2026年10月28日水曜日

ミラン・クーナ「ドヴォルザークのスラブ的気質、およびチャイコフスキーやロシアとの関わり」

Kuna, Milan. Dvořák's Slavic Spirit, and His Relation to Tchaikovsky and Russia. In David Beveridge ed., Rethinking Dvořák. Oxford: Clarendon, 1966, 143-153.

今年度のゼミ生が、チャイコフスキーのスラヴ性について卒論を考えていたのですが、その契機は《スラヴ行進曲》でした。ただ《スラヴ行進曲》に関する資料というのが意外と少ないのですね。それで、思いついたのがドヴォルザークの《スラヴ舞曲》でした。それで何か資料がないかなあと思っていて、ドヴォルザーク側の資料として探して見つかったのが、こちらの文章でした。

タイトルから察せられるかもしれませんが、主眼はドヴォルザークの「スラブ気質(スラブ精神?)」に関する論考が主で、チャイコフスキーとの関係は、最後の方にちょっと言及されている程度でした。

それでも、「汎スラヴ運動」など、そもそも基本的な知識が不足している当方にとって、歴史背景や、それに関連したドヴォルザークの創作など、いろいろ学べる内容はあったように思いました。スタロチェフ党(老チェコ党)とムラドチェヒ党(青年チェコ党)、それに対応するドヴォルザークとスメタナという対立的見方が正しいのかどうなのかという問題意識、ドヴォルザークのスラブ精神というのは実は政治的な意味ではなくむしろ彼が音楽的に「スラブの東」を発見したという意味だとか。これに関連してチャイコフスキーがドヴォルザークのオペラ《ディミトリイ》について、音楽的にロシアの情景を描写している部分において、用いられているのは主にロシア音楽の様式ではなく、むしろウクライナ音楽の様式であるということを言っていること等々。ただ私は文中に取り上げられている《ディミトリイ》をそもそも聴いたことがなかったりします。アルブレヒト指揮のCDがあるようなので、聴いてみようと思います。

チャイコフスキーとの関係でいえば、1888年、《ディミトリイ》初演の6年後に、ドヴォルザークはチャイコフスキーに出会い、短期間ではあったものの、とても良い関係であったということ、チャイコフスキーがプラハに到着する前には面識はなかったものの、プラハで演奏されていたチャイコフスキーの数少ない作品からチャイコフスキーに強い関心を持っていたこと、当時まで書かれていた交響曲をピアノを自ら弾いて作品にふれていたこと、意識的にスラヴ音楽をドヴォルザークが書いていたということもあって、チェコ以外のスラヴ諸国の文化、とりわけロシア音楽に職芸的な関心を注いていたこと、チャイコフスキー以外ではグリンカのオペラに親しみ、バラキレフにも出会っていたことなどが書かれているようです。

2026年10月17日土曜日

おお、ついに!

ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界より》第3楽章 小澤征爾指揮サンフランシスコ交響楽団 1975年フィリップス録音

一部ではとても有名な編集ミスのあった第3楽章(ティンパニが繰り返しのところで落っこちるのがそのままレコードになってしまった)、さすがに直ってますね。

演奏ですが、録音の要素もあるのだと思いますが、ガツンとしたテュッティが聴けて、着実な流れが小澤さんらしい演奏といえるのでょうか。カップリングの《謝肉祭》序曲、出だしはテンポが遅いんじゃないかと思ったのですが、エンディングの興奮度はなかなかです。
 

2026年10月10日土曜日

ジェラルド・ムーア『お耳ざわりですか』読書メモ、2005年

ジェラルド・ムーア著 、 萩原知子、 本澤尚道 共訳『お耳ざわりですか ―ある伴奏者の回想―』音楽之友社、1982年。

今度発行される『レコード芸術』にアイブスの歌曲集を取り上げたため、久しぶりにこの本を読んでみた。

伴奏者といってもT. Cone ではないけれど "Composer's Voice" を持つことがある。アイヴズ歌曲の場合、伴奏のみの部分に (例えばAnn StreetやWalkingのように) 音楽上のできごとが具体的に書かれている場合もある。

名ピアニストとして知られたピアニストが必ずしも良き伴奏者ではないと言う彼の発言は、なんとなくわかるような気がする。パートナーと進める音楽は、一人で孤独に楽譜と立ち向かうソロ・ピアニストとは求められるものが、おのずから違ってくるからだ。

もっともピアニストの中には室内楽や連弾、はたまた協奏曲を好んで行うものはいるのであり、ピアニストを十把一絡げに論ずることができないのも事実だろう。

ただ声楽の場合、人間の呼吸のことをよくわかっていないと一緒に音楽を進めにくいというのがある。おそらく呼吸の微妙なコントロールと言うのは、管楽器のそれよりも、ずっと音楽表現に直接結びついてくるのではないだろうか。

声音やニュアンスは、テキストの言語の種類によっても変わってくるだろう。(2005年10月7日執筆、2026/10/10編集)

音楽の旅 フランス (4) /南西部 (エアチェック・メモ 1987年)

日付:1987年10月15日 (木) 7:15
番組名:『マイクラシック』 
ソース:JOQK-FM
デッキ:Lo-D D-707II
テープ:TDK AD-S 60 (B面)
NR: Dolby-B

⑦ピエルネ:劇音楽《ラムンチョ》序曲 (8'39") ジャン・バティスト・マリ指揮パリ・オペラ座管弦楽団 レコード:To  EAC 80347

⑧フランス民謡 (カントループ編曲): 夢みる美しい人よおきなさい、⑨ さらばマデロン、⑩粉ひきが帰ってきて (以上6'33”) ネタニア・ダブラツ (ソプラノ)、ガーション・キングスレー指揮管弦楽団 CD:KK 33Y152

⑪ソーゲ:バレエ音楽《旅芸人》第1部 (11'02")  ミシェル・プラッソン指揮トゥールーズ市立管弦楽団 レコード:EAC 50005 

曲目について:

⑦バスク地方の民謡を元にした作品。ラムンチョと言う名の羊飼いが主人公である劇の音楽。

⑧〜⑩大西洋に注ぐガロンヌ川上流のケルシー地方の民謡。ケルシー地方の愛の歌。

⑪ガロンヌ川の下流、大西洋に注ぐところに、ワインの名産地として有名な都市ボルドーがある。ボルドーのワインはローマ時代から知られていて、14世紀には、ワイン艦隊と言われる数百隻の船が、世界各地から集まったそうである。アンリ・ソーゲはボルドーの生まれである。幼い頃からやってきた旅回りの芸人の曲芸やアクロバットが好きだったソーゲは、その思い出を音楽で書いている。旅芸人一座の到着からショーが始まるまでのパレードなどを雰囲気豊かに表現した音楽。

舞曲の楽しみ/スペイン (エアチェック・メモ)

NHK-FM (新潟?) 録音日不明 (1980年代終わり〜1990年代初頭?)

(A) 
①アルベニス:プエルタ・デ・ティエラ
②同:タンゴ
③同:セビリャーナス (以上10:37)

アルベニスは現代スペインを代表する作曲家の1人。
①ボレロのリズムによる、②南米アルゼンチンから伝わった、③セビリア地方の舞曲

④サラサーテ:ヴァイオリンとピアノのためのスペイン舞曲
第1番<マラゲーニャ>、第6番<サパデアード> (以上8:27)

サラサーテはスペインを代表する作曲家で、ヴァイオリンの名手として活躍した。

(B)
①グラナドス:スペイン舞曲集から、(a) アンダルーサ (第5番)、(b) バレンシアーナ (第7番)

19世紀から20世紀にかけて、スペインの作曲家は、スペインの地方豊かな様々な民族舞曲をもとに、優れた作品を多く残している。

②ファリャ:バレエ音楽《三角帽子》から (a) 近所の人たち セビリア舞曲、(b) 粉屋の踊り ファルーカ舞曲、(c) 終幕の踊り ホタ舞曲 (情熱的) (以上12:56)

スペイン舞曲〜情熱的

演奏 (A) ①〜③、(B) ① アルシア・デ・ラローチャ。レコード:K SLA 6339
(A) ④ アーロン・ローザンド (vn.)、マイケル・ワレフスキ (pf) レコード:W H6024
(B) ① Po F35L50155 (CD)
(B) ② Cs 52DC 375〜5 (CD)

2026年9月27日日曜日

フリードリヒ・グルダの《月光》・ソナタ第31番

Beethoven: Sonata in C Sharp Minor (Opus 27 No. 2) "Moonlight"; Sonata in A Flat (Opus 110). Freidrich Gulda, piano. London LLP 150.

グルダのベートーヴェン:月光、第31番 (作品110)

フロリダに住んでいた時、とても小さなタラハシーという町だったのですが、レオン郡公立図書館があり、そこに付随してギフトショップがありました。このお店と図書館とがどういう関係があるのかわからなかったのですが、そのギフトショップの一角に、中古レコードを売っているコーナーがありました。それも公立図書館という性格なのか、クラシックのレコードも置いてありました。ただ持ち主が粗末に扱ったものも少なくなく、例えばこの1枚にしてもジャケットの下が破れていて、セロテープで補修してあります。こんなの買わないだろうと、いま振り返って冷静に考えたら思うのですが、記憶に間違いがなければ1枚25セントで、ジャケットに妙に惹かれ、「25セントならいいか」と思いながら買いました。

家に持ち帰って聴いてみましたが。ジャケット同様レコードの盤そのものもかなり傷んでおり、特に第1面の月光ソナタの方は、かなり聴き込んであったのか、とても鑑賞に耐えられるものではありませんでした。ただ、第2面のベートーベンの作品110のソナタに関しては、《月光》ほど聴いてなかったのか、ポップ音・クリック音がありつつも何とか聴けるレベルで、デジタル化したときにクリック音を取り除いてみたら、さらに、もう少し聴けるようになりました。

このレコード、ポップ音・クリック音だけでなく、もともとの録音に乗っていると思われるハム音もあり(曲間では消えますので、このレコードのプレス前からあるハム音なのではないかと)、そこは残念でしたが、それはそれとして聴いてみると、グルダの訥々とした演奏に感銘を受け、ベートーベンの後期ピアノ・ソナタにも関心を持つようになったのでした。特に第1楽章と端正ながら力強いフーガが好きで、繰り返し聴きたくなります。

このLPに収録された音源は、現在はグルダのデッカ・ベートーヴェン作品録音集の中に入っているようで、Spotifyにもありますね。レコードを基準にして聴いてみると、やや細身に感じられるのと、スケールが小さく感じられてしまうのですが、おそらくこちらの方が本来の録音に近いのかな、と思いつつ聴いています。ただハム音やノイズも混入するレコード(をデジタル化した音源)も、時々聴きたくなりますね。

2026年9月26日土曜日

ブラスのひびき<英国海兵隊ポーツマス軍楽隊> (エアチェック・メモ)

ブラスのひびき<ウェアリング指揮/イギリス海兵隊ポーツマス軍楽隊>
①ベルリオーズ:《幻想交響曲》第4楽章<断頭台への行進> (5:14)
②ベルリオーズ:《ラコッツィ行進曲》(5:13)
③プロコフィエフ:組曲《3つのオレンジへの恋》から行進曲 (1:40)
④ブリス:《シングス・トゥ・カム》から行進曲 (4:07)
⑤チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調《悲愴》第3楽章から行進曲 (3:40)
演奏:デッド・ウェアリング指揮イギリス海兵隊ポーツマス軍楽隊
[レコード] ミュージック・マスター MM0642
話:秋山紀夫
録音日不明
カセット:AXIA PS-Ix 50 (A)
Dolby-B

英国海兵隊ポーツマス隊の演奏でコンサート・マーチを5曲を聴く内容でした。

<演奏バンドについて>(秋山紀夫さんのコメントによる)
イギリス海兵隊ポーツマス軍楽隊は1767年鼓笛隊として発足した。古い歴史を持ち、英国海軍総司令部に所属するバンドで、現在ピッコロ。フルートに、オーボエ1、クラリネット7、バスクラ1、アルトサック2、テナーサックス1、バス1、ホルン4、コルネット・トランペット8、トロンボーン3、ユーフォニアム1、チューバ2、弦バス1、打楽器4の合計40名の編成。
当時の隊長はテッド・ウェアリング大佐。

Spotifyによく似た選曲の音源がありました。しかしエアチェックした音源と同一かどうかまでは確認できていません。あしからず。

2026年9月21日月曜日

9/19 (土) の『出没!アド街ック天国』にビデオ出演しました

9月19日(土曜日)にテレビ東京で放送された『出没!アド街ック天国』に谷口がビデオ出演しておりました。番組では、ディズニー映画やパークで流れている音楽がゲストを魅了する理由について、ディズニー映画の音楽を研究している谷口に訊くという流れでインタビューが使用されております。

こちらの回は9/26までTVerで見ることができるそうです。当方の出番は20分過ぎっぽいです。下手くそなピアノを弾くホラーな場面もあります (汗)。

2026年9月18日金曜日

ブラスのひびき<スウィフト大尉 (指揮)/コールドストリーム・ガーズ・バンド> エアチェック・メモ (1987年)

ブラスのひびき<スウィフト大尉 (指揮)/コールド・ド・リーム近衛連隊軍楽隊>
① R ・シュトラウス/バンクス編曲/ウィーン市のためのファンファーレ (2'07") 
②スウィフト/ロイヤル・セレブレーション(3'59")
③ ジュナン/ブリッチアルディ編曲/ベネチアの謝肉祭(3’32")
演奏 Fl :デイヴイッド・モロー(③) 
④モンティ/ホプキンソン編曲/チャールダーシュ(3'07") 
演奏 Tb :アンドリュー・フラックスマン 
⑤ビギンズ・ザ・ムービー (8'15") 
[レコード] ミュージックマスター MM0627 
話:秋山紀夫

以上、FM雑誌(詳細不明)から

以下、手書きのメモ
1987-04-12 (Sun.), JOQK-FM
カセット:TDK AR 46 (B),
デッキ:Lo-D D-707II

この月から秋山紀夫がずっと司会をつとめる

<楽団の紹介>
19869月〜10月に来日している。
1785年創立。グレナディア・ガーズ、スコット・ガーズに次ぐ古い歴史と伝統を持つ。
来日時の編成…46人+指揮者で、金管のうち8人からなるファンファーレ隊。
Cl は A. Cl, B. Cl に持ち替え
やや金管が多いが、音色がソフトで美しいのでアンバランスさを感じさせない。

<おもな解説>
①ウイーン市のために書いた (1934年作曲)。エリック・バンクスがファンファーレ・トランペットとバンドのために短く編曲。
②スウィフトが1981年、チャールズ王子とダイアナ姫ご成婚式のために作曲した。
③フルート独奏が聴き物
④トロンボーンの見事な演奏
⑤映画音楽のメドレー。1曲目はストライプス、アイス・キャッスル、マッシュ、ユー・ライト・アップ・マイ・ライフ、スター・ウォーズのテーマの4曲である。

以下、補足情報

演奏団体の表記は、ノートに貼り付けてあった、当時のFM雑誌に書かれていたものをそのまま書き写しています。記事タイトルの方は、現在の一般的表記と思われるものにしています。

この放送に使われたレコードは、The Regimental Band of the Coldstream Guards(コールドストリームガーズ近衛連隊軍楽隊)による『Nulli Secundus』というアルバムのようです。


1987年4月ということは、僕が大学学部に入ってすぐ、ということです。まだ吹奏楽に強い関心があったということでしょうね。ただ大学ではオーケストラに入ってしまっていたということもあるのか、コンクールの方には関心が向かなかったようです。カセットにはコンクール音源をレコードからカセットにしたものやエアチェックしたものもあるのですが、あまり熱心に聴き直していないです。カセットを少しずつ処分しようと意識的にデジタル化するという段になって、一応BGMにして聴いてみたというところでしょうか。



2026年9月17日木曜日

ブーレーズとクレーが描く“透かし彫り”のような軌跡 〜作品:全体 / スケッチ〜 (日本アルバン・ベルク協会)

2026年9月13日(日)18時30分(開場:18時15分)、両国門天ホール
講師:瀬川裕美子 (ピアニスト)

とても刺激的で面白い講演+デモンストレーション演奏でした。ポール・クレーについては大学学部時代、生協で『クレーの絵と音楽』いう本を買いながら積読状態になっていて、あまりちゃんと勉強していなかったり、一方で、ブーレーズの音楽についても石丸電気で自作自演の2枚組LPを買って以来折りに触れて音に触れてはいたもののあまり熱心には聴いていないですし、ましてや彼の音楽技法については、フロリダ州立大学時代に授業で表面的に触れたくらいです。なので今回の公演内容については全くの素人です。なので「すごいなあ」と素朴に感動しつつ、内容についての理解は…ほとんどできてないと思います(苦笑)。

ただピアニストというところから実際にブーレーズ作品を網羅的に演奏されてきたからこそ分かる、一つ一つの音符レベルの話が先行研究の深い読みにつながってくるということは実感できましたし、一方で、マクロ的な視点については、学者や音楽家が学ぶ「一般的」な音楽史の視点からは導き出しにくいというところもあるんだろうなあと思われます(良い意味で)。実際会場にいらっしゃった作曲家の方が、パウル・クレーの作風がブーレーズの音楽とはかなり違うと言われたのは、なるほどそうかと思いつつも、しかし演奏してみての実感として、瀬川さん的には「装飾」という観点から、探求へのインスピレーションを感じ、実際にその探求を行動に移されていること、その熱意には大いに感動させられました。

いわゆる前衛音楽を演奏する人が極めて学級的であるということは当たり前のことなのかもしれませんが、それにしても、国立音楽大学で素晴らしい成績で卒業された方の講演内容、とても素晴らしかったですし、考えている内容をその場で演奏できるのは、やっぱり大きなアドバンテージであると思います。またその演奏してみて感じた内容を即座に判断し、クレーやブーレーズと即座に結びつけて考えることは、私の能力では全くできないと思います。

耳から得られる白熱した音の塊、あるいは流れる響きと言うのは、他の何にも変えがたい貴重な経験だったと思います。とりあえずプレーズ作品を聴いてみなければ、という素朴な気持ちが芽生えてきたところです。

2026年9月16日水曜日

ハワイの思い出/小鳥啼くハワイ (Hawaiian Memories/Souvenir d'Hawai)

カナリヤとハワイ管弦團 (Canaries with Hawaiian Orchestra) 日本ビクター蓄音機 JM-4A、『ビクター描冩音樂アルバム』所収.


一時期「セミクラシック」なる分野の音楽に興味を持っていたことがあって、いろいろな音源を探していて、このYouTubeと同じSPレコード・アルバムを、確かYahoo!オークションか何かで買ったことがあります。上がっている音源は、とてもうまくノイズ処理がされていて聞きやすいです。私の持っているSPレコードはもっとノイズがすごく (盤の状態ということもあると思いますが) 、派手にパチパチ音が鳴っています。

ただ、その私の持っているパチパチするレコードでも、おそらく電気録音だと思いますが、低音がとてもしっかりと入っていて驚きます。ちなみに私は78回転が再生できるレコードプレイヤーを持っていませんので、45回転で再生し、それをAudacityで78回転に直して聞いていました。カートリッジはオーディオ・テクニカのSP専用のものを買いました。

さて、この《小鳥啼くハワイ》という曲ですが、この音源では、カナリア (水笛で演奏している) の鳴き声が派手に入っています。ところがインターネットで別の演奏があるか探してみると archive.orgには2つほど音源がありまして、いずれも小鳥の声は入っていないようです。しかも、2つともドイツのSPレコードと言うところがとても面白いです。確かにこのワルツの響きは、アメリカ的と言うよりはヨーロッパ由来のものなのかもしれないと思ったりもします。

Take Banescu mit seinem Künstler-Orchester (archive.org)
 

Marek Weber (archive.org)

気になって作曲者のJosé Armándolaについて調べてみると、インターネット検索ではDiscongsに情報がありました。それによると、ホセ・アルマンドーラの本名はヴィルヘルム・アウグスト・"ウィリー"・ラウテンシュレーガー (Wilhelm August 'Willi' Lautenschläger) というそうです。彼は、ピアニスト兼クラシック作曲家であるヴィルヘルム・ラウテンシュレーガーが作曲活動に用いたペンネームなんだそうです。アルマンドーラはベルリンの「黄金の20年代」と呼ばれるレヴュー全盛期に楽曲を提供したことで最も有名になりました。その際に作品の趣旨によりふさわしい、エキゾチックなペンネームを選んだということです。

曲自体はドイツ由来で、それがアメリカに渡り、水笛による鳥の声を足して、その音源が日本にやってきたということになりそうですね。しかも、もともとのタイトルは《小鳥啼くハワイ》というよりは《ハワイの思い出》だった可能性があります。

2026年9月3日木曜日

カリヨンによるバッハの《トッカータとフーガ》ニ短調BWV.565

Bach on Bells 🔔 | Toccata and Fugue in D minor, BWV 565
Toccata and Fugue in D minor, BWV 565 Played on the historic carillon (🔔1660) of the Laurenskerk in Rotterdam (NL). 00:00 - Toccata 02:56 - Fugue
フーガの部分はさすがに2人で弾いていますが、それでもすごいですね!

2026年8月31日月曜日

珠玉のホーム・ミュージック (Musics For Home Library)

Polydor (日本グラモフォン) LPPM-1026 (LP)

収録作品:
A- Side
1. ペルシャの市場にて…ウイルヘルム・ステファン楽団
2. ドナウ川のさざなみ…ミハエル・ランナー楽団
3. ヴェニスの謝肉祭…フランツ・マルスザレク楽団
4. アルベニスのタンゴ…ハンス・カルステとベルリン・プロムナード・オーケストラ
5. かっこうワルツ…クルト・エーデルハーゲン楽団
6. のばら…ドン・コサック合唱団
7. ローレライ…リカルド・サントス楽団

B-Side
1. 波濤を超えて…ミハエル・ランナー楽団
2. ブラームスの子守歌…ドン・コサック合唱団
3. 口笛吹きと犬…ヘルムート・ツァハリス楽団
4. トロイメライ…ワルター・ギュンター楽団
4. 金と銀…フランツ・マルスザレク楽団
5. 春の歌…ウイルヘルム・ステファン楽団
6. 女学生…フランツ・マルスザレク楽団

珠玉のホーム・ミュージック(LPジャケット)

一時期、セミクラシックなるものに関心を持ってまして、その頃におそらくオークションではなく、どこかの中古レコード店で買った1枚だと思われます。放送局からの放出品だったようで、ジャケットからはわかりにくいですが、レコードのラベルの上に放送局のコールネームが入ったシールが貼り付けてありました。JOHKと書いてあるので、もともとはNHK仙台放送局にあったものでしょうね。

「ポリドールご自慢の一流楽団の演奏による」という触れ込み(解説=志鳥栄八郎)なので、日本独自の編集盤なのでしょうか?

この中で素敵だなあと思うのがローザスの《波濤を超えて》という曲です。このローザス、調べるまでメキシコの作曲家ということを知らなかったのですが、30代の若さで亡くなったということです。演奏している「ミハエル・ランナー楽団」というのはMichael Lanner und seine Wiener Walzer-Solistenというそうで、1940年代後半から1950年代前半にかけて活躍した、ウィンナー・ワルツや軽音楽(イージーリスニング)を専門とする楽団なんだそうです。ライナーによると「曲はウインナ・ワルツ風に書かれています」とあるのですが、それは楽譜からも分かることなのでしょうか? 演奏を聴く限り、ウィンナー・ワルツのあの独特のリズム感があって、実に味わいがあります。《ドナウ川のさざなみ》もそうですが、ツィター?が入ってるのもいい感じ。

《ペルシャの市場》は、演奏によっては合唱の入る有名な箇所が電子オルガンで演奏されていて(2回目はうっすらと団員が言葉なしで歌っているっぽい…)、ちょっとそこは時代を感じます。テンポの緩やかな箇所にもこの電子オルガンが背後から聴こえてきて、個人的な趣味とは合わないかも。また他の演奏では聴いたことがない対旋律が挿入されていたりもします。またいろいろ反復が省略されていたり、アレンジも随所に加えられているようです。

《口笛吹きと犬》は、この中で一番ジャズっぽいアレンジがされています(後半はヴァイオリンも即興しています)。しかしハープシコードが入っている辺り、時代を感じます。旋律は口笛で吹かれていますが、随所に即興的な装飾が入っており、犬の声もあちこちに入っています。

2026年8月28日金曜日

江戸屋子猫+山本直純の映像 (録画日不明)

富山の書庫にある録画テープをデジタル化したものがパソコン内にあって、久しぶりに見た映像です。もともとはVHSテープのうしろの方に録画されていたもの。録画日は不明なのですが、1990年代前半ではないでしょうか。確かテレビをつけたら面白そうな曲をやっていたので、急いで録画したんだと思います。江戸家小猫氏が1曲めの終わりに「山本先生が…作ってくださいました」と言われていたので山本直純作曲ということが分かりました(いまごろ…)。

それで、曲目と作曲者でググってみたら、AIが初代江戸家小猫(後に四代目猫八を襲名)と山本直純指揮札幌交響楽団が1985年に初演したと教えてくれました。2021 年 11 月 26 日にSENZOKU ストリングオーケストラが山本 直純(編曲:山本 祐ノ介)/ミミクリーコンチェルト《動物の四季》を演奏しており、その時のプログラム解説に作曲の経緯が書かれています。札幌交響楽団にも情報がありました。

録画の内容は以下の通り…
1) ホトトギスのワルツ (山本直純作曲)…冒頭欠け?
2) アヒルの散歩  (山本直純作曲)
3) 虫のセレナーデ (山本直純作曲)…説明だけで演奏は収録されず。

どこかに続きは録画してないのかな…?

2026年8月23日日曜日

RCAビクター、小学校のためのレコード・ライブラリー、鑑賞編、低学年用、第1巻・第3巻

前の投稿に引き続き、©1947となっている、RCA Victor の小学校向けのレコードをご紹介します。

RCA Victor Orchestra, Ardon Cornwell, Various - Listening Activities Volume 1 for Primary Grades. Copyright 1947.

0:00 Brahms - Lullaby. 1:48 Brahms - Little Sandman. 3:06 Rousseau - Hush My Babe. 4:16 Mozart - Lullaby. 5:24 Schubert - Cradle Song. 6:40 Joseph Barnby - Sweet and Low. 7:44 Fred Fradkin, Gabriel Pierné - March of the Little Lead Soldiers 11:26 Bizet - Petite Suite 14:49 Victor Herbert - Badinage 15:24 Legend of the Bells 16:15 Dvořák - Humoresque 17:28 Beethoven - Scherzo 18:02 Paderewski - Minuet 18:55 Popper - Gavotte 19:20 Beethoven - Minuet 20:02 Rock-a-Bye Baby 21:22 Fred Fradkin - Run, Run 22:53 Ring Around the Rosy 23:40 Octavio Pinto - March Little Soldier 24:45 Sleeping Time 26:12 Octavio Pinto - Hobby Horse

*YouTubeの曲目データは、こちらで若干補いました。

前回の投稿でも触れましたが、同じ内容の音源がSPレコードとドーナツ盤の2種類で発売されていました。この投稿者は Victor Record Library for Elementary Schools の音源を複数挙げていますが、ものによってはサーフェス・ノイズがけっこう入っているものと、そうでないものがあり、前者はSP、後者はドーナツ盤なのかな、と勝手に推測しています。

ちなみに当方が持っているドーナツ盤の曲目リストでは、1曲目のブラームスから6曲目シューベルトまでがすべて「子守歌」というカテゴリーで括られています。観賞用レコードなのに「子守歌」かけちゃうと、寝そうです…。

また、他の盤でもそうですが、クラシック作品をそのまま聴くということではなく、それをさらにムード音楽的にアレンジしたものが多く入っているように思います。ピアノ曲もオーケストラ編曲になっていますね。RCA Victor は Adventures in Music というLPのシリーズを1962年からリリースしますが、そちらは原曲に忠実にをモットーとしているように思われます(ただしピアノ曲のアレンジもありますが)。またAdventures の方はハワード・ミッチェル指揮ワシントン・ナショナル交響楽団に録音されており、お金もしっかりかけて、本格的なものにしています。

RCA Victor Orchestra, Ardon Cornwell - Listening Activities Volume 3 for Primary Grades.


MacDowell - Marionettes. RCA Victor Orchestra.
0:00 Witch 1:16 Clown 2:23 Villain
3:39 MacDowell - Of Br'er Rabbit, Ruth Cumbie, piano 5:20 MacDowell - To a Water Lily. Ruth Cumbie, piano 7:53 Rebikoff - March of the Gnomes from "Christmas Tree Suite" 10:34 Gounod - Allegretto from "Faust Ballet" 11:46 Grieg - March of the Dwarfs from "Lyric Suite," Fred Fradkin, conducting RCA Victor Orchestra. 15:04 Leopold Mozart - Toy Symphony (Part 1). RCA Victor Orchestra. 18:40 Leopold Mozart - Toy Symphony (Concluded) RCA Victor Orchestra. 21:56 François Schubert - The Bee. Max Pollikoff, violin; RCA Victor Orchestra. 22:52 Chopin - Waltz in D-Flat. Max Pollioff, violin; RCA Victor Orchestra. 24:16 Mendelssohn- Spring Song. Unknown harpist with RCA Victor Orchestra.

Volume 2は見当たらなかったので、とりあえずVolume 3の方を。グリーグの<小人の行進>といえば、「シリー・シンフォニー」の『骸骨の踊り』でも使われていますね。なお《おもちゃの交響曲》の作曲家がハイドンになっていたのは直してあります。

RCAビクター、小学校のためのレコード・ライブラリー、リズム活動(基礎)編、中高学年用、第4巻、レコード1

Basic Rhythms Program, Volume IV, Record 1. RCA Victor Orchestra; Ardon Cornwell, conductor. RCA Victor WE 74 (45 rpm). Copyright 1947.

収録曲
ワルトトイフェル:スケーターズ・ワルツ
モーツァルト:交響曲第39番第3楽章(メヌエット)より
アンリ・ギース(アードン・コーンウェル編曲):アマリリス(ガヴォット)
シューベルト(コーンウェル編曲):ワルツ集(Op. 9b, No. 1; Op. 9b, No. 2; Op. 33, No. 2; Op. 33, No. 6; Op. 33, No. 7; Op. 91a, No. 10)



日本語で内容の説明が書いてある通り、こちらのレコードは、とある日本の音楽教育関係の方から、裸のレコードがビニール袋に入ったままの状態で譲り受けた1枚です。ドーナツ盤です。調べてみたところ©1947なので、SPレコードでも発売されていたはず。他に同シリーズからのレコードがあります。全体のシリーズ名が "Record Library for Elementary Schools" とありますので、小学校の授業で使うものとして録音されたレコードということになります。

収録曲目は上に書いてありますが、いずれもRCAビクター管弦楽団という、おそらく寄せ集めメンバーによる演奏で、アードン・コーンウェルという人が指揮をしています。このコーンウェルですが、取り急ぎDiscogsに挙がっているプロフィールを自動翻訳を使って読んでみましょう。
アメリカのオーケストラ作曲家、編曲家、指揮者、ピアニスト。フランク・コーンウェルの弟である。
1904年9月5日、米国マサチューセッツ州ウォルサムで生まれた。
1962年2月16日(57歳)、米国ミズーリ州カンザスシティで死去した。
死去するまで、作詞家のヘレン・E・マイヤーズと結婚していた。
彼はフル・シンフォニー・オーケストラのための多くの作品を残し、ラジオ番組『ザ・ベル・テレフォン・アワー』の主任編曲者を22年間務めた。また、ドナルド・ヴォーヒーズと共に、ラジオおよびテレビ番組『キャバルケード・オブ・アメリカ』の音楽監督兼指揮者を務めた。
選曲ですが「Basic Rhythm Program」だそうで、リズムを把握するためのものが選ばれています。《アマリリス》以外は3拍子の曲(ワルツ、メヌエット)です。ワルトトイフェルの《スケーターズ・ワルツ》といえば、一昔前であれば「セミクラシック」の名曲として親しまれたのではないでしょうか。モーツァルトですが、なんとトリオ部(オーボエ独奏)から始まり、主部を演奏して終わります。シューベルトのワルツはピアノ独奏曲のアレンジということでしょう。わざわざオーケストラ編曲した意味は、やっぱりオーケストラの方が親しめるからなのでしょうか? あるいは難しい曲ではないのでピアノだったら教師が演奏すればよい、ということなのでしょうか?

演奏は手慣れた感じですが、オーケストラは小さな編成のように思われますので、若干物足りないと思われるかもしれません。フルオーケストラというよりは、サロン・オーケストラという響きです。

[追記] YouTubeには、リズム活動 (基礎) 編のアルバム全曲がアップロードされていました↓

0:00 Emil Waldteufel - The Skaters Waltz 0:54 Mozart - Munuet from Third Movement (Symphony No. 39, in E-Flat) 2:38 Amaryllis 3:13 Schubert - Op. 9b, No. 1 3:46 Schubert - Op. 9b, No. 2 4:19 Schubert - Op. 33, No. 2 4:56 Schubert - Op. 33, No. 6 5:31 Schubert - Op. 33, No. 7 6:16 Schubert - Op. 91a, No. 10 6:58 Tchaikovsky - Snow Drops 8:42 Mendelssohn - Allegro in G 9:38 Playtime No. 4 10:15 Léo Delibes - Passepied 12:20 Dvořák - Silhouette 13:08 Playtime No. 10 14:04 Weber - Country Dance 15:46 Beethoven - Country Dance 17:21 Fred Fradkin, Handel - Gavotte 18:44 Fred Fradkin, Corelli - Gigue in B-Flat 19:36 Fred Fradkin, Vassily Sapellnikoff - Second Gavotte 20:17 Verdi - March (Aida) 21:47 Bizet - March of the Three Kings 23:56 Verdi - Soldiers' Chorus (Il Trovatore) 24:54 Bizet - Toreador Song (Carmen) 26:10 Bizet - Street Boys' Parade (Carmen)

(2026-09-26、改訂)