2026年6月7日日曜日

Adventures in Music, Grade 1

アメリカのRCA Victorが学校教材用に特別に作成したレコード Boxセットに『Adventures in Music』(1年生・2年生用は1枚 [後にそれぞれのVolume 2がリリースされた模様]、3年生以上は各学年2枚組) があります。演奏はすべてハワード・ミッチェル指揮ワシントン・ナショナル交響楽団です。私は音楽教育の専門家からこのレコードを1セットまるまる譲り受けました。ただ、1・2年生のボックスに関しては、1つの箱に1枚しか入っておらず、スペースが無駄だということで、1年生用の箱に1・2年生用のレコードをまとめて入れられてしまい、2年生用レコードの箱はありません。残念。私が受け取ったときはすでにそういう状態でしたので、どうしようもありません。

また、この音源は©1962年ですので、私自身がこちらにアップすることはできません。隣接著作権が50年しばりの時にアップできたら良かったのですが。

ただAdventures in Musicに収録されている作品はいずれもクラシック作品で、Spotifyを検索すれば別の演奏による録音をみつけることができます。それで、とりあえず、1年生用の音源をSpotifyのプレイリストの形にしてみました。ただ、Spotifyだと、曲の作曲者などが分かりにくいかもしれません。そこで、Adventures in Musicの別冊解説書に掲載されている曲目一覧を挙げてみることにします。RCA Victorはこのセットについて、LPとドーナツ盤と2つのバージョンを製作しており、解説書も両方の盤に対応したものになっています。ただ両方表記すると煩わしいので、ここではLPの面とトラックのみを記すことにします。

SIDE 1

Band 1....AIR GAI (from "Iphigénie in Aulis") (Gluck)
Band 2....ARAGONAISE (from "Le Cid") (Massenet)
Band 3....BALLET OF THE UNHATCHED CHICKS (from "Pictures at an Exhibition"') (Moussorgsky)
Band 4....PANTOMIME (from "The Comedians") (Kabalevsky)
Band 5....MARCH (from "Summer Day" -Suite) (Prokofieff).
Band 6....CRADLE SONG (from "Children's Games") (Bizet)
Band 7....BERCEUSE (from "The Firebird Suite") (Stravinsky)
Band 8....BALLET OF THE SYLPHS (from "The Damnation of Faust'') (Berlioz)
Band 9....WALTZ OF THE DOLL (from "Coppélia"') (Delibes)

SIDE 2

Band 1....WALKING SONG (from "Acadian Songs and Dances") (Thomson)
Band 2....DANCE OF THE LITTLE SWANS (from "Swan Lake"') (Tchaikovsky)
Band 3....PARADE (from "Divertissement"') (Ibert)
Band 4....MARCH (from "Soirées Musicales") (Rossini-Britten)
Band 5....GIGUE (from "Suite No. 3 in D'') (J. S. Bach)
Band 6....GIGUE (from "Céphale et Procris"') (Grétry)
Band 7....THE BALL (from "Children's Games') (Bizet)
Band 8....LEAP FROG (from "Children's Games') (Bizet)
Band 9....PIZZICATO POLKA (from "Ballet Suite No. 1") (Shostakovich)

どうでしょうか? もちろん誰もが知っている名曲もありますが、日本ではほとんど演奏されない曲も入っていて、とても興味深いです。

そして、以下が、私が作ったSpotifyプレイリストです。いずれもミッチェル指揮のオリジナル音源(私が所有しているのはモノラル。ステレオでも出ていたようです)ではありません

また、第1面第1曲目については、中間のテンポのゆっくりとした部分はAdventueres...には収録されておらず、あっと言う間に終わります。また第1面第4曲目についても、後半のテンポの速い部分は収録されていません。ビゼーの《子供の遊び》からの<馬とび(奇想曲)> (第2面、第8曲目)については、オーケストラ版にはもともと入ってない曲なので、ピアノ連弾の音源になっています。これらもご承知おきください。


ちなみに、以下は1年生用以外のものになりますが、ミッチェル/ナショナル響のオリジナル音源でarchive.orgに上がっているものをみつけました。

Adventures In Music, Grade 3, Volume 1
 

Adventures In Music, Grade 3, Volume 2
 

Adventures In Music, Grade 6, Volume 2

2026年6月6日土曜日

ジョリヴェ:交響曲第1番、オンド・マルトノ協奏曲ほか

André Jolivet (1905-1974) : Symphony No. 1 (1953)

学芸大院在学時に、フォノテークという部屋がありました。そこにあった棚のなかに現代音楽の古いレコードがあり、そのレコードの中に、ジョリヴェ作品をみつけました。その熱いサウンドに圧倒され、強い印象を残しました。当時レコードを借りた時にライナーノーツを複写したようで、調べてみたら、《平和の日のためのミサ曲》と《礼拝組曲》が収録された1枚 (フィリップス [日本ビクター] SFL-8535)、オーボエ主奏、管楽五重奏のためのセレナード (日本コロムビア OS-3381) でした(カップリングはフランセのフルート、オーボエ、クラリネット、バスーンとホルンのための五重奏曲ですね)。なかなか渋い(?)。

それで最近音楽評論の石塚潤一さんがSNSでジョリヴェの交響曲第1番 (1953) に言及されていて(作曲家の湯浅譲二さんが持っていらした楽譜として紹介されていました)ジョリヴェに再び興味を持ち、YouTubeで見つけたのが、上記の演奏です。Georges Tzipine指揮とあってオーケストラが明記されていないのですが、Orchestre National de l'ORTFだというコメントがありました。

冒頭からガツーンとしたサウンドに圧倒され、そのまま引き込まれます。

関連動画としてアンドレ・ジョリヴェのポートレートが案内されましたので、リンクを貼ります。


ジョリヴェって、戦後直後は、日中作曲をして、夜はコメディ・フランセーズで指揮をしていたのですね。

生前のインタビュー動画もみつけました。トランペット協奏曲 (1948) について語っています。この協奏曲ってモーリス・アンドレが録音してましたっけ。


アメリカ留学をしている時にボストンの中古レコード店で買ったのは、以下のオンド・マルトノ協奏曲 (1947) です。ジャケットのインパクトがありました。


レコードのパチパチ音もそのままですが、個人的な思い出として、こちらの動画にリンクを貼っておきます(ノイズなしの録音もYouTubeには上がっているようですね)。

ところで、ジョリヴェが日本に強いインパクトを与えたのは、やはり《赤道コンチェルト》なのでしょうか。上野晃さんのレコードの解説(上記 SFL-8535)によると、1956年、《赤道地方》という副題で、北川正の独奏、上田仁指揮の東京交響楽団によって日本初演されたとのこと。いまさらながら、ジョリヴェがエドガー・ヴァレーズにも学んだことを知り、ジョリヴェの、あのダイナミックなサウンドはヴァレーズ由来でもあるのかあ、と思った次第。

ちなみに《赤道コンチェルト》が世界初演された際の「騒動」が東京交響楽団のサイトに掲載されていました→【特別公開】ジョリヴェ ピアノ協奏曲の初演騒動見聞記/演奏会プログラム「シンフォニー(1956年6月号)」掲載から

私も《赤道コンチェルト》に関しては、東京交響楽団第669回 定期演奏会にて聴いたことがあります。ルシュールの《マダガスカル狂詩曲》も面白かったなあ。




2026年6月4日木曜日

森の水車 (アイレンベルク)、かっこうワルツ、国際急行列車

Richard, Eilenberg (1848-1925): Die Mühle im Schwarzwald, Idylle für Piano von Richard Eilenberg Op. 52

日本で親しまれている曲ながら、その曲の詳細や作曲家については知られていない曲というのは多いような気がします。このアイレンベルグの曲にしても、一時期はとても聴かれていたような気がするのですが、どういう作曲家なのかに関してはあまり関心が向いていないのではないでしょうか。どうやら過去には小学校の鑑賞教材だったためクラシック扱いされながらも、ポピュラーな文脈のクラシック曲なのかも、と思ったりもします(かつては「セミクラシック」という便利な用語もありました)。どんな人が曲を作ったかよりもとにかく聴いて楽しければよいという発想?もポピュラーっぽいといえばポピュラーっぽい。そして、ピアノもあれば吹奏楽もあればオーケストラ版もある。いろんなアレンジがあって、どれがいわゆる「本物」(あるいは初演の形)なのかも分かりません。

ウィキペディアでアイレンベルクについて、さっと見てみると、軍事少年教育機関で育ったとか、普仏戦争に志願兵として参戦し、その後ベルリンに移住して、フリーの作曲家として活躍するなどなかなかユニークな経験を持っているっぽい。作品としても、実はオペレッタなんかも結構発表していたようですが、やっぱり《森の水車》のようないわゆるサロン音楽などと呼ばれている、一種の娯楽音楽に分類される作品で知られているようです。残念ながらアイレンベルクの作品は発表当時から陳腐で軽薄、などと評価されていて、現在もそういう評価が定着してしまっているようで、そのため真剣に調査されていないということがあるのかもしれません。

そういえば《森の水車》やヨハン・エマヌエル・ヨナーソン(Johan Emanuel Jonasson 1886-1956、スウェーデンの作曲家なのですね!)の《かっこうワルツ》について、ある音楽教育学者に教わったことがあるのですが、小学校の鑑賞教材として採用されている曲がなぜサロン音楽ばかりなのかとドイツの人から指摘されたことがあったとか。それで最近は描写音楽に関しても、《森の水車》や《かっこうワルツ》といった「サロン音楽」が避けられているのかもしれません(まあ、古めかしいということもあるでしょうし、いまさらポピュラー音楽を避けるという時代でもないでしょうし…。避ける必要がそもそもあったのか、という素朴な疑問もあり…)。

その関連で、もう一つ気になっているのは《国際急行列車》です。AIさんによると作曲者ブーエはBouëxという風に綴るらしいのですが(本当?)、そのファースト・ネームを見たことがありません。もちろんどういう素性の人なのかも分かりませんし、これもサロン音楽なのか、どうか。曲名で調べてみると、現在でもいろんな現場で使われているようですが、これもいろんなオーケストレーションがありますね(=初演の形はどういうものか分からない…)。YouTubeで拾ってきた以下の音源のレコード、実は私も持っています。



[追記] ちなみに、アメリカやロシア(をはじめとしたヨーロッパ)で、アイレンベルクといえば《ペテルブルクの橇の旅》が有名らしいですね。




2026年5月22日金曜日

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ (ジョン・アダムズ指揮) (感想メモ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ
2026年5月21日(木) 19:00開演/サントリーホール

[曲目]
ジョン・アダムズ:《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問**
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

[演奏]
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*
合唱指揮*・副指揮**/冨平恭平

ジョン・アダムズが2回目の都響との共演であるということは、既に都響向けのエッセイでも触れたところですが、本公演に関しては、いずれもなかなか実演に接することが少ない曲ばかりで、それ自体がとても貴重でした。《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック》は、そのタイトルとは裏腹に(ギターが入る辺りは若干センチメンタル???)重厚な3楽章の交響曲という趣がしました。正直ちょっと長いかなあとは思いましたが(予習不足であったということもありますが…)、ダイナミックな盛り上がりを伴った、構成力をも兼ね備えた大胆不敵な(そういう面では「ナイーヴ」ともいえるのかな?)作品かと思いました。これが日本初演ということですが、会場がこれほど湧き立つとは正直思っておらず、アダムズの人気と言うものを、恥ずかしながら初めて知った次第です。オルガン奏者が上手のコンソールから弾いていたのにしばらく気が付かず、どこからこのオルガンっぽい低音が?と思ってしまいました(苦笑)。

休憩を挟んで、アイヴズの《答えのない質問》では、合唱指揮者の冨平恭平さんを副指揮者とし、Pブロックにフルートなどの木管合奏が、客席左後方にトランペットを配置し、いわば空間音楽のような趣がありました。なかなかあの広いホールで時間差があるのでは、と思いつつ、アダムズはトランペット奏者にはあえてキューを送らずにやっていたので、それはそれで面白い音響空間が生まれたように思います。曲は名曲であり、改めての説明は必要かと思いますが、品の良い木管のおしゃべりが作品の、哲学っぽい趣を出していたのかもしれませんね。

《ハルモニウム》も生で聴く機会が少ないと言うこともあって、この公演の個人的ハイライトでした(実はこの曲の日本初演も東京都交響楽団だったのですね。1990年2月26日、オーチャードホール、大野和士指揮。合唱は東京混声合唱団)。なかなか縦の線を合わせるのが難しいのだな、後半へのスタミナの保持も大変だろうな、と思いつつ、生で聴くからこそわかる聞こえ方もあると思います。サントリーホールということもあって、合唱とオーケストラがほどよく音響が溶け合う具合といいますか。もうすこし予習しておけば、歌詞も聞き取れたのかもしれません。ただ響き自体の美しさというのは、初期の方が味わえるのかも、と思ったりします。

しかし、アダムズって、若い人からも人気があるのでしょうね。P席を除いて9割の入り??? インターネットには「現代音楽でも聞きやすい」というコメントがちらほら。まだまだそういった「現代音楽」のステレオタイプと言いうのもあるのかな。

2026年5月13日水曜日

Essay|アダムズとアイヴズ (2026-05-21 東京都交響楽団、第1044回定期演奏会Bシリーズ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ  [2026年5月21日(木) 19:00開演(18:00開場)サントリーホール] に合わせて、チャールズ・アイヴズとジョン・アダムズについてのエッセイを書きました。どうぞよろしくお願いいたします。

「Essay|アダムズとアイヴズ」→こちらからお読みになれます。

以下、公演の内容です。

出演:
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*

曲目:
ジョン・アダムズ:ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

2026年5月11日月曜日

米国内におけるロイ・ハリスの評価?

ロイ・ハリスという作曲家、私の黒歴史ともいえる東京学芸大学の修士論文のテーマでした。博士論文でもハリスは若干扱いましたが(ロサンゼルスで貴重な資料もいただいたり)、それ以来、あまりちゃんと文章を読んでいませんでした。去年あたりから、少しずついろんな論考を読んでいます。それで、なるほど生前あれほどマスコミで大きく取り扱われていたハリスですが、当初から彼の作曲技法については疑問の声が挙がっており、彼に多くの発言を与えたことが、かえって彼が世論を巧みに操作していたとみなされる状況になっているということのようです。ある専門家は、ハリスを非難する書き手には女性が多い(そのことについては「言いたくはないが」と言っていたように記憶しています)ということもあって、まだ知らない「闇」があるんだろうか? とも思ってしまうところです。

2026年5月10日日曜日

小林純一訳詞によるシューベルトの《魔王》

『日本の名歌 世界の名歌 シリーズ3:菩提樹』 原田茂生、芳野靖夫、鈴木寛一、田島好一、三上茂子、松本美和子、酒井美津子、大崎幸子、井崎洋子、高田作造、世良明芳 日本コロムビア GS-7127〜8 (2LPs)



日本語訳詞によるドイツとイタリアの歌曲を中心にまとめた2枚組LPレコードです。どうしてこれが欲しかったのかというと、小林純一の訳詞によるシューベルトの《魔王》が聴きたかったのです。「暗い森 走る馬」という出だし、私が中学校で聴いたのは、まさにこの訳詞のものでした。現在は「風の夜に馬を駆り」で始まる大木惇夫・伊藤武雄のものの方がポピュラーでしょうか。私も教材レコードは折りに触れていろいろ聴いていますが、圧倒的に大木・伊藤訳の録音が多い印象です。この訳でラジオ・ドラマ風に仕立てた音源というのもあって(確か日本コロムビア)、ちゃんとお父さん、子、魔王(エコーがかかっている)、ナレーション、効果音(馬が駆ける音、風の音など)も入ったもので、初めて聴いた時は爆笑してしまいましたが、何度も聴くとよくできているなあと思います。こういう教材レコードというのは、実は大人になって聴くと、レコード会社が、きちんとお金をかけて作っているんだなあと思います。むしろ大人になって聴いた方が勉強になるかもしれません。

訳詞についてですが、やはり一発で意味が分かるのは小林版で、大木・伊藤版は、おそらく格調が高い一方、分かりにくいというのも本音かな、とは思います。「綺麗なおべべがたんとある」「歌っておねんねもさしたげる」は、中学の頃は、正直、ちょっと恥ずかしかったです(この訳に愛着のある方、すいません!)。

さて私が中学生の時に聴いた小林版《魔王》の音源は、グラモフォン・エデュケーショナル・レーベルのセット物の1枚でした。おそらく『中学音楽』という教科書準拠かと思います。当時、音楽担当の舟竹先生からお借りしたのでした。先生からは《魔王》の他にもバッハ(なんとストコフスキーではなくてカイエ編曲版)(2026-05-23訂正:スコアで確認したらストコフスキー編曲でした)の小フーガト短調(三石精一指揮読売日本交響楽団)、そしてポピュラー編曲版の同曲(クラスに爆笑を巻き起こした演歌風アレンジ!)など、なかなか面白い音源がありました。このポピュラー版も、もう一度聴いてみたいなあ。「夜の酒場…」的なイントロ…。演奏者が分からないのが残念…。

上記写真のレコードに収録された《魔王》以外の外国曲の訳詞は文語調のものが圧倒的に多く、それはそういうものとして楽しく聴けています。また《楽に寄す》のようにオーケストラ伴奏の録音もあります。ピアノ伴奏による歌唱の録音は、ピアノ伴奏の音源についてはピアノが左寄り、歌い手はセンターよりやや右、という感じでしょうか。なお《魔王》の演奏は原田茂生(バリトン)、加納吾郎(ピアノ)です。