2026年5月22日金曜日

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ (ジョン・アダムズ指揮) (感想メモ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ
2026年5月21日(木) 19:00開演/サントリーホール

[曲目]
ジョン・アダムズ:《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問**
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

[演奏]
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*
合唱指揮*・副指揮**/冨平恭平

ジョン・アダムズが2回目の都響との共演であるということは、既に都響向けのエッセイでも触れたところですが、本公演に関しては、いずれもなかなか実演に接することが少ない曲ばかりで、それ自体がとても貴重でした。《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック》は、そのタイトルとは裏腹に(ギターが入る辺りは若干センチメンタル???)重厚な3楽章の交響曲という趣がしました。正直ちょっと長いかなあとは思いましたが(予習不足であったということもありますが…)、ダイナミックな盛り上がりを伴った、構成力をも兼ね備えた大胆不敵な(そういう面では「ナイーヴ」ともいえるのかな?)作品かと思いました。これが日本初演ということですが、会場がこれほど湧き立つとは正直思っておらず、アダムズの人気と言うものを、恥ずかしながら初めて知った次第です。オルガン奏者が上手のコンソールから弾いていたのにしばらく気が付かず、どこからこのオルガンっぽい低音が?と思ってしまいました(苦笑)。

休憩を挟んで、アイヴズの《答えのない質問》では、合唱指揮者の冨平恭平さんを副指揮者とし、Pブロックにフルートなどの木管合奏が、客席左後方にトランペットを配置し、いわば空間音楽のような趣がありました。なかなかあの広いホールで時間差があるのでは、と思いつつ、アダムズはトランペット奏者にはあえてキューを送らずにやっていたので、それはそれで面白い音響空間が生まれたように思います。曲は名曲であり、改めての説明は必要かと思いますが、品の良い木管のおしゃべりが作品の、哲学っぽい趣を出していたのかもしれませんね。

《ハルモニウム》も生で聴く機会が少ないと言うこともあって、この公演の個人的ハイライトでした(実はこの曲の日本初演も東京都交響楽団だったのですね。1990年2月26日、オーチャードホール、大野和士指揮。合唱は東京混声合唱団)。なかなか縦の線を合わせるのが難しいのだな、後半へのスタミナの保持も大変だろうな、と思いつつ、生で聴くからこそわかる聞こえ方もあると思います。サントリーホールということもあって、合唱とオーケストラがほどよく音響が溶け合う具合といいますか。もうすこし予習しておけば、歌詞も聞き取れたのかもしれません。ただ響き自体の美しさというのは、初期の方が味わえるのかも、と思ったりします。

しかし、アダムズって、若い人からも人気があるのでしょうね。P席を除いて9割の入り??? インターネットには「現代音楽でも聞きやすい」というコメントがちらほら。まだまだそういった「現代音楽」のステレオタイプと言いうのもあるのかな。

2026年5月13日水曜日

Essay|アダムズとアイヴズ (2026-05-21 東京都交響楽団、第1044回定期演奏会Bシリーズ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ  [2026年5月21日(木) 19:00開演(18:00開場)サントリーホール] に合わせて、チャールズ・アイヴズとジョン・アダムズについてのエッセイを書きました。どうぞよろしくお願いいたします。

「Essay|アダムズとアイヴズ」→こちらからお読みになれます。

以下、公演の内容です。

出演:
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*

曲目:
ジョン・アダムズ:ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

2026年5月11日月曜日

米国内におけるロイ・ハリスの評価?

ロイ・ハリスという作曲家、私の黒歴史ともいえる東京学芸大学の修士論文のテーマでした。博士論文でもハリスは若干扱いましたが(ロサンゼルスで貴重な資料もいただいたり)、それ以来、あまりちゃんと文章を読んでいませんでした。去年あたりから、少しずついろんな論考を読んでいます。それで、なるほど生前あれほどマスコミで大きく取り扱われていたハリスですが、当初から彼の作曲技法については疑問の声が挙がっており、彼に多くの発言を与えたことが、かえって彼が世論を巧みに操作していたとみなされる状況になっているということのようです。ある専門家は、ハリスを非難する書き手には女性が多い(そのことについては「言いたくはないが」と言っていたように記憶しています)ということもあって、まだ知らない「闇」があるんだろうか? とも思ってしまうところです。

2026年5月10日日曜日

小林純一訳詞によるシューベルトの《魔王》

『日本の名歌 世界の名歌 シリーズ3:菩提樹』 原田茂生、芳野靖夫、鈴木寛一、田島好一、三上茂子、松本美和子、酒井美津子、大崎幸子、井崎洋子、高田作造、世良明芳 日本コロムビア GS-7127〜8 (2LPs)



日本語訳詞によるドイツとイタリアの歌曲を中心にまとめた2枚組LPレコードです。どうしてこれが欲しかったのかというと、小林純一の訳詞によるシューベルトの《魔王》が聴きたかったのです。「暗い森 走る馬」という出だし、私が中学校で聴いたのは、まさにこの訳詞のものでした。現在は「風の夜に馬を駆り」で始まる大木惇夫・伊藤武雄のものの方がポピュラーでしょうか。私も教材レコードは折りに触れていろいろ聴いていますが、圧倒的に大木・伊藤訳の録音が多い印象です。この訳でラジオ・ドラマ風に仕立てた音源というのもあって(確か日本コロムビア)、ちゃんとお父さん、子、魔王(エコーがかかっている)、ナレーション、効果音(馬が駆ける音、風の音など)も入ったもので、初めて聴いた時は爆笑してしまいましたが、何度も聴くとよくできているなあと思います。こういう教材レコードというのは、実は大人になって聴くと、レコード会社が、きちんとお金をかけて作っているんだなあと思います。むしろ大人になって聴いた方が勉強になるかもしれません。

訳詞についてですが、やはり一発で意味が分かるのは小林版で、大木・伊藤版は、おそらく格調が高い一方、分かりにくいというのも本音かな、とは思います。「綺麗なおべべがたんとある」「歌っておねんねもさしたげる」は、中学の頃は、正直、ちょっと恥ずかしかったです(この訳に愛着のある方、すいません!)。

さて私が中学生の時に聴いた小林版《魔王》の音源は、グラモフォン・エデュケーショナル・レーベルのセット物の1枚でした。おそらく『中学音楽』という教科書準拠かと思います。当時、音楽担当の舟竹先生からお借りしたのでした。先生からは《魔王》の他にもバッハ(なんとストコフスキーではなくてカイエ編曲版)の小フーガト短調(三石精一指揮読売日本交響楽団)、そしてポピュラー編曲版の同曲(クラスに爆笑を巻き起こした演歌風アレンジ!)など、なかなか面白い音源がありました。このポピュラー版も、もう一度聴いてみたいなあ。「夜の酒場…」的なイントロ…。

《魔王》の他の訳詞は文語調のものが圧倒的に多く、それはそういうものとして楽しく聴けています。また《楽に寄す》のようにオーケストラ伴奏の録音もあります。ピアノ伴奏による歌唱の録音は、ピアノ伴奏の音源についてはピアノが左寄り、歌い手はセンターよりやや右、という感じでしょうか。

なお、《魔王》の演奏は原田茂生(バリトン)、加納吾郎(ピアノ)です。

2026年5月5日火曜日

高橋アキ・プレイズ・フェルドマン@神奈川県立音楽堂 (感想メモ)

高橋アキ プレイズ フェルドマン
モートン・フェルドマン生誕100年を祝って
2026年5月2日、神奈川県立音楽堂 13:10開場、14:00開演
13:30 プレトーク 高橋アキ×柿沼敏江(音楽学)
 モートン・フェルドマン(1926-1987):
《ピアノ》
《トライアディック・メモリーズ》
《バニータ・マーカスのために》
《マリの宮殿》

とても有意義な4時間弱のコンサートでした。特に印象に残ったのは、《トライアディック・メモリーズ》(1981) です。最初に演奏された《ピアノ》(1977) よりも運動性があり、メリハリがあります。ピアニズムはもしかするとシューベルトに通じるところがあるのでしょうか。反復と楽想の切り替えの絶妙なバランス。丁寧で程よい加減。そして「最後はその音で終わってくれるといいんだが」という感じで終わってくれる、そんな完璧な作品と演奏でした。もちろん《ピアノ》の訥々とした流れにも魅了されてはおります。

正直なところ《バニータ・マーカスのために》(1955) に関していえば、僕と波長が合わないといいますか、きっと良い作品なのだと思いつつも、完全に没頭できないところがあります。狂気ともいえる反復(譜めくりの人も戸惑ってしまうような)が、逆に、おそらく凄みなどだろうけれど、もっと変化が早く訪れてくれることを期待しているのだろうと思ったりも。もちろん演奏に不満はないし、こういった作品がフェルドマン後期の醍醐味であると頭ではわかっていても、身体反応として受け付けないところがあったのも正直なところでした。ただそれも含めての貴重な体験だったことは間違いないです。しかし…例の弦楽四重奏曲第2番などは、修行のようなものに感じてしまうのでしょうか???

最後に演奏された1986年の《マリの宮殿》は、それに比較すると、自然にすっと入ってくる身近に感じられる作品。技巧的にも《バニータ・マーカス…》よりもやさしいということでですが、それでも大変なものだとは思います。

それにしてもフェルドマンと言うのは、先にも後にも彼に連なる存在がいない唯一の人であるということが改めて分かりました。高橋アキさんは、真剣にアンコールの作品を探していたそうだが見つからなかったとおっしゃってました。しかしほとんどの聴衆はこの4曲を聞いて十分に満足できたのではないでしょうか。歴史的コンサートになるという事前の触れ込みもありましたが、本当にその通りでした。同じ横浜市内でこういったコンサートが楽しめるのは、本当に嬉しいです。

会場には、現代音楽に強い親しみを持つ人が多かったのではないかと推測します。顔見知りの人も何人か見かけました。会場40分前くらいに音楽堂に到着しましたが、すでに列ができていました。

先に入った方は前の方から席を取られていたようでした。フェルドマン作品は弱音を多用するということで、一番前から座られていたのだとは思いますが、僕はもう少し後ろのほうに座りました。(確か10列目)。せっかく県立音楽堂なのですから、ホールの響きもともに味わいたいと思ったのでした。

終演18:00予定ということでしたが、10分ほど早く終わりました。




Pauline Oliveros Papers (ポーリン・オリヴェロス・アーカイヴ資料)

カリフォルニア大学サンディエゴ校にあるポーリン・オリヴェロス関係の資料、日本からアクセスして読めるものもありますね。

2026年5月4日月曜日

ヘレン・フォレスト+カーメン・ドラゴン楽団によるメドレー

archive.org をカーメン・ドラゴンで検索して出てきた音源ですが、ヘレン・フォレストの歌声がなかなか良いです。

HELEN FORREST WITH CARMEN DRAGON AND HIS ORCHESTRA (聴きやすい)

HELEN FORREST WITH CARMEN DRAGON AND HIS ORCHESTRA (雑音多し)
 

フォレストについては、以下に参考となる情報がありました。
歌と歌手にまつわる話 (229) ヘレン・フォレスト voice of the big bands