていて驚きました。確かDVDにもなっていないのに…。

僕が観ようとした時点では★が1つというカスタマーレビュー(本文なし)があったのですが「それはないだろう」と思いました。結果、やっぱり観て良かったです。

タイトルの「青春」って、ああそっちにもかかっていたのか、というのが一つ、そして現在でも2つの青春が微妙に入り乱れるというか。映画評論なんかはできやしませんが、良い台本ですね(あ、まだそこでフラッシュバック使えるのね、的に)。そもそも「戦中派」がリアルな時代。狐狸庵先生の原作も読んでみなければ、と思いました。

2026年4月27日月曜日

新入生向けゼミの授業からのメモ

新入生向けのゼミの学生からのコメントで印象に残ったことのメモ。その1つは、自分には韓国の友達がいて、コミュニケーションのために、数学時間にディーリング(語学アプリ)を使って勉強しているという人がいることです。すごいなぁ。僕もそこまで勉強熱心じゃないかもしれないと思いました。それから「新しい世界に飛び込んでいきたい」と言う意気込みを書いた人もいました。拍手を送りたいです。

興味関心があることとして、動画やゲームを挙げている人がいました。もちろん「やるな」とは言いませんけれども、時間を決めてやったほうが安全かもしれないと、一応教育的なコメントを残しました。動画に関しては、私自身もきちんとコントロールできているかな自信がありません。最近はXなど、スライドさせると(あるいは放っておいても)次々とお勧め動画が見られると言う恐ろしいシステムになっていますね。こうなってくると、防御策として、最近はパソコンなしでできる作業を意識的に行おうとしていいます。といっても単純で、大学ノートにやることをメモしていたりするということです。手で書くというだけで、いろんなアイディアが思い浮かぶという副産物もありました。

マイケル・ティルソン・トーマス 逝く (レコード芸術ONLINE)

谷口が書いた記事へのリンクもございます。→ 「マイケル・ティルソン・トーマス 逝く」『レコード芸術ONLINE』