2016年3月12日土曜日

ガーシュイン、《パリのアメリカ人》のクラクションのピッチについて

Have We Been Playing Gershwin Wrong for 70 Years?という記事が『ニューヨーク・タイムズ』に掲載され、話題になっています。この記事では、《パリのアメリカ人》で使われるクラクションのピッチが議論になっています。ガーシュインのスコアには A, B, C, D と4つのクラクションが必要とあり、これまでは、A, B, C, D は音名と考えられ、1945年のトスカニーニの録音でもそうなっているとか。

どころがミシガン大学のMark Clagueが、現在 critical edition を作っているそうなのですが、彼はこの A, B, C, Dはクラクションの種類を示すだけであって、音名ではないと判断しているのだそうですね。

A, B, C, Dという文字はそれぞれ◯で囲まれているそうなのですが、これをどう判断するかということになりそうです(1, 2, 3, 4にしてくれれば良かったのに…という人もいるようです)。

ガーシュインの伝記を読むと、彼が特定のピッチのクラクションを探していたことが知られており、また彼が監修をした1929年のVictorの録音では、クラクションの音程がAb, Bb, ずっと高い D, 低いAなんだそうです。

ただガーシュインが使ったとされるクラクションはなくなってしまったということで、本当のことは分からないのですねえ。Victorの録音を絶対的なものと見ることに対する疑問もあるそうで…。ちなみにA, B, C, Dの音程だととてもピッタリ来るようで…。本当は調子っぱずれが正解だったのか、どうか…。

で、上記記事にもリンクされているガーシュイン監修(ガーシュイン自身がチェレスタを弾いているとも言われてます)の録音ですが、けっこう今の演奏とは違う感覚がありますね…。



zen-on piano for four hands 「ガーシュウィン:パリのアメリカ人(An American in Paris)」 全音

渡辺純一さんが楽譜浄書制作を担当され、私が楽曲解説を書いた《パリのアメリカ人》の連弾版が全音から出版されました。編曲をされたのは中島克磨さんです。全曲演奏がYouTubeにアップされたそうなので、シェアいたします。