2005年6月22日水曜日

A Festival of Russian Music

フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 米RCA Victrola VICS-1068 (LP)

チャイコフスキーやグリンカといった国民楽派の音楽では、私など、ついロシア民謡風の(あるいはロシア民謡そのものの)旋律にばかりに耳が行ってしまいがちだ。しかしこのライナー指揮の見通しの良い演奏では、旋律以外に同時進行する様々な要素を聞くことになり、結果として曲が実に立体的に感じられる。「本場」ロシアの指揮者・オーケストラ、あるいはその録音にしばしば聴かれるどろどろとした感じ、渾然一体となって迫ってくる「戦車」といったステレオタイプに泥酔するのであれば、この録音はたぶん失格なのだろう。しかし極めて落ち着いて楽譜に流れる線を丁寧に紡ぎ出す演奏という印象を持った。特に《スラブ行進曲》に感心した。楽曲分析をするのにはいいのかもしれない。

Marche slave, by Tchaikovsky.--A night on Bare Mountain, by Moussorgsky.--Russlan and Ludmilla: Overture, by Glinka.--Marche miniature, from Suite no. l in D minor, op. 43, by Tchaikovsky.--Prince Igor: Polovtsian march, by Borodin.--Colas Breugnon, op. 21: Overture, by Kabalevsky.

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