2009年1月27日火曜日

映画『フィールド・オブ・ドリームス』

偶然NHKのBS2で放送していた映画『フィールド・オブ・ドリームス』を、途中から眺めていたのですが、引き込まれてしまい、ついつい最後まで観てしまいました。絵に描いたようなアメリカン・ドリーム、なんて言ってしまうと、この映画が好きな人に怒られてしまいそうですが、野球も含めて、アメリカの白人たちが思い描いていたイノセント/ナイーブな「夢」って、きっとこういうものなのだろうなあ、と思いました。

ふと『淀川長治とおすぎの名作映画コレクション(講談社プラスアルファ文庫) を開きましたら、この映画を取り上げていたことを発見し、読んでみました。2人ともべた褒めでびっくり。そして、やっぱりこういう人たちの目の付けどころって、勉強になりますね。

まあただ、僕なんかは、現実のアメリカがささくれているから、こういう映画はアメリカ人にとっても新鮮に映る可能性があると思ったりもします。下手に現実を知らない方が、アメリカへの憧れを持てるのかもしれません。きっと僕もイノセントな世界へ戻るために、もう一度観るべき映画なのでしょう。いいじゃないですか、現実逃避したって。

音楽はジェームズ・ホーナー。名前が出てから、「ああ、言われてみればそんな作風だなあ」なんて思ってしまいました。

2009年1月25日日曜日

ジョージ・パール (1915–2009)

アメリカの作曲家、ジョージ・パールが亡くなったという情報です。ご冥福をお祈りいたします。

→"A Composer’s Composer" (Sequenza 21)

2009年1月20日火曜日

[補足情報] レコ芸で紹介したケージのCDについて

2009年2月号の『レコ芸』で紹介した、EMIのケージCD (290ページ)、紹介文にも書いた通り、《ローツァルト・ミックス》のトラックには別の作品 (の一部) が収録されているようです。私が聴いたLPでは、テープによるコラージュでしたし、「磁気テープによる88のループ」を使った作品であると James Pritchett の本にも説明されているので、CDに収録されているのが別の作品であることは確実でしょう。

ネットには、ケージの《コンサート》の一部ではないかとないかという情報もあります。さっそくチェックしてみたのですが、残念ながら、同じ音の部分はみつけられませんでした。"Music before Revolution" のオリジナルLPを持っていないので確認することはできないのですが、あえて推測すると、作風からいって、アール・ブラウンっぽいような気がします。いかがでしょうか?


2009年1月15日木曜日

聴いてますか? The MTT Files

The MTT Files (American Public Media & the San Francisco Symphony)
http://americanpublicmedia.publicradio.org/programs/mtt_files/

僕の友人が最近、アメリカの指揮者ティルソン=トーマス (MTT) がホストをつとめている『The MTT Files』という番組を、英語の勉強も兼ねて聴いているというので、さっそく、そのうちの一つのエピソードを聴いてみました。彼が面白いというThe Last Virtuoso (最後のヴィルトゥオーゾ) と題された第5回で、ヤッシャ・ハイフェッツを中心に、なぜ現在、彼のようなヴィルトゥオーゾは輩出しないのかを語っているそうです。

途中まで聴いてみたのですが、MTTが南カリフォルニア大学に入学したころにハイフェッツのマスタークラスがあって、レコードやロス・フィルで聴いた、この伝説のヴァイオリン奏者が、ぐんと身近な存在になったそうです。また、ハイフェッツがピアティゴルスキーらと指揮者なしのオーケストラ作るにあたって、リハ用の指揮者がいることになって、自宅を訪れるっていうエピソードがMTT自身の語りで紹介されていました。

それによると、ハイフェッツは2時5分という、わざと00分からずらした時間に来いと言い、ぴったりになると、家のフェンスが自動に開くようになっているそうなんです。これは早く到着してベルを鳴らしても無視されるし、遅れて行ったら門が30秒後に自動に閉じることになってて、二度とハイフェッツにお目にかかることはないということらしいのです。それくらいの「正確さ」を彼は要求してくるのだとか…。

また、ハイフェッツの家でプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章を合わせていたとき、ハイフェッツが「オーボエの3連符の箇所が気になる」と言い出したのですが、曲をしっかり勉強したMTTは「それ、オーボエじゃなくて、クラリネットですよね」返します。ハイフェッツは何度も「いや、オーボエだ」と迫るのですが、MTTは「楽譜の版があるいは違うのかもしれませんが、クラリネットじゃないでしょうか」と譲りません。

それで結局、ハイフェッツはMTTと一緒に楽譜を確かめることになります。そしてハイフェッツが「おやおや、確かにクラリネットだ。私のミスだ」と言うことになり、その場は解決したのでした。

あとで、その話をMTTがピアティゴルスキーにしたら、それはハイフェッツがわざと間違えて、MTTを試していたんだということらしいのです。MTTが曲をちゃんと知っていたのか、そして、ハイフェッツと向き合って、正直に意見を言えるかどうかということを。

いやあ、まさに伝説のような話です。

以前にもブログで書いたのですが、個人的に、ハイフェッツは、僕が幼稚園か小学校に入りたての頃、祖父が古道具屋で買ってきたSPレコードで聴いて以来だから、何となく馴染みがある演奏家なんです。その時に触れたメンデルスゾーンの協奏曲は、後にRCAにも録音 (MTT Filesでも流れてます) していますが、それにはないヴィルトゥオーゾが聴けます。ものすごい速度で演奏していますから (現在はEMIからCDになって出ています) 。

彼の録音では、大学学部時代に、無伴奏パルティータ&ソナタ (RCA) を、新潟は古町のツモリレコードで買ったことがあります。一緒に行った友達はシェリングを買ってて、当時は「冷たい演奏」と評したレコード雑誌の一言を見て後悔したものですが、今は時々聴いております。

ニューヨーク・フィル、ベトナムへ

平壌公演で注目を浴びたニューヨーク・フィルですが、次のシーズンのアジア・ツアーの一環として、ベトナムに行くそうです。以下、『ニューヨーク・タイムズ』から

・Wakin, Daniel J. "For the Philharmonic, Next Stop, Vietnam."  The New York Times 12 January 2008.
http://www.nytimes.com/2009/01/13/arts/music/13gilb.html?partner=permalink&exprod=permalink

2009年1月14日水曜日

映画 "Real Genius" (天才アカデミー)

書庫にあるビデオテープを整理していたら、この映画のビデオテープが出てきました。フロリダ州立大の学生寮に住んでいた時、学生が運営していたケーブルテレビ局で流されていたものを録画したのが、このテープ。画質がひどいのは、3倍モード録画であることに加えて、大学内のケーブルの接続の悪さもあるのでしょう。アメリカ人の大半って、画質にこだわらないんですよねえ。 国内盤DVDは出ていないようで、うーん残念。

観終わったあと、いろいろレビューを読んでみた感じだと、舞台はおそらく、西海岸の自由な気風の大学を設定しているようです。ある大学教授が、米軍に依頼されて (より正確には軍産複合体なんでしょう) 、パワフルなレーザー銃 (空の飛行機から発射され、一瞬にして人間が消えてしまう) の開発にあたるのですが、技術的な問題がどうしても解決できない。それで、全米から「天才」とされる、中学生くらいの子どもを自分の研究室にリクルートして、開発させる、というのがメインのテーマです。そして「天才」たちは、本当のことを知らされず、授業のプロジェクトとして取り組みます。

ただ、内容がカレッジ・コメディーですので、「武器開発」のシリアスな筋は通しながら、随所は笑いに富んだ内容です。まあ、反抗期の青少年向けとも言えますが、さりげなく反権力ともいえるのかも。 80年代の香りがしますが、いま観ても、充分面白いです。だいたい私が観たのも、90年代半ば以降だったはずだし。

それにしても、この映画のヴァル・キルマー、最高に面白い。その他の登場人物も、個性が強い。時よりセリフが早口ですが (^^;;

(2009.1.15.) 追記 YouTubeに映像の一部をみつけました。




2009年1月12日月曜日

ロリス・チェクナヴォリアンのベートーヴェン

久しぶりに、むかしエアチェックしたカセット・テープに目をやってみたら、ロリス・チェクナヴォリアン指揮ロンドン交響楽団によるベートーヴェンの第5交響曲というのが出てきた。この演奏を聴いた時のインパクトは、かなりあったように思う。今だったら「ああ、ピリオド派に影響された演奏ね」と簡単に片付けられてしまう恐れがありそうだけれど、1983年5月25日放送当時だったら、結構衝撃的だったんじゃないだろうか。

演奏時間34分16秒。もっともカラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団だったら60分テープの片面に収まってしまったから、これが最速じゃないんだろうけれど (レイボヴィッツは何分くらい?) 、やっぱり鋭く突き進む感じがする。ところで当時のLPには Original Version と明示してあったらしい。これはどういう意味なのだろう?

Amazon.com (米国) のマーケット・プレイスだと、このLPに$89.69の値がついていた (→現在の状況) 。とても買おうとまでは思わないけれど、気になるところである。

いや、CDになってたら買いますよ。いま聴いても、やっぱり面白いですもん。

2009年1月10日土曜日

シカゴ響も

オン・デマンドのオーディオ・ストリーミングをやっていたのですね。すいません、ようやく聴き始めました。音質的にはニューヨーク・フィルほどではありませんが、ありがたいです。

http://www.cso.org/main.taf?p=15,1

2009年1月8日木曜日

ここでいう "New Music" って?

僕が時々聴くラジオ番組に、WNYCの "New Sounds" がある。いわゆる「現代音楽」とは明らかに違う文脈の音楽をやっていて (時々そういうのもあるようだが) 、かというと、商業主義というのにも不具合が生じそうな内容だ。

DJのジョン・シェーファーは、このイギリスのニュー・ミュージックという回でも "artist" や "musician" ではなく "composer" という言葉を使うあたり、多少なりともクラシック的な伝統を受け継いでいるつもりなのかもしれないが、聴いた感じは、どちらかというと、クロスオーバー的なものであることが多い (あるいはポピュラー寄りというべきか) 。ジャンル分類 (そんなものはいらない、と言われればそれまでだが) の難しい、DJの個性が生きた選曲ということなのだろう。

・New Music from the UK (Episode No. 2620) 
http://www.wnyc.org/shows/newsounds/episodes/2008/12/14


このページにある "Listen to the whole show" をクリックすると、モノラルですが、番組を最後まで聴くことができます。

2009年1月5日月曜日

NML: ミュージック・コンクレート/六人組/ウエーベルン

ナクソス・ミュージック・ライブラリーの注目音源、アメリカ音楽以外だと、『パノラマ・オブ・ミュージック・コンクレート』があります。シェフェールとかアンリとか、初期のミュージック・コンクレートのオムニバスです。遂にこういう系統も入るようになったのか、という感じがします。

http://ml.naxos.jp/album/9.80117

EMIから出てた「六人組」のアルバムもありますね。私もフロリダ留学時に、図書館のLPで聴いたことがあります。

http://ml.naxos.jp/album/9.80589

ロバート・クラフトのウェーベルンも。

http://ml.naxos.jp/album/9.80271

いやはや、Naxos Classical Archivesは、時々チェックしておいた方がいいのかもしれません。

NML: グローフェの貴重な音源

グローフェ:大西洋横断/航空組曲(グローフェ)(1946 - 1950)

http://ml.naxos.jp/album/9.80172

ナクソス・ミュージック・ライブラリーには、CDになってない貴重な音源がありますが、そのうち、グローフェのをご紹介します。

《大西洋横断》は、London (Decca) からLPで出ていた音源で、CD化されていません。《航空組曲》はRemingtonというレーベルから、やはりLPで出ていた音源ですが、現物は見かけたことはないですね。CBSレーベルから出た別の音源は持っていますが、第1曲目の冒頭なんかは、私の持っている音源とは違います。演奏も、グローフェのは、ずっとメランコリックで、ムードいっぱいです。一聴の価値ありかもしれません。

このほか、ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人(F. スラットキン)(1956)は、私もかつて、セラフィムLPで親しんだ音源です。バーンスタインの大オーケストラとはひと味違った、小編成のオケによる爽快な演奏で、オススメです。アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ集(ドルイアン)なんてのもあります。

2009年1月4日日曜日

古い「音楽史レコード」を聴いてみる+α

リュク=オリヴィエ・ウディア編、『ピアノの歴史』 日本コロムビア OL 3165 (LP) (c) 61・7

フランス語のナレーションによる、ラジオ・ドキュメンタリーの、お勉強になったはずの1枚。ワンダ・ランドフスカのチェンバロ、アルド・チッコリーニのピアノ・フォルテが聴ける。ランドフスカのチェンバロは、いわゆるピリオド演奏の初期であり、その剛直な音が、すでに「歴史的」なものになりつつある。その一方でピアノ・フォルテの方は、それほど「歴史的」に聴こえないのが面白い。モーツァルトが使ってたクラヴィコード、ショパンが愛用したピアノ・フォルテなど、アプローチがよりピリオド的ということなのだろう。なお原題はTrois Claviers Célèbres au la Très Belle Histoire du Piano。こんなレコードが、日本でも発売されていたのですね。

ただ、よく聴くと、最近のピアノ・フォルテの演奏にあるような、独特のアゴーギクというか、ニュアンスは、やっぱり追求されてないんじゃないかという気がした。

また、進行役のアナウンスの内容が、実にモダニズムを反映していて、現代のピアノへの進歩史観を貫いている。ピリオド楽器の演奏の後「不完全な楽器である」「ベートーヴェンには物足りなかった」といったコメントがあるからだ。

いや、もちろん、作曲家が曲を書いていた頃の楽器が「完璧」だというつもりはない。そもそも「完璧」なんてあり得ないのだし、なにが「より良い」「より精巧」などというのが相対的であったり、人によって違うのだし、解釈によって、いくらでも変わるだろう。「ピリオド派」の演奏だって、historically-informed performance なんて言われる通りで、演奏の質 (学問的な議論に馴染まない言葉!) を保証するものではないということだと思う。

俵孝太郎『新・気軽にCDを楽しもう』コスモの本

意外と図書館にはないようなので、買ってしまった。第1弾の方は本屋で立ち読みして、面白いと思ってたんだけど、いつの間にか入手困難になりつつあるので、マーケットプレイスで安く購入。読めればいいので、背表紙やが焼けててもいいや。

左翼のせいで信時潔の《海道東征》が聴かれない、なんてことが書いてあるけれど、これは今では普通に聴けるようになった (僕は、かなり昔に『題名のない音楽会』で部分的に放送されたのを録画している) 。おそらくかつては、いわゆる保守層でさえ、戦前の社会を知る人が多く、当時の文化には触れてほしくないというのがあったんではないかと思うのだが、どうなのだろう。

僕個人としては、「歴史を繰り返さない」ためにも、戦中文化は知っておいてよいと思うのだが、「国粋主義よもう一度」ならば、お断りだ。

Roy Harris, Symphony No. 11; Morton Gould, Cowboy Rhapsody; Cecil Effinger, Little Symphony No. 1; Douglas Moore, Symphony No. 2 in A Major. Sinfonia Varsovia; Ian Hobson, conductor. Albany. 

ハリスの10番以降の交響曲が、ようやくCDになって聴けるようになるのだろうか。とても楽しみ。グールドの "Cowboy Rhapsody" も、自演 (Columbia LP) 以来の新録音。

・Miracles of Sant'iago: Music from the Codex Calixtinus. Anonymous 4. HMF 907156.

AMSのregional meetingの1日目、夜のコンサートで教会に行ったことがある。僕の母校のルネサンスの先生が合唱団をやってて、ちょうど、こういう感じの残響で、ポリフォニックな作品を聴いた。ああ、本当にこういう音響空間があるのだと、当たり前のことに驚いたことを思い出した。

2009年1月2日金曜日

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします

2009年は、石川県立音楽堂で迎えました。OEKのカウントダウン・コンサート2007~2008です (北國新聞の記事のウェブ魚拓) 。富山に帰ってきたのが元日深夜の2時ということで、昨日はすっかり寝正月になってしまいました。

こちらのBlog、あんまり更新する機会がなくて申し訳ありませんが、今年もよろしくお願いいたします。