2025年2月13日木曜日

マイケル・コルグラス:《コンサート・マスターズ Concertmasters》(秋山和慶指揮アメリカ交響楽団)

Robert Rudié, Red Violin; Masako Yanagita, Yellow Violin; Ronald Oakland, Blue Violin American Symphony Orchestra; Kazuyoshi Akiyama, Conductor. Turnabout TV 34704 (LP)

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先日秋山和慶さんがご逝去されたということで、あまり知られていない秋山さんの録音として、これを取りだしてみました。

マイケル・コルグラスはイリノイ大学卒業後、ウォーリングフォード・リーガーとダリウス・ミヨーに師事。生前は打楽器奏者・指揮者としても活躍し、しばしばアメリカ国内のアンサンブルにゲスト・アーティストとして出演していました。

3つのソロ・ヴァイオリンのための《コンサート・マスターズ》はデトロイト交響楽団が初演した作品で、このレコードでは、1962年、当時80歳だったレオポルド・ストコフスキーによって創設されたアメリカ交響楽団の3人の首席団員(ロバート・ルディエ、マサコ・ヤナギダ、ロナルド・オークランド)が独奏をつとめています。3人は1977年4月17日のカーネギー・ホールでの、初演に続く2度目の公開演奏でも独奏をしているそうです(オーケストラもこのレコードで演奏をしているアメリカ交響楽団です)。

レコードのライナーノートによると、この曲は「ロマンティックな印象主義的、ポスト・ウェーベルン的な作品」で、「作曲者のヴィヴァルディへの憧れと、セリエル技法への憧れが結びついた結果」「18世紀、ロマン派、印象派、ポスト・ヴェーベルンなど、従来の技法と不協和音の技法」を融合しているのだとか。そして「軽やかで叙情的なムードを生み出し」、様々な音楽様式を統合しているとあります。

ただ個人的には、あまりウェーベルンという感じはしていないように思いました。フレージングはとても古典的ですし(ヴィヴァルディの影響だから、ネオ・バロックということになるのかな?)、アメリカの真面目な無調音楽という感じがしました。

ところで、独奏者については、通常の「第1、第2、第3ヴァイオリン」という用語をコルグラスは意識的に避けており、赤、黄、青という色を用いています。その理由について、作曲者自身の言葉をライナーノートから引用します。

ソリストの名前をどうするかというくすぐったい問題が出てきた。ヴィヴァルディは自分自身と生徒のために書いていたので、I、Il、IlIと指定することができたが、誰が名ヴァイオリニストに2番、いや3番を弾けと言うだろうか?そこで解決策として、ソリストに赤、黄、青(指揮者に近い赤)の名前をつけることにした。これで、好きな色をめぐって論争が起こることだろう!作曲家の苦悩は終わらない。

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