2005年5月26日木曜日

2冊の雑感

朝日新聞社会部編 『言論の不自由:朝日新聞「みる・きく・はなす」はいま--十年の記録』 怪書房、1998年。

日本には法律で規定されていないのに、それ以上に人を縛り付けるような「social pressure」が多い。私の友人も、常々このことを指摘していた。いわゆる「出る杭」の他にも少数意見(少数派)の強固なまでの排除もある。そういった行為が総じて全体主義につながりやすいというのは全くもってその通りではないかと思う。

もともと新聞の連載だったためか、事象の掘り下げにはやや物足りないところもあるが、反対に多くの事例から全体を通貫する問題が感じられるように思った。日常レベルで、無意識的になされていることを考えることになると思う。

土井健司 『キリスト教を問いなおす』 ちくま新書、2003年。

「平和を説くキリスト教が、なぜ戦争を引き起こすのか」という刺激的なタイトルが第1章。昨今のブッシュ政権とキリスト教会との強い結びつきを考えると、このような問いが信徒に向けられるのは避けられないことだろう。だが私はブッシュのやり方は大嫌いだし、アメリカのクリスチャンにだって戦争反対の意志を表明する人はいる。

個人的にはこの問いは「キリスト教」ではなく「キリスト教徒」に置き換えて考えるべき問題だと思う(土井さんも、このことに触れられてはいるようだ)。人間の愚かさを主との対話で知るのがクリスチャンであるはずだ。私だっていつ間違うか分からない。

ところで、相変わらずハワード・ジンはいいこと言うなあ、と思う→こちら(英語)を読んでみてください。まあ「アメリカはユニークで云々」の下りは、これがアメリカの大学の卒業式で話されていることだということを差し引いて考えるべきなんでしょうけど。

(2005.5.30.追記) 久しぶりにジンについて検索。C-SPANに1月の番組をアーカイヴしたものが残っていた(Howard Zinnで検索かけました)。ブッシュの再選のことから話が始まっていて、いきなり「うん、うん」とうなずいてしまった。フセインがみつかってもなぜイラクに米軍がいるのかっていう素朴な疑問にも感心。つまり民主化にも独裁政権にも、最初から関心がなかったのだと。石油に関する利権と中東における覇権主義だと。こういうことは日本では盛んに言われているけれど、アメリカのメディアでこういう発言がでるのはすごい。アメリカが(太平洋戦争の)戦前・戦中、帝国主義勢力に対して戦ったのは確かだが、そのアメリカ自体もずっと前から帝国主義を同じように行っていたと、愛国的で熱狂的に語る電話の視聴者に冷ややかに答えていたのもすごい。番組の方もいちど視聴者の話が終わると電話の音声をすみやかに切っているからうまくいくのだろうな。「あなたみたいな人は最も非アメリカ的だ」という電話に対しては何がアメリカ的なのかについての再考を促していた。

最後は通信衛星が自動的に切られて終わってしまったけれど (^_^;; その前に視聴者が「あんたは共産主義者か?」という問いを投げかけていたのは興味深い。そうすると、今のブッシュ政権のやり方に反対する、少なからぬ日本人(+アメリカ以外の国の人)はみな共産主義者となるだろう(ちなみにジン自身は共産主義者ではないが、民主社会主義のようなものは信ずるし、平和主義者であるというような返答をしていた)。

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