Phill Niblock "Baobab"
Quatuor Bozzini qb CQB 1924
「ハードコア・ドローン」と呼ばれるジャンルがあるらしい。どうやら反復ではない、音を長く引き伸ばす系の、ラ・モンテ・ヤング流のミニマル・ミュージックを継承するもので、リラックスして聴くことは困難な音楽のことのように思われた。
アルバムに収録されているのは《Disseminate》(1988)と《Baobab》(2011) の2曲。どちらも22〜23分のトラックである。通して流し聴きした感じ、ドローンの洪水の中に浸らされている感覚を覚える。しかし曲の原理原則は、とても繊細に考えられていることを思わされるという作品なんだろう。
ライナーによると、どちらの作品も、ボッゾーニ弦楽四重奏団のメンバーが20のトラックを使ったというマルチ録音で、5つの弦楽四重奏団に相当する20の楽器が演奏されているとのこと。
微分音が使われていて、聴きながら、おそらく倍音の操作なども、しっかりと耳と巧みな演奏技術で調整しながら進めていく作品なのだろう。そういった背後にあるものを考えれば、確かにしっかりと音に対峙しないといけない二作品であるとは思う。とは言っても、楽譜に向かい合う演奏者ではないリスナーは、あまり細やかな音の変化を追うことはできないのも事実だ。だから、どこまで「真剣」に「真摯」に向かうのか、その度合を慮るのも難しい。
最終的には各自で好きなように聴けばいい、ということになるとは思うが、かといって、リスナーの思いのままに、ということでもないだろう。その塩梅を常に思考しつつ向き合うことが、おそらく大切なのだ。
パワフルな作品である。
なお、演奏しているQuatuor Bozziniは「1999年にカナダで誕生した弦楽四重奏グループ」で、「ジョン・ケージやジェームズ・テニー、トム・ジョンソンなど巨匠勢の作品を100曲以上演奏」しているとのこと (→Art into Lifeさんのサイトから)
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