2026年8月2日日曜日

大砲多めの《1812年》序曲

アレキサンダー・ギブソン指揮ロンドン新交響楽団 


中学の同級生の家に、お父さんが入手されたクラシック名曲集(おそらくリーダーズ・ダイジェスト)にチャイコフスキーの《1812年》が入っていたのですが、大砲の数が通常より多めで、楽譜どおりではないところにも入っている興味深いレコードがありました。演奏者は分かっていて、上記にあるようにアレキサンダー・ギブソン指揮ロンドン新交響楽団ということでした。いまはSpotifyなんかでも聴けるようですね。

2026年7月25日土曜日

ブログの管理 (リンク訂正)

このブログは内容が雑多なのですが、アメリカのクラシック音楽だけは、やはり別の方が良いかなあと思い、過去、アメリカのクラシック音楽だけでまとめていた別のブログに、今後はアメリカ音楽関係の投稿を行っていこうと思います。以下、そのリンクです。どうぞよろしくお願いいたします。(2026-08-02リンク訂正)

アメリカのクラシック音楽

DDi Codec を使ってみた

研究室のカセットデッキがDolby-Cに対応していないのに富山からDolby-Cで録音したテープを誤って持ってきてしまいました。それもあって、DDi Codecというアプリをダウンロードしてみましたた。基本はDolby-Cで録音したテープをOFFで再生してWAVかAIFFファイルにし、そのファイルをDDi Codecで開いて、Dolby-CでDecodeするとよいみたいです。聴いた感じ不自然なところはなく満足しています(こだわればいろいろあるのかもしれませんが)。とりあえずはこれで乗り切れる感じでしょうか。有料2,500円です(ただしサブスクではないので、一度払えばずっと使えます [2026.7.25の時点で])。

https://apps.apple.com/jp/app/ddi-codec-for-dolby-b-c-nr/id1321722039?mt=12

2026年7月24日金曜日

カナディアン・ブラス (エアチェック・テープ)

カナディアン・ブラス<ブラスの祭典> カナディアン・ブラス、ゴードン・スレーター(鐘)1982年6月28日 8:18〜 NHK-FM (富山) FUJI Cassette ER 80 (ダビング先). Dolby-C. Lo-D D-8 (録音デッキ).

1. マッコーリ:小さな序曲
2. ホーサイス:吟遊詩人のダウランド
3. スッペ (ミルズ):喜歌劇「詩人と農夫」序曲
4. フォスター (ハワード):珠玉のフォスター
5. (タイガース):ヴェニスの謝肉祭
6. R. シュトラウス (ラルフ・ソーア):万霊節
7. (ケーブル):南北戦争の歌
8. イギリス民謡 (ケーブル):グリーン・スリーブス

エアチェックした日付から察するに、中学2年生の時NHK-FMで放送された音源のようです。2〜6は『ブラスの祭典 The Village Band: A Nostalgic Recollection by the Canadian Brass』RCA国内盤レコード RCL 8017 (ARC1-377) で間違いなさそうなのですが、1と8. は別のレコードですね。1は調べてみたところ、どうやらカナダの作曲家William McCauley の Miniature Overture というタイトルでした。同じ音源が Spotify にみつかりました。Royal Fanfareというアルバムに収録されているっぽいです。


8. はカナディアン・ブラスとカリヨンの共演という珍しい音源です。当時のアナウンスも珍しいレコード、のように紹介していたのではなかったでしょうか。CD化はされていないのではないでしょうか。 しかしこれ、どうやって録音したんだろう。カリヨン・パートだけ先に録音して、それに合わせてカナディアン・ブラスが別録音したということになるのかなあ?

[追記] 調べてみたところ、YouTubeにアップロードされていました。YouTubeのコメントによると、スレーターは事前に録音されたメトロノームのクリック音に合わせて演奏し、その後、カナディアン・ブラスがトロントのスタジオでそれぞれのパートをオーバーダビングしたそうです。へええ。

それにしても、FM放送由来のノイズが結構派手に乗っているテープです(たぶん内蔵アンテナの付いたラジカセで録音したんだろうなあ)。おぼろげな記憶によると、1と2~8 は別の機会に録音したんではなかったかなあ。違うかなあ。全部同じ一つの音源っていうことなら、これも『ブラスのひびき』だったんだろうなあ。

ギー・トゥーブロン金管五重奏団 (エアチェック・テープ)

1982年5月30日 8:18〜 NHK-FM (富山). FUJI Cassette ER 80 (カセットテープ). 録音デッキ(ダビング先)Dolby-C. Lo-D D-8.

1. ホルボーン:ソナタ a) 第34番 ガイヤルド、b)  第59番 アルマンド、c) 第58番 アルマンド、d) 第35番 パヴァーヌ、e) 第65番 ガイヤルド
2. ロック:トロンボーンとコルネットのための音楽「エア〜クーラント〜アルマンド〜クーラント〜アルマンド」
3. シャイト:戦いの組曲
4. ヘンデル:ブラスのためのヘンデル
5. アディソン:3つの宮廷仮面劇の歌
6. パレストリーナ:リチェルカーレ

使われたレコードはカセットのインデックスカードに書かれていなかったのですか、曲目から以下のレコードかと思われます (Discogsを参照。Erato STU 71169。放送当時、国内盤はあったのかな?)。

Quintette De Cuivres Guy Touvron*, G.P. Palestrina*, A. Holborne*, J. Adson*, S. Scheidt*, M. Locke*, J.C. Pezel*, G.H. Haendel* – Oeuvres Du XVIe Au XVIII Siècles 

フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブル、カナディアン・ブラスなんかを聴いてきた(エアチェックの日から考えて)中学の私が、全く馴染みのなかったこのアンサンブルをわざわざ録音したあたり、一応ブラス・アンサンブルをいろいろ聴いてみたかったんだろうな、と思われます(中学時代は全日本吹奏楽コンクールとは御縁がなく、コンクール音源というものは録音してないっぽい)。ルネサンス〜バロックの器楽曲に親しんだのがブラス・アンサンブルだったのは、のちの音楽史の勉強に役に立ったのだろうか? いやあ、ギー・トゥーブロン金管五重奏団の録音があることは認識していたのですが、デジタル化にあたってエアチェックのテープを聴いたのはアナウンスをカットしてダビングしてこのテープを作った時以来だから、バッハ以前の音楽を、そうとは強く認識せず、とりあえず録音していた、というレベルでしょう。

演奏は、おだやかで品が良く、しっとりとした感じ。PJBEやカナディアン・ブラスのような派手さがないので、エアチェックした割には全然聴いてこなかったのかも。改めて聴いてみると、逆にこういうのもあったのね、ということで良かったのかもしれないです。

Discogsによると、演奏者はEnsemble De Cuivres Guy Touvron。日本語表記は、おそらく当時のFM雑誌のもの(どの雑誌かは分からない)。現在は「ギイ・トゥーヴロン」が一般的なのでしょうか? 放送番組は『ブラスのひびき』だと思われます。別のデッキで録音した(アナウンスも全部入った)テープがあったはずなのに、わざわざアナウンスを律儀にカットしたものを作ったっぽい。音質的にはもったいないことをしているのですが、仕方ありません。Lo-Dのデッキは高校入学してから親に買ってもらったものなので、中学の頃に録音したものを、わざわざ編集したんだろうなあ。

2026年7月16日木曜日

「時計屋さんの店」「時計屋の店で」「時計屋の店先で」「時計屋の店先」

一時期「描写音楽」なるものに興味を持っていました。古くから親しまれている楽曲が多い一方で、一部からは忌み嫌われている存在(?)というのがとても興味深いです。 標題音楽あるいは何かしら具体的な事物を扱うタイトルがついた曲の解説で「タイトルは決して何かを描写するものではなく…」のような但し書きが書かれることは多いように思われます。

そして、そういった「描写音楽」は、タイトルこそ知らなくても聴いたことがあるという楽曲が多いのではないでしょうか。今でも聴かれている曲だったら《ラッパ吹きの休日》とか《クシコス・ポスト》とか…。

さて《時計屋の店で In the Clock Store》は、アメリカの作曲家チャールズ・J・オース(1867年にバイエルンに生まれ、子どもの頃に家族とともにアメリカへ渡った)が1893年に作り、最初はピアノ曲として出版され、後にフルオーケストラ、軍楽隊、ピアノ伴奏、10または14楽器による縮小編成など、他の編曲でも楽譜が出版されたそうです。「ユーモレスク」に分類され、ジョン・フィリップ・スーザが指揮を執るスーザ・バンドの定番レパートリーの一つだったそうです(シカゴ万国博覧会やスーザのヨーロッパツアーでも取り上げられました)。

以下に挙げるのは、この曲が録音された最初のレコードで、しかも1902年、コロンビア・レコード初のレコード盤として発売された1枚なんだそうです。このレコードの発売された翌年に、スーザはエドワード7世のための特別演奏会でこの《時計屋の店で》を演奏したんだとか。

Columbia Disc Record No. 1 — In the Clock Store — Digitally Remastered

次に挙げるビクターの『ビクター描冩音樂アルバム』は私も持っているのですが(いまは遠方の書庫にあり手元にありません)、レーベルに「Cinema Organ」というジャンル名が書かれているのが面白いですね。どうやら《時計屋の店で》は、サイレント映画時代にシアター・オルガンのレパートリーの一部となり、映画の合間や予告編の間に頻繁に演奏されたということらしいです。

Terence Casey - IN A CLOCK STORE

そして、オーソドックスなオーケストラの演奏を一つ。ジェームズ・ウォーカー指揮のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団で。

'In a Clock Store' - Novelty number - Royal Philharmonic Orchestra

2026年7月13日月曜日

ビル・フォンタナ:初期作品集 (聴取メモ)

Bill Fontana: Early Works. alga marghen plana-F 50NMN168 (LPレコード)

Side 1: Toy Tape Recorder Suite

1. (5'56") - 2. (4'28") - 3. (2'36") - 4. (2'36") - 5. (1'38") - 6. (4'08")

Side 2: Wave Spiral (21'02")

限定232部というLPレコードです。A面に収録されている《トイ・テープレコーダーのための組曲。ライナーノーツにある「1 7/8インチの小さなテープリール (little reels of 1 7/8" tape)」に録音されたものは、正直あまり音のよいものとは言えず。タイトルにある「トイ・レコーダー」なるものが、一体どういうものなのだろう、と思ったりします。

それで、この作品はサウンド・アートや音彫刻をリードするフォンタナと結びつきにくいのですが、テープレコーダーを用いて電子音を録音したのかな、ラジオか何かなのかな、それで録音 or 再生速度をいろいろいじってみたのかなとか…いろいろ想像をめぐらして聴いてみました。

B面の《ウェーヴ・スパイラル》(Wave Spiral, for 5 Rin Gongs、70年代初頭に録音され、1977年にオーストラリアで初演)については、アルヴィン・ルシエ的?な、音現象にじっくりと集中した21分ほどの作品というべきなのでしょうか。リン・ゴングというのは、法事で使うような「おりん」のようなものなのでしょうか? おそらく叩くのではなく、おりんを擦るような感じなのかな、と音だけで判断しています。複数のおりんによって生み出させるモワレ効果のような相互干渉?なのでしょうか。ヒスノイズも入っていますが、録音はA面の作品よりは良いように思われます。

2026年7月5日日曜日

ウィリアム・ボルコム 聴いたものメモ

William Bolcom. Incinerationrag; Raggin' Rudi. Anne-Mari McDermott, piano. 26 May 1998, Spolete Festival, Charleston, SC. Performance Today 1998 (NPR).

ボルコムのラグというと、日本では《グレイスフル・ゴースト・ラグ Graceful Ghost Rag》が比較的演奏されているのでしょうか? Incineration Ragの "incineration" を辞書で調べてみると「焼却、火葬」と出てくるのですが、うーむ、これまた謎なタイトルですね。マクダーモットの演奏は中庸のテンポでしょうか。《3つのクラシック・ラグ (3 Classic Rags)》の第3曲のようです。

YouTubeでざっくり探してみたら、アムランの音源が出てきました。

弦楽四重奏で演奏されたものも出てきました。


《ラギン・ルーディ Raggin' Rudi》はジャズとラグタイムの先駆的な学者であるルディ・ブレッシュとの間に築かれた温かい友情を称えた作品で、ジェームズ・スコットの楽しいラグを想起させるのだそうです。要所要所に、イレギュラーなフレージング(ヘミオラ?)が入っていて、おっと思わせます。YouTubeにはいろいろあるようですが、とりあえず、さっき検索して一番上に出てきたものを挙げておきます。
 

Bolcom. Bolcom's Ragomania: A Nod to Gershwin and Blake (1982). Pittsburgh Symphony Orchestra; Lorin Maazel, conductor.

ボルコムの《ラゴメニア》ジョン・ウィリアムズが指揮をしていた頃のボストン・ポップスからの委嘱作品だそうです(初演は1982年5月4日)。ボルコムは妻のジョアン・モリスとともにアーサー・フィードラー時代のボストン・ポップスと共演した経験があったそうなのですが、当時のコンサートの雰囲気は「まるで野球場のようだった」そうです。それでボルコムは「観客の騒音を凌駕」するために「重厚な打楽器パート」を盛り込むことを決めたそうです。

リハーサルではジョン・ウィリアムズが驚いて、ボルコムにむかって「この曲は第三次世界大戦のようだ!」と言ったそうです。ボルコムはウィリアムズに曲の経緯について説明したそうですが、曲が発表された1982年のシンフォニー・ホールでは「ホットドッグやビールの代わりに、観客は控えめに白ワインやコック・オ・ヴァンを楽しみ、シンフォニー・ホールの雰囲気ははるかに落ち着いたものになっていた」んだとか。そんなに大きな音は必要なかったんですね…。

オーケストラの音色の中にエレキっぽい音が聞こえるなあと思ったら、編成の中に確かに入っているようです。ギターはアコギでも良いそうですが、その場合はアンプが必要なようです。

2026年7月4日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 Dramatic Series プッチーニ歌劇トスカ全3幕 (感想メモ)

2026年6月20日(土曜日)横浜みなとみらいホール、17:00 開演

指揮者:沼尻竜典(音楽監督)
共演者:佐藤康子(トスカ)、シュテファン・ポップ(カヴァラドッシ)、上江隼人(スカルピア)、妻屋秀和(アンジェロッティ)、澤武紀行(スポレッタ)、市川敏雅(シャルローネ)、晴雅彦(堂守)、宮下嘉彦(看守)、芝野遥香(羊飼い)、横浜市立田奈中学校合唱部(児童合唱)、神奈川ハーモニック・クワイア(合唱)

《トスカ》は何度かステージ上演で見たことがありますが、実はこういったセミステージ形式というのは初めてかもしれません。音楽の面白さがストレートに感じられるあり方で、悪くないですね。音色の変化やさまざまなモティーフ、音響的な演出などに注目することができました。沼尻竜典さんの実力を思い知りました。

歌い手さんで印象に残ったのは、やはりシュテファン・ポップさんでしょうか。ああ、これがプライム・ヴォイスなのかな、といいますが、頭一つ抜けている印象でした。惚れ惚れする声でした。聴かせどころはあって満足な一方、ああ、もっとプッチーニがカヴァラドッシに歌わせる場を与えてくれたら、とさえ思うほどでした。カーテン・コールでの弾け方もイタリアンな感じ…かな。

佐藤康子さんのトスカ、世俗的な歌手でありつつ信仰深いという立ち位置。優雅さも持ちつつ、感情をあらわにする、その2つの世界観を表出するバランス感覚なのですね。改めて、そのことを考えながら聴いていました。

上江隼人(スカルピア)…スカルピアのやることって終始一貫して、人間関係を支配 or 被支配で考えるんですよね。周りを凍りつかせる声、存在感があります。トスカへの身体的接触はもっと大胆にやってほしいかもと思いつつも、コンプラ的にどうなんだろ、ということもあるのかな(と、本質とどうでもいいところに気が行ってしまったり [汗]。ようするにスカルピアの支配の源泉は「ハラスメント」ですからね)。そういえば、第1幕の歌詞に『オテロ』に言及したところがあること、どうしてこれまで気が付かなかったのか、というのはありました。

こういう不埒な支配者を据えたオペラを作りつつ、イタリアはファシズムへ歩んでいったというのも、いろいろ考えさせられます(という日本も、イタリアやナチス・ドイツと同盟関係にあった訳ですが…)。

トスカのスカルピア殺害の場面、照明の変化も交え、象徴的な見せ方でした。ナイフなどの小道具もない中、どうやって見せるのかなあ、なんて思っていたのですが、音楽の持つ力、というのが逆に際立ったのかもしれません。

児童合唱は驚くほど良く聴こえました。客先側から見て、オーケストラよりも奥にあるからどうかなぁと思ったんですが、いやいやなんのなんの。それからルーシー・オルガンが使えるのは、ある意味贅沢だなあ。

ところで、「カトリックでは自殺は大罪である」ということですが、確かに一般的にキリスト教で自殺ということが良くないと考えられることは確かでしょうか(僕自身はプロテスタントなので、正確には分からなかったりしますが)。すなわち神様によって与えられた命を、人間が自分の都合で断ってしまうということがポイントなのかと思います。ただトスカが神の顔に「泥を塗った」かという点については、若干個人的に保留したいところもあります。トスカが最後に「スカルピア、神の御前で」と告げながら身を投げると言うところが、ものすごく個人的には気になったりするからです。これが「スカルピア、地獄で会おう」だったら、ああ完全にトスカは神から離れてしまったんだと納得できるのですが、リブレットを作ったルイージ・イッリカとジュゼッペ・ジャコーサが「神の御前で」という言い回しにした辺り、ああ、自らの罪に自覚的でありながら、信仰に生きる道は捨てていないのだな、ということを直感的に感ずるからです。むしろトスカが第1幕で自分の嫉妬を「神さまは許してくださる」と思ってしまうあたりは、自己正当化ともいえなくないような気もしてしまったり。あるいは当時のイタリア的にはそういう感じ方は普通だったのかな、と思うところもあります。

2026年7月3日金曜日

グレン・ミラー楽団によるモートン・グールドの《パヴァーヌ》

Victor matrix BS-035766. Pavanne / Glenn Miller Orchestra. 4/18/1939 New York, New York. Victor Studio 2 [155 E. 24th St.]

偶然みつけた音源です。モートン・グールドの管弦楽曲《アメリカン・シンフォネット第2番》の第2楽章として1938年に作曲された<パヴァーヌ>をグレン・ミラー楽団が演奏したものです。1939年4月8日、ニューヨークのビクター・スタジオでの録音とのこと。


どうやってデジタル化したのか分かりませんが、テンポが揺れてて(回転数が安定しておらず)、とっても変です…。ただスウィング感があって、良いですねえ。なるほどこういう風になるのか〜、という感じです。

2026年7月1日水曜日

季刊 音楽鑑賞教育 Vol. 66 の「音楽探求」のページに「映画音楽」について書きました。

『季刊 音楽鑑賞教育』Vol. 66 (通巻570号、2026年7月号) 「音楽探求」のページに「映画音楽」について書きました (p. 40〜p. 43)。どうぞよろしくお願いいたします。


音楽鑑賞教育 Vol. 66 (2026.7)





 

2026年6月28日日曜日

Adventures in Music, Grade 2, Record 1

ハワード・ミッチェル指揮ナショナル交響楽団による音楽鑑賞用教材レコード Adventures in Musicの (小学校) 第2学年用のレコード1とレコード2を入手しました。レコード1の著作権表示が1961年であるのに対し、レコード2は1970年でした。やはり、第2学年用はもともと1枚だったのが、評判がよかったのか、あるいは要望があったのか、あとでレコード2が発売されたと見て良いでしょう。また、今回入手したレコードは、いずれもステレオ音声によるものでした。私が譲り受けた Adventures in Music はすべてモノラルのレコードだったのですが、後に6年生用のステレオ盤を入手できたので他の学年もあるのかなと思ったら、やはりあるようです。

今回もミッチェルの録音そのものではないのですが、Adventures in Music2年生用レコード1に収録されている曲の、別の演奏による音源をSpotifyのプレイリストにしてみました。以下はAdventures in Musicの別冊解説書に書かれている曲目一覧です。プロコフィエフの "Winter Holiday" ですが、いまはおそらく "Winter Bonfire" という英語訳が一般的かと思われます。この組曲の邦題は《冬のかがり火》で、第1曲<出発>は日本の小学校の鑑賞教材CDにも収録されていますね。またロッシーニ=レスピーギの《風変わりの店》第5曲<カン・カン>ですが、全曲は収録されておらず、Spotifyの音源の1:51辺りで終わります。ヘンデルの《水上の音楽》は、Historically-informed performanceのものを選びました。

SIDE 1
Band 1....CHILDREN'S SYMPHONY: Third Movement (McDonald)
Band 2....THE LITTLE WHITE DONKEY (from "Histoires No. 2"') (Ibert)
Band 3....PETITE BALLERINA (from "Ballet Suite No. 1"') (Shostakovich)
Band 4....BYDLO (from "Pictures at an Exhibition"') (Moussorgsky)
Band 5....BERCEUSE (from "Dolly") (Fauré)
Band 6....CAN-CAN (from "The Fantastic Toyshop") (Rossini)
Band 7....HORNPIPE (from "Water Music"') (Handel)
Band 8....LARANJEIRAS (from "Saudades do Brazil") (Milhaud)

SIDE 2
Band 1....VIENNESE MUSICAL CLOCK (from "Háry János Suite") (Kodály)
Band 2....MARCH OF THE TOYS (from "Babes in Toyland") (Herbert)
Band 3....DEPARTURE (from "Winter Holiday") (Prokofieff)
Band 4....TAMBOURIN (from "Céphale et Procris") (Grétry)
Band 5....FOUNTAIN DANCE (from "Wand of Youth Suite No. 2") (Elgar)
Band 6....JACK-IN-THE-BOX (from "Mikrokosmos Suite No. 2") (Bartók)
Band 7....WALTZ (from "Les Patineurs") (Meyerbeer)

その他アメリカ音楽専門家の立場から考えますと、Adventures in Musicはアメリカのレコードらしく、1学年用ではヴァージル・トムソンの曲が入っていましたが、2学年用ではハール・マクドナルドの《子どもの交響曲》第3楽章が収録されています。この楽章にはアメリカやイギリスで広く親しまれている以下の2つの有名な伝承童謡(マザー・グース・ナーサリーライム)《谷間の農夫(田んぼの中の一軒家)The Farmer in the Dell》や《ジングル・ベル》が引用されていますね。マクドナルド作品といえばモノラル時代に作曲者指揮フィラデルフィア管弦楽団の録音がありました (Columbia ML 2141, 10インチ)。オリジナル盤は一応持っているのですが、今はSpotifyで簡単に聴けますね。またユージン・オーマンディのCD Boxでも聴けるはずです。ただミッチェル指揮の録音は珍しいですし、実は同曲のステレオ録音としても貴重です(日本では外山雄三指揮東京都交響楽団のLPレコードがありました [ビクター音楽産業 SJX-1106])。

Spotifyのプレイリストですが、オーケストラ編曲 (曲目一覧の箇所には編曲者の名前が書かれていません…) がみつからないピアノ曲については、ピアノの原曲の音源になっておりますのでご容赦願います(イベールの《物語》から<白いロバ>、バルトークの『ミクロコスモス第5巻139番から《とうがらし野郎 (びっくり箱)

2026年6月21日日曜日

描写音楽《国際急行列車》 (The International Railroad Express) について調べてみた

小学校の鑑賞教材として使われ、あるいは運動会の音楽としてCDに収録されている《国際急行列車》という曲がすごく気になってしまい、いろいろ調べてみました。

平成14年度『音楽のおくりもの (小学校音楽)』2 鑑賞 (DCT-702) という教科書準拠CDのライナーノーツ、12ページによりますと(著者不明)、作曲者のブーエ(E. Boue)は生没年不詳。国際急行列車のオリジナル・タイトルは "Galop du Chemin de far" であり、楽譜はフランス のアルエット社より出版されていたが、アルエット社は、20世紀初頭に他の会社に吸収され、現在出版されているオリジナルの楽譜はないということでした。

ちなみに "Galop du Chemin de far" というタイトルで IMSLP を探ってみると、ワルトトイフェル作曲のピアノ曲に同じタイトルの楽譜がみつかります。作曲者がブーエではないので、当然のように音源で聴く《国際急行列車》とは別の曲でした。

それで、AIに《国際急行列車》について尋ねてみたところ、Apple Music からのデータを引っ張ってきたようで、そこでは作曲者の綴りが Bouet となっているようです。さらに曲目は"Galop du Chemin de far" ではなく英題が "International Express"、 仏題が "L'Express International" ということでした。それにしても、ファーストネームが E. としか分からず、フルでないのは気になります。今後の課題として、いまのところは、ここまで。

【2026-06-28追記】Google AI はこの曲の作曲者について「フランスの作曲家マルセル・ブーエ(Marcel Bouë)」という情報を持ってきました。しかし出典としている情報源にはどこにもファースト・ネームが書かれておらず、「マルセル」がどこから来たのか分かりませんでした。

ただ、《国際急行列車》の音源自体は日本でも古くから発売されていたことが分かりました。YouTubeに挙がっている《国際急行列車》の動画を見ると、文部省制定の観賞用曲として日本コロムビアがリリースした『幼稚園レコード』の1枚 (AK 4) に、この曲が収録されていました。この音源が発売された頃には作曲者がブーエというのが分かってなかったのか、作曲者不詳とラベルに書かれています。また演奏をしているのはセレブロフ指揮ロシヤ管弦楽団という団体であることも分かります ( ロシヤ管弦楽団   国際急行列車)。同じレコード番号の音源は、色の違うレーベルでもリリースされていたようです (SP盤紹介ー33 セレブロフの「国際急行列車」(てこな音盤倶楽部のレコード・ブログ))。

別の動画では『国民学校芸能科音楽 鑑賞音盤 初等科第一学年用』のレコードとして、同じ音源が挙げられていました。ということは、《国際急行列車》という曲は戦前から学校で聴かれていた可能性がありそうです。(国際急行列車 國民學校藝能科音楽鑑賞音盤初等科第一學年用)

ところで上述した『幼稚園レコード』の画像にはAK 4というレコード番号の他に、2W 109276というのもありました。おそらくこれは、海外で発売された音源が原盤となっているっぽいので、この番号で検索してみたところ、Discogs のデータベースから、それっぽいものが出てきました。J. Serebroff's Orch. – The International Railroad Express / Polka Frieda というのがそれなのですが、ここから分かることは、《国際急行列車》という日本語タイトルの元となったのは英語の "The International Railroad Express" であったということです。また『幼稚園レコード』の「ロシヤ管弦楽団」に関しては、J. Serebroff's Orch. から来ていると思われることです。ただ、J. Serebroff の名前から、どうして「ロシヤ管弦楽団」に至ったのかが気になります。

Discogsのデータベースによると、《国際急行列車 (The International Railroad Express)》が録音されたのは、1928年5月、ということで、なかなか古い録音になりますね。しかも録音場所が他ならぬニューヨークです。またレコード番号が Columbia 12081-F という番号で、ちょっと調べてみたら、このFシリーズというのは、分類としては "10-inch general ethnic instrumental" なんだそうです(Columbia Records 78rpm Numerical Listing Discography)。すなわちヨーロッパからアメリカへ渡った移民をターゲットにした録音シリーズである可能性すらありそうです(語学レコードもFシリーズから発売されていたようですね)。

残念ながら、J. Serebroffという人物が誰なのか、私には分かりません。Google AIによると「指揮者またはバンドリーダー」で「当時のスタジオ・ミュージシャン、あるいは移民コミュニティの音楽家であったとされていますが、個人の詳細な伝記的記録はほとんど残っていません」とのこと。ただ、このAIの回答には何か典拠らしきものが示されていないので、それを信用していいのか分かりません。このAIは、さらに続けます。

当時は、レコード会社の専属編曲家やスタジオのリーダーが、特定のジャンルを録音する際(例:今回はロシア風、今回はポーランド風など)に、こうした個人の名前を冠した即席の「オーケストラ」や「アンサンブル」を名乗ることが一般的でした。
ここまで言われると、J. Serebroff という人物がロシア人なのかも本当はよく分からないという感じがします。名前はロシア系っぽいですけれど…アメリカは多民族国家ですし。ただ、上記引用の内容からすると、例え指揮者の出自が不明確でも、「ロシア風」の音楽を録音したのでロシア系の名前が付けられているということは言えるのかもしれません。そうすると、《国際急行列車》はフランスの曲ではなくロシア風の音楽…なのでしょうか??? まあ確かに、セレブロフ指揮ロシヤ管弦楽団の演奏には途中でコサック・ダンサーみたいな掛け声も入ってます…。

なお、Serebroff のファースト・ネームなのですが、昭和館が所蔵している音源のデータベースによるとJakovなんだそうです。また、このレコードのデータベースには、演奏者がJakov Serebroff's Russian Orchestra と書かれていて、先述した「ロシア管弦楽団」とつながってきます (International Railroad Express | 昭和館デジタル・アーカイブ)。指揮者のロシア人(フルネームからはロシア系ユダヤ人っぽい感じもありますが)判定は、誰が行ったのか、あるいは誰かが原盤元に問い合わせたのか…。あるいは単にロシア音楽を演奏するオーケストラなのか??? いろいろ謎が多いです。

ちなみに日本人がSPに録音した《国際急行列車》の音源もあったようです。プーエ(!)作曲であるこの曲が伊藤翁介による編曲を施した形で日本ビクター管弦楽団によって収録されています  (ビクターレコード邦楽SP盤目録 | 78Music)。

学校教育用の低学年向けの音源には、いわゆる「描写音楽」に分類される軽妙な作品が多く収録されていますが、なかなか謎な曲も多いような気がします。ただそれが長らく学芸レコードに収録されているということは、現場的にはウケがよくて使いやすい、ということではあるのでしょうね。

【2026-06-28追加】Spotifyでみつけた音源にリンクを貼っておきます。

2026年6月7日日曜日

Adventures in Music, Grade 1

アメリカのRCA Victorが小学校教材用に特別に作成したレコード Boxセットに『Adventures in Music』(1年生・2年生用は1枚 [後にそれぞれのVolume 2がリリースされた模様]、3年生以上は各学年2枚組) があります。演奏はすべてハワード・ミッチェル指揮ワシントン・ナショナル交響楽団です。私は音楽教育の専門家からこのレコードを1セットまるまる譲り受けました。ただ、1・2年生のボックスに関しては、1つの箱に1枚しか入っておらず、スペースが無駄だということで、1年生用の箱に1・2年生用のレコードをまとめて入れられてしまい、2年生用レコードの箱はありません。残念。私が受け取ったときはすでにそういう状態でしたので、どうしようもありません。

また、この音源は©1962年ですので、私自身がこちらにアップすることはできません。隣接著作権が50年しばりの時にアップできたら良かったのですが。

ただAdventures in Musicに収録されている作品はいずれもクラシック作品で、Spotifyを検索すれば別の演奏による録音をみつけることができます。それで、とりあえず、1年生用の音源をSpotifyのプレイリストの形にしてみました。ただ、Spotifyだと、曲の作曲者などが分かりにくいかもしれません。そこで、Adventures in Musicの別冊解説書に掲載されている曲目一覧を挙げてみることにします。RCA Victorはこのセットについて、LPとドーナツ盤と2つのバージョンを製作しており、解説書も両方の盤に対応したものになっています。ただ両方表記すると煩わしいので、ここではLPの面とトラックのみを記すことにします。

SIDE 1

Band 1....AIR GAI (from "Iphigénie in Aulis") (Gluck)
Band 2....ARAGONAISE (from "Le Cid") (Massenet)
Band 3....BALLET OF THE UNHATCHED CHICKS (from "Pictures at an Exhibition") (Moussorgsky)
Band 4....PANTOMIME (from "The Comedians") (Kabalevsky)
Band 5....MARCH (from "Summer Day" -Suite) (Prokofieff).
Band 6....CRADLE SONG (from "Children's Games") (Bizet)
Band 7....BERCEUSE (from "The Firebird Suite") (Stravinsky)
Band 8....BALLET OF THE SYLPHS (from "The Damnation of Faust'') (Berlioz)
Band 9....WALTZ OF THE DOLL (from "Coppélia"') (Delibes)

SIDE 2

Band 1....WALKING SONG (from "Acadian Songs and Dances") (Thomson)
Band 2....DANCE OF THE LITTLE SWANS (from "Swan Lake"') (Tchaikovsky)
Band 3....PARADE (from "Divertissement"') (Ibert)
Band 4....MARCH (from "Soirées Musicales") (Rossini-Britten)
Band 5....GIGUE (from "Suite No. 3 in D'') (J. S. Bach)
Band 6....GIGUE (from "Céphale et Procris"') (Grétry)
Band 7....THE BALL (from "Children's Games') (Bizet)
Band 8....LEAP FROG (from "Children's Games') (Bizet)
Band 9....PIZZICATO POLKA (from "Ballet Suite No. 1") (Shostakovich)

どうでしょうか? もちろん誰もが知っている名曲もありますが、日本ではほとんど演奏されない曲も入っていて、とても興味深いです。

そして、以下が、私が作ったSpotifyプレイリストです。いずれもミッチェル指揮のオリジナル音源(私が所有しているのはモノラル。ステレオでも出ていたようです)ではありません

また、第1面第1曲目については、中間のテンポのゆっくりとした部分はAdventueres...には収録されておらず、あっと言う間に終わります。また第1面第4曲目についても、後半のテンポの速い部分は収録されていません。ビゼーの《子供の遊び》からの<馬とび(奇想曲)> (第2面、第8曲目)については、オーケストラ版にはもともと入ってない曲なので、ピアノ連弾の音源になっています。これらもご承知おきください。


ちなみに、以下は1年生用以外のものになりますが、ミッチェル/ナショナル響のオリジナル音源でarchive.orgに上がっているものをみつけました。

Adventures In Music, Grade 3, Volume 1
 

Adventures In Music, Grade 3, Volume 2
 

Adventures In Music, Grade 6, Volume 2

2026年6月6日土曜日

ジョリヴェ:交響曲第1番、オンド・マルトノ協奏曲ほか

André Jolivet (1905-1974) : Symphony No. 1 (1953)

学芸大院在学時に、フォノテークという部屋がありました。そこにあった棚のなかに現代音楽の古いレコードがあり、そのレコードの中に、ジョリヴェ作品をみつけました。その熱いサウンドに圧倒され、強い印象を残しました。当時レコードを借りた時にライナーノーツを複写したようで、調べてみたら、《平和の日のためのミサ曲》と《礼拝組曲》が収録された1枚 (フィリップス [日本ビクター] SFL-8535)、オーボエ主奏、管楽五重奏のためのセレナード (日本コロムビア OS-3381) でした(カップリングはフランセのフルート、オーボエ、クラリネット、バスーンとホルンのための五重奏曲ですね)。なかなか渋い(?)。

それで最近音楽評論の石塚潤一さんがSNSでジョリヴェの交響曲第1番 (1953) に言及されていて(作曲家の湯浅譲二さんが持っていらした楽譜として紹介されていました)ジョリヴェに再び興味を持ち、YouTubeで見つけたのが、上記の演奏です。Georges Tzipine指揮とあってオーケストラが明記されていないのですが、Orchestre National de l'ORTFだというコメントがありました。

冒頭からガツーンとしたサウンドに圧倒され、そのまま引き込まれます。

関連動画としてアンドレ・ジョリヴェのポートレートが案内されましたので、リンクを貼ります。


ジョリヴェって、戦後直後は、日中作曲をして、夜はコメディ・フランセーズで指揮をしていたのですね。

生前のインタビュー動画もみつけました。トランペット協奏曲 (1948) について語っています。この協奏曲ってモーリス・アンドレが録音してましたっけ。


アメリカ留学をしている時にボストンの中古レコード店で買ったのは、以下のオンド・マルトノ協奏曲 (1947) です。ジャケットのインパクトがありました。


レコードのパチパチ音もそのままですが、個人的な思い出として、こちらの動画にリンクを貼っておきます(ノイズなしの録音もYouTubeには上がっているようですね)。

ところで、ジョリヴェが日本に強いインパクトを与えたのは、やはり《赤道コンチェルト》なのでしょうか。上野晃さんのレコードの解説(上記 SFL-8535)によると、1956年、《赤道地方》という副題で、北川正の独奏、上田仁指揮の東京交響楽団によって日本初演されたとのこと。いまさらながら、ジョリヴェがエドガー・ヴァレーズにも学んだことを知り、ジョリヴェの、あのダイナミックなサウンドはヴァレーズ由来でもあるのかあ、と思った次第。

ちなみに《赤道コンチェルト》が世界初演された際の「騒動」が東京交響楽団のサイトに掲載されていました→【特別公開】ジョリヴェ ピアノ協奏曲の初演騒動見聞記/演奏会プログラム「シンフォニー(1956年6月号)」掲載から

私も《赤道コンチェルト》に関しては、東京交響楽団第669回 定期演奏会にて聴いたことがあります。ルシュールの《マダガスカル狂詩曲》も面白かったなあ。




2026年6月4日木曜日

森の水車 (アイレンベルク)、かっこうワルツ、国際急行列車

Richard, Eilenberg (1848-1925): Die Mühle im Schwarzwald, Idylle für Piano von Richard Eilenberg Op. 52

日本で親しまれている曲ながら、その曲の詳細や作曲家については知られていない曲というのは多いような気がします。このアイレンベルグの曲にしても、一時期はとても聴かれていたような気がするのですが、どういう作曲家なのかに関してはあまり関心が向いていないのではないでしょうか。どうやら過去には小学校の鑑賞教材だったためクラシック扱いされながらも、ポピュラーな文脈のクラシック曲なのかも、と思ったりもします(かつては「セミクラシック」という便利な用語もありました)。どんな人が曲を作ったかよりもとにかく聴いて楽しければよいという発想?もポピュラーっぽいといえばポピュラーっぽい。そして、ピアノもあれば吹奏楽もあればオーケストラ版もある。いろんなアレンジがあって、どれがいわゆる「本物」(あるいは初演の形)なのかも分かりません。

ウィキペディアでアイレンベルクについて、さっと見てみると、軍事少年教育機関で育ったとか、普仏戦争に志願兵として参戦し、その後ベルリンに移住して、フリーの作曲家として活躍するなどなかなかユニークな経験を持っているっぽい。作品としても、実はオペレッタなんかも結構発表していたようですが、やっぱり《森の水車》のようないわゆるサロン音楽などと呼ばれている、一種の娯楽音楽に分類される作品で知られているようです。残念ながらアイレンベルクの作品は発表当時から陳腐で軽薄、などと評価されていて、現在もそういう評価が定着してしまっているようで、そのため真剣に調査されていないということがあるのかもしれません。

そういえば《森の水車》やヨハン・エマヌエル・ヨナーソン(Johan Emanuel Jonasson 1886-1956、スウェーデンの作曲家なのですね!)の《かっこうワルツ》について、ある音楽教育学者に教わったことがあるのですが、小学校の鑑賞教材として採用されている曲がなぜサロン音楽ばかりなのかとドイツの人から指摘されたことがあったとか。それで最近は描写音楽に関しても、《森の水車》や《かっこうワルツ》といった「サロン音楽」が避けられているのかもしれません(まあ、古めかしいということもあるでしょうし、いまさらポピュラー音楽を避けるという時代でもないでしょうし…。避ける必要がそもそもあったのか、という素朴な疑問もあり…)。

その関連で、もう一つ気になっているのは《国際急行列車》です。AIさんによると作曲者ブーエはBouëxという風に綴るらしいのですが(本当?)、そのファースト・ネームを見たことがありません。もちろんどういう素性の人なのかも分かりませんし、これもサロン音楽なのか、どうか。曲名で調べてみると、現在でもいろんな現場で使われているようですが、これもいろんなオーケストレーションがありますね(=初演の形はどういうものか分からない…)。YouTubeで拾ってきた以下の音源のレコード、実は私も持っています。



[追記] ちなみに、アメリカやロシア(をはじめとしたヨーロッパ)で、アイレンベルクといえば《ペテルブルクの橇の旅》が有名らしいですね。




最後に森の水車などの描写音楽を集めたCDがありますので、リンクを貼っておきます。

2026年5月22日金曜日

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ (ジョン・アダムズ指揮) (感想メモ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ
2026年5月21日(木) 19:00開演/サントリーホール

[曲目]
ジョン・アダムズ:《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問**
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

[演奏]
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*
合唱指揮*・副指揮**/冨平恭平

ジョン・アダムズが2回目の都響との共演であるということは、既に都響向けのエッセイでも触れたところですが、本公演に関しては、いずれもなかなか実演に接することが少ない曲ばかりで、それ自体がとても貴重でした。《ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック》は、そのタイトルとは裏腹に(ギターが入る辺りは若干センチメンタル???)重厚な3楽章の交響曲という趣がしました。正直ちょっと長いかなあとは思いましたが(予習不足であったということもありますが…)、ダイナミックな盛り上がりを伴った、構成力をも兼ね備えた大胆不敵な(そういう面では「ナイーヴ」ともいえるのかな?)作品かと思いました。これが日本初演ということですが、会場がこれほど湧き立つとは正直思っておらず、アダムズの人気と言うものを、恥ずかしながら初めて知った次第です。オルガン奏者が上手のコンソールから弾いていたのにしばらく気が付かず、どこからこのオルガンっぽい低音が?と思ってしまいました(苦笑)。

休憩を挟んで、アイヴズの《答えのない質問》では、合唱指揮者の冨平恭平さんを副指揮者とし、Pブロックにフルートなどの木管合奏が、客席左後方にトランペットを配置し、いわば空間音楽のような趣がありました。なかなかあの広いホールで時間差があるのでは、と思いつつ、アダムズはトランペット奏者にはあえてキューを送らずにやっていたので、それはそれで面白い音響空間が生まれたように思います。曲は名曲であり、改めての説明は必要かと思いますが、品の良い木管のおしゃべりが作品の、哲学っぽい趣を出していたのかもしれませんね。

《ハルモニウム》も生で聴く機会が少ないと言うこともあって、この公演の個人的ハイライトでした(実はこの曲の日本初演も東京都交響楽団だったのですね。1990年2月26日、オーチャードホール、大野和士指揮。合唱は東京混声合唱団)。なかなか縦の線を合わせるのが難しいのだな、後半へのスタミナの保持も大変だろうな、と思いつつ、生で聴くからこそわかる聞こえ方もあると思います。サントリーホールということもあって、合唱とオーケストラがほどよく音響が溶け合う具合といいますか。もうすこし予習しておけば、歌詞も聞き取れたのかもしれません。ただ響き自体の美しさというのは、初期の方が味わえるのかも、と思ったりします。

しかし、アダムズって、若い人からも人気があるのでしょうね。P席を除いて9割の入り??? インターネットには「現代音楽でも聞きやすい」というコメントがちらほら。まだまだそういった「現代音楽」のステレオタイプと言いうのもあるのかな。

2026年5月13日水曜日

Essay|アダムズとアイヴズ (2026-05-21 東京都交響楽団、第1044回定期演奏会Bシリーズ)

東京都交響楽団 第1044回定期演奏会Bシリーズ  [2026年5月21日(木) 19:00開演(18:00開場)サントリーホール] に合わせて、チャールズ・アイヴズとジョン・アダムズについてのエッセイを書きました。どうぞよろしくお願いいたします。

「Essay|アダムズとアイヴズ」→こちらからお読みになれます。

以下、公演の内容です。

出演:
指揮/ジョン・アダムズ
合唱/新国立劇場合唱団*

曲目:
ジョン・アダムズ:ナイーヴ・アンド・センティメンタル・ミュージック(1999) [日本初演]
アイヴズ:答えのない質問
ジョン・アダムズ:ハルモニウム(1980)*

2026年5月11日月曜日

米国内におけるロイ・ハリスの評価?

ロイ・ハリスという作曲家、私の黒歴史ともいえる東京学芸大学の修士論文のテーマでした。博士論文でもハリスは若干扱いましたが(ロサンゼルスで貴重な資料もいただいたり)、それ以来、あまりちゃんと文章を読んでいませんでした。去年あたりから、少しずついろんな論考を読んでいます。それで、なるほど生前あれほどマスコミで大きく取り扱われていたハリスですが、当初から彼の作曲技法については疑問の声が挙がっており、彼に多くの発言を与えたことが、かえって彼が世論を巧みに操作していたとみなされる状況になっているということのようです。ある専門家は、ハリスを非難する書き手には女性が多い(そのことについては「言いたくはないが」と言っていたように記憶しています)ということもあって、まだ知らない「闇」があるんだろうか? とも思ってしまうところです。

2026年5月10日日曜日

小林純一訳詞によるシューベルトの《魔王》

『日本の名歌 世界の名歌 シリーズ3:菩提樹』 原田茂生、芳野靖夫、鈴木寛一、田島好一、三上茂子、松本美和子、酒井美津子、大崎幸子、井崎洋子、高田作造、世良明芳 日本コロムビア GS-7127〜8 (2LPs)



日本語訳詞によるドイツとイタリアの歌曲を中心にまとめた2枚組LPレコードです。どうしてこれが欲しかったのかというと、小林純一の訳詞によるシューベルトの《魔王》が聴きたかったのです。「暗い森 走る馬」という出だし、私が中学校で聴いたのは、まさにこの訳詞のものでした。現在は「風の夜に馬を駆り」で始まる大木惇夫・伊藤武雄のものの方がポピュラーでしょうか。私も教材レコードは折りに触れていろいろ聴いていますが、圧倒的に大木・伊藤訳の録音が多い印象です。この訳でラジオ・ドラマ風に仕立てた音源というのもあって(確か日本コロムビア)、ちゃんとお父さん、子、魔王(エコーがかかっている)、ナレーション、効果音(馬が駆ける音、風の音など)も入ったもので、初めて聴いた時は爆笑してしまいましたが、何度も聴くとよくできているなあと思います。こういう教材レコードというのは、実は大人になって聴くと、レコード会社が、きちんとお金をかけて作っているんだなあと思います。むしろ大人になって聴いた方が勉強になるかもしれません。

訳詞についてですが、やはり一発で意味が分かるのは小林版で、大木・伊藤版は、おそらく格調が高い一方、分かりにくいというのも本音かな、とは思います。「綺麗なおべべがたんとある」「歌っておねんねもさしたげる」は、中学の頃は、正直、ちょっと恥ずかしかったです(この訳に愛着のある方、すいません!)。

さて私が中学生の時に聴いた小林版《魔王》の音源は、グラモフォン・エデュケーショナル・レーベルのセット物の1枚でした。おそらく『中学音楽』という教科書準拠かと思います。当時、音楽担当の舟竹先生からお借りしたのでした。先生からは《魔王》の他にもバッハ(なんとストコフスキーではなくてカイエ編曲版)(2026-05-23訂正:スコアで確認したらストコフスキー編曲でした)の小フーガト短調(三石精一指揮読売日本交響楽団)、そしてポピュラー編曲版の同曲(クラスに爆笑を巻き起こした演歌風アレンジ!)など、なかなか面白い音源がありました。このポピュラー版も、もう一度聴いてみたいなあ。「夜の酒場…」的なイントロ…。演奏者が分からないのが残念…。

上記写真のレコードに収録された《魔王》以外の外国曲の訳詞は文語調のものが圧倒的に多く、それはそういうものとして楽しく聴けています。また《楽に寄す》のようにオーケストラ伴奏の録音もあります。ピアノ伴奏による歌唱の録音は、ピアノ伴奏の音源についてはピアノが左寄り、歌い手はセンターよりやや右、という感じでしょうか。なお《魔王》の演奏は原田茂生(バリトン)、加納吾郎(ピアノ)です。