富山市の中央商店街である西町には街頭放送がある(もうなくなったかな?)。あれを聴くと「街」へ来たなあと幼い頃は思ったものだ。富山駅前にも街頭放送がある。きちんと聴いたことは一度もないのだけれど、おそらく商店の宣伝文句をしゃべっているのだろう。専門の放送スタジオがあるはずだ。
今日立山町に用事で出かけた帰り、この街頭放送に偶然出くわした。五百石天満社付近の交差点でのことだった。昔ながらの商店街を眺めて、きっとかつてはここも大きな商業の中心だったのだろうな、と思いを馳せた。
一方この街頭放送が「富山=田舎」を思い起こさせるという富山出身者も少なくないようだ。そういえば金沢や新潟にはなかったように記憶している。唯一覚えているのは新宿駅近くか。アルタから西へ歩き、ガードをくぐってすぐのところ。交差点付近で街頭放送の声を聞いた。交通量は富山よりもずっと激しいのだろうが、ひどく懐かしく感じものだった。
サウンドスケープ的に考えれば評価はあまり高くないと考えられるが、ノスタルジア的な気持ちも加味すると、ひいき目にみてしまうところがある。
かつては大和デパートの屋上から、夕方になるとメロディー・サイレン(といったっけ???)というのも流されていた。どんな旋律が流れていたか覚えてないけれど、歩いて20分くらいのここまで聞こえていたと思う。いつの間にかなくなってしまった。デパートの屋上で鳴っている場に遭遇したことがある。タイマーかなにかになっていると思うんだが、サイレンが鳴り始める前に少しウォーミング・アップがある。ポンプが動いているような音だ。そしてサイレンがメロディーを鳴らし終わったあと、ポンプが止まるのだろう。ここでいつも、かすかに鳴り残ったサイレンの音が少しずつずり落ちていくのが聞こえた。いわゆるグリッサンド音だ。おそらくオルガンのような原理でできていたから、ああいう音が出たのかと思うが、小さいころ、あのグリッサンド音に、妙に「むなしさ」「はかなさ」を感じていた。我ながら、変な奴である。
こういった時間になると音を奏でる装置には妙に興味を持ったことがある。小学校のときのチャイムもそうだ。いまはおそらく電子音なのだろうけれど、昔は仕掛け時計のような物が職員室にあり、実際にミニチュアの鉄琴のようなものを自動で叩く棒のようなものが時計の真ん中から4つぶら下がっていた。
チャイムを鳴らす時間になると、4つの音程でできたチャイムが鳴り出す。その時、この棒のようなものが動くのがとても面白い。一旦この棒が手前に引かれ、勢いを付けて、後ろにある金属片を叩くのである。この「引き」の動作は、チャイムの一音ごとに行われ、きちんとチャイムの旋律になるようにタイミング良く動くのがとても面白かった。
チャイム自体はあまり好きではなかったけど、あの時計には、ものすごく興味を持っていた。
これも、ノスタルジアなのかもしれない。
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