2009年10月22日木曜日

執筆活動報告

レコード芸術』2009年11月号、「海外盤試聴記」において、以下を書きました。

「今月の話題盤:1960年代から70年代にかけて一世を風靡した現代音楽シリーズが復刻 アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ-2」

Wergoがこういうのをやるとは思いませんでした。アメリカの大学にいた時は、図書館で、よく聴いていた名盤LPです。3枚まとめての復刻です。

2009年8月29日土曜日

7月に聴いたものの記録

Focus on P. J. B. E. Philip Jones Brass Ensemble. Argo ZRDL 1001 (LP).

これがなかなかCDにならなくて、中古LPも探していたのだけれど、偶然ヤフオクに出品されていたので迷わず購入。状態も非常によくて満足。もちろんお目当てはヤン・ケツィアーの《ブラス・シンフォニー》。別の演奏によるCDが出てるけど、どうもショボくてねえ。とはいえ、このLPのも、第1楽章は、ちょっと安全運転気味。PJBEが富山市公会堂でやったときは、もっとインパクトがあったような気がするんだけど、当時は中学生なので、記憶の中で美化されている可能性はある。 (2009年7月8日)

Folk Songs and Dances from the Lands of Doyna and Hora: Rumanian--Gypsy. Colosseum CRLP 192 (LP).

《日没の踊り》(A/4) の雰囲気が、ディニークの《ホラ・スタッカート》にすごく似てる。というか、こういう音楽にディニークが影響されたんでしょうね。改めて、ディニークがルーマニア生まれのヴァイオリニストだったことを確認。(2009年7月9日)

マーラー 交響曲第1番ニ短調《巨人》 リッカルド・ムーティ/フィラデルフィアO. ウイーン楽友協会 1984.5.19. 1984.11.26. エアチェック (カセットテープ)

海賊盤が出てるんだったら、そっちの方が音がいいだろうけど、白熱の演奏で良いです。ただ最後でティンパニーが落っこちてたりするのがご愛嬌。この前に収録されているファリャの《三角帽子》からの <粉屋の踊り> でもコール・アングレが 最後の G の刻みをコケている。僕はほかのちゃんとした録音を聴くまで、このコールアングレの最後の音はオクターブ上げるように楽譜に書いてるものだと思ってた。「GGGGGg」みたいに。コココココケッ。ライブって怖い…。 (2009年7月14日)

Shotakovich, The Symphonies. Gurzenich-Orchester Koln; Kitajenko. Capriccio.

キタエンコはOEKで2回聴いてて、とてもよい印象を持っているので、これも入手。とりあえず第3から聴いているけれど、やはりソ連のオケとの違いを改めて実感した次第。録音も素晴らしい。ケースとCD収入袋の作りが弱そうだったので、入れ直した。

Chopin, Piano Works. Leonskaja. MDG.

レオンスカヤ、好きなんですよ。先日オンライン・ラジオでスケルツォ第2番をエアチェックしたんですが、つながりが悪く、音が途切れてました。ライブだったので残念。でもこれで途切れてないのを聴くことができそうです。

Husker Du, New Day Rising. SST.

のっけから、とてもいい感じです。アメリカのFM放送でいうと、メインのポピュラー・ステーションじゃなくて、カレッジ・ステーションでかかってそうなっていうか。僕のフロリダ時代、Student Union 辺りでライブをやってたバンドのスタイルを思い出します。ライナーに歌詞が掲載されているのは、とても良心的。

長崎の月琴 日本フォノグラム PH-7521 (LP).

明清楽の貴重な録音と構えて聴いてみたんだけれど、なんだかお気楽な音楽。のちのポピュラー音楽への影響云々と言われているみたいだけど、まだちゃんと耳と頭がつながっていない。

小泉文夫の民族音楽 第8章 インドネシア I:バリ島の芸能 (ラジオたんぱ、カセットテープ)

小泉文夫の解説は、しゃべりがとてもうまいんだけど、その音楽観や文化観が、どうしても一世代前という感じがしてしまう。あと、社会と音楽の結びつきに関する考察が、かなり表面的なような気がする。もっとも文化人類学とかバリ島社会については門外漢なので、何とも突っ込みのしようがないのも事実であったり。やはり住民として住んでみないと分からないこともあるだろうなあ。皆川厚一さんの『ガムラン武者修行』が好きだったりする。皆川さんの本の内容、特にインドネシアの音楽教授法については、僕の論文の審査をしてくれた先生の一人、Michael B. Bakan がCollege Music Symposiumに書いてるのと近いものがある。とにかくjumping-inする、ひたすらやってみるっていう。聴くと同時に体が反応するという部分がそうだ。 (以上2009年7月19日)

イタリアの民族音楽 I アルバトロス (キング)

なんでイタリアというとカンツォーネだけなのっていう素朴な疑問が出てきますよねえ。サルタレッロやらタランテッラっていうのは、もちろんクラシックでも大作曲家が作ってたりするんですが、民族楽器で演奏したものって、こうなんだっていうのがあります。もっとも、この音源がクラシックに影響を及ぼした「オリジナル」なのかどうかは、歴史的な変化を考えれば、難しいんでしょうけどね。

希望音楽会〜20人の楽聖とその音楽 (下) リストからチャイコフスキーまで  ヴォックス (ビクター) VOX 5593 (LP)

いわゆるクラシックの名曲集ということになるんですが、リストのハンガリー狂詩曲第2番をハンガリア民族アンサンブルが演奏したものが興味深い。もちろん原曲はピアノなのだけれど、民族楽器で演奏すると、独特の荒っぽさがでるもんだ。チボール・ゲーザ指揮西南ドイツ放送交響楽団とかやらによる《軽騎兵》序曲も、なーんだか独特のアゴーギクで、妙に田舎っぽくてイイ。エンディングでファンファーレを演奏する箇所、ショルティ/VPOと同じでテンポを落としている。(以上2009年7月26日)

(mixi日記から抜粋)

2009年6月29日月曜日

最近入手したCDなど

『世界民族音楽大集成 特典盤1・2 世界の民族音楽:民族音楽の解明--土俗音楽から芸術音楽まで』(キング国内盤)

LP時代にプリンス・レコードから出ていた、小泉文夫の解説入り音源のうち、女声のナレーション部分をカットしてまとめたもの。1の方は音階やリズムについて、2の方は様々な声の音楽について解説している。たしかプリンス・レコードのは『世界の民族音楽 第1集』となっていて、続編を期待させるタイトルになっていたんだが、結局続かなかったようだ。僕はこの音源とラジオたんぱの15回の講義の音源から小泉文夫に入った人で、リアルタイムにNHK-FMの『世界の民族音楽』を楽しんだ人間ではなかった。もっとも中学生に民族音楽と出会っていれば、小泉氏のDJが楽しめたかもしれなかったと思うと、残念至極である。 ちなみにこのCDは、ヤフオクで新品未開封を入手。

Mahler. Symphony No. 9. SWF-Sinfonie Orchester Baden-Baden; Michael Gielen, conductor. Intercord.

先日《トリ・イゾ》の前奏曲と<愛の死>を聴いて圧倒されたので、ヤフオクで入手。一時期は高値が付いていたらしいけど、1600円くらいだった。これもなかなか良さそう。ヘンスラーのマーラーは、いくつか持ってるんですけどね。

2009年6月4日木曜日

映画と映画音楽メモ

・映画『壮烈第七騎兵隊』(1942)

They Died with Their Boots Onが原題。Leonard Maltinによると、第2次世界大戦の色が濃く出た映画らしい。題材こそ南北戦争とはいえ、確かにこれは戦争美化映画と言われても、しかたないでしょうねえ。

というのは、映画を観終わってから分かったこと。もともとは、アセテート盤から作られたマックス・スタイナーのサントラ・コンピレーション (ブートレグ) に収録されたスコアを聴いて興味を持ったため、映画本体を観た次第。

肝心の映画の話だが、冒頭部分で気が抜けるようなエピソードが続いて「なんだこの、つまんなさそうな映画は?」と思った。しかしそれが主人公カスターの成長へとつながっていくための布石と分かり、後半の展開が生きてくる。先住民族の扱いについては、この時代でも、意外にセンジティブ。

マックス・スタイナーがこんなジャンルの映画に音楽を書いていたのは意外な気もするのだけれど、南北戦争歌を、うまく織り込んでいる (と書いているうちから訂正したいのだが、テーマ音楽に使われているのは、第7騎兵隊の歌ということのようだ。Garry Owenというタイトルで、映画でもこれが歌われている場面がある) 。ちなみに映画音楽ファンが作ったブートレグには、スタイナーの西部劇映画コレクションというものがあり、恋愛もののメロメロなスコアだけで考えるとスタイナーの全体像が見えなくなるのかもしれない。とはいえ、この映画においてもキス・シーンではスタイナーらしい黄金時代のゴージャスなメロディーが流れる。そう、やるんだったら、ちゃんとやった方がいい。

・映画『懐かしのアリゾナ』(1929)

アメリカ版DVD。トーキー初のウェスタンということで、資料として観た。うーん、どうもかったるい映画だねえ。アクションはないんだけど、拳銃の音はある。インディアンは登場しない。従って、「インディアン音楽」はなし。ずいぶんおしゃべりの多い映画だ。あ、だから「トーキー」なのかな???

2009年5月28日木曜日

最近観た映画

ごぶさたしております。日記はmixiに書くことが多くなり、こちらに書いていないのは、申し訳なく思います。時々、そのmixi日記を転載していきたいと思いますので、よろしくお願いします。なお「富山の音楽・石川の音楽」については、別のブログで続ける予定です。詳細が分かりましたら、またお知らせいたします。

さて最近は、西部劇映画について読んだり、実作品を観ています。The Bfi Companion to the Westernは、西部劇に登場するアイテムや、映画監督・俳優などのデータに長けているけれど、映画作品についてのエントリーは少なめ。The Western (Aurum Film Encyclopaedia)の方が、作品年代と、各作品の大まかなことを知るには便利。両者をうまく使いこなすことが大切かもしれません。

関係ないですが、県立図書館から、柳沢一博の『ヴィスコンティを求めて』、アンヌ・ジランの『トリュフォーの映画術』、池波正太郎+淀川長治の『映画行脚』を借りてきました。

映画『ビッグ・トレイル』 (1930)

ジョン・ウェインのデビューだったんでしょうか。顔が若いので分からなかったんですが、あの独特な話し方で「えっ、これってジョン・ウェイン?」と気付きました。

『ビッグ・トレイル』は興行的に大失敗だそうで、いわゆるAプロダクションとしての西部劇が本格的に量産されるのを10年近く遅らせることにもなったようです。まあ、確かに途中で眠くなってしまう箇所が、特に前半部分に多いですね。

ぱっと観た感じ、予算がかかっていることを感じさせられる箇所があり、大西部を見せつける箇所も、白黒映像とはいえ、壮観でさえあります。ただ、おそらく台本にまとまりがないのと、オーバーなセリフ回しなどが、気になるところかもしれません (あのコメディアンが不必要だと指摘する本も) 。それゆえに、不思議なくらいに感情移入しにくいです。

音楽的にも、通常なら入っているだろうと思われる箇所にないと不満になるものです。例えば幌馬車の進む場面。効果音だけが淡々と聞かれます。リアルにはそうなのかもしれませんが、あまりにニュートラルという感覚もありますね。またサイレントのフォーマットをひきずっているため、音楽が専ら場面転換用になっているという印象も受けます。

一方で、いわゆる「インディアン音楽」はすでに登場しています。これが分かったのは収穫なのかも。

映画『バファロー大隊』 (1960)

これはウェスタンというより、南北戦争時代の黒人を対象とした「法廷劇」という感じでした。回想でずっと持っていってます。しかし、先住民族にかんしては、相も変わらず「群衆」あるいは「物」扱いのような気がします。

主題歌は陽気な愛唱歌風だったと記憶していますが、ハワード・ジャクソンのスコアは、なぜか覚えていません。

映画『黄金』

500円DVDは、ハンフリー・ボーガートがジャケットの表紙になってて、映画の冒頭も、彼が中心に進んでように思えたんだけど、そういう風にきましたか。ただ、個々の部分に関して「イマの映画だったら、もっといろいろ仕掛けをしてくるようなあ」というところがあり、肩すかし的なところもあって、それが、いいのか悪いか、というのはありそうです。とはいえ、映画の後半は、心理劇として、とても面白く、「これも西部劇なのかー」と見識を新たにしました。フロンティアの発想であるとか、開拓の苦労とか、アングロサクソン的な歴史観として琴線に触れる部分もあるのかな。川渡りの苦労とか、馬車での峠越えとか。

マックス・スタイナーの旋律、結構残りました。おちゃらけな旋律が飛び出すのは、映像を見ると、雰囲気に合ってるように思えました。ラテン・アメリカ系の色を出しているのは、漠然とサントラだけ聴いている時は、気がつかなかったような気がします。