『都響』エッセイ集の一つとして「アメリカのシェーンベルク ~ 創作、交友、教育」という文章を書きました。どうぞよろしくお願いいたします。
https://www.tmso.or.jp/j/archives/special_contents/2024/2024essay/column/column07.php
音楽に関することを中心に、日々のできごと、思いついたことなどを、きままに書いていくブログです。別のブログやmixiに掲載していた記事を復活してここに掲載したものもあります。
『都響』エッセイ集の一つとして「アメリカのシェーンベルク ~ 創作、交友、教育」という文章を書きました。どうぞよろしくお願いいたします。
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『ランダル・トンプソン・プログラム A Program of Music by Randall Thompson』から。作曲者指揮ハーヴァード大学・グリークラブ、ラドクリフ・コーラル・ソサイエティ Harvard Glee Club – FH-RT モノラル録音LPレコード
出だしは 40前半〜後半BPMなのだが、盛り上がってくると50BPM台に入る (Lento指示らしいけど、冒頭はLargoじゃないのって思うくらい)。録音のせいなのかもしれないけれど、冒頭とクライマックスとの強弱の差も激しく、再生装置の音量設定もなかなか難しいかもしれない。
Lejaren Hillar, Sonata No. 4 for Piano (1950); Sonata No. 5 for Piano (1961). Frina Arschanska Boldt (No. 4); Kenwyn Boldt (No. 5). Orion ORS 75176.
レジャレン・ヒラー:ピアノ・ソナタ第4番 (1950)、第5番 (1961)。フリーナ・アルシェンスカ・ボルト、ケンウィン・ボルト(ピアノ)
レジャレン・ヒラーというと、どうしても音楽理論にもとづいたアルゴリズムによってコンピュターに作曲させたという弦楽四重奏のための《イリアック組曲》 (1957) のことを思い浮かべてしまう(曲の方は腑抜けするほどAIの作ったクラシックのような感じというべきか…)。しかし、彼自身が自分の意志で書いた曲 (?) はどんなものなのかな、という疑問を持って、このレコードを入手してみた。ヒラーって、プリンストンで化学を専攻しながら、作曲をミルトン・バビットとロジャー・セッションズに師事していたらしい。そうなると、余計に前衛/無調系なのかな、と思いつつ、でも、サイエンス系・技術系の人は、案外保守的な音楽好みなのでは、という先入観も持ってみたり。
作曲家自身による解説文よると、このレコードが発売された時点で、ヒラーは6曲のピアノ・ソナタを作曲していたらしく、収録されている4番と5番のほかには第1番(1946)、第2番(1947)があるという(3番には言及がない)。他にもピアノのための長大な作品があり、そのうち《12音による変奏曲 Twelve-Tone Variations》は別のレーベルに録音されているとのこと。ちょっと調べてみたら、そのレコードはTurnabout TV-S 34536で、YouTubeでも聴くことができる。
さてピアノ・ソナタ第4番の作風の特徴としてヒラー自身が説明するところによると、「最後のソナタを除く他のソナタのほとんどとは対照的に、ソナタ第4番はややプログラム的で、唯一ユーモラスな作品である」のだそうだ。確かにソナタ第4番の第2楽章にはスイングの感覚が感じられたり、黒人霊歌っぽい部分があったり、民謡っぽい部分があったり。クラシックは基本としつつ、いつの間にか異質なものが混ぜ込まれているという印象を持った。一方の第1楽章はロマンティックな作風だったりもする。
第5番のソナタは New World から別のピアニストによる演奏がCDでリリースされている。第1楽章は、すべての音程関係(短2・長2、短3・長3、完全4…)を含む音列が使われているそうだが (C, As, D, F, G, H, B, F, Es, E, A, Fis)、12音全てではなく、F音が重複し、Cesは欠けているとのこと。ソナタ形式を踏襲しつつ、再現部では(2つではなく)3つの主題が逆の順番で提示されるとのこと。