ラヴェル/ヘブライの歌 [歌曲集] ジェラール・スゼー(バリトン)ほか。東芝EMI(EMI Classics)TOCE-9847
例えばカバレフスキーという作曲家が《道化師》組曲で語られるとすると、彼の作風の全貌を見失うような気がする。ホルストも《惑星》というのは、彼の作品群の中では特異な存在だろう。プーランクには二面性があるというのは有名だ。
ラヴェルの場合も一般的には《ボレロ》などで知られているのかもしれないが、《マダガスカル島民の歌》の<アウア!>に出会った時は度肝を抜かれた覚えがある。タフツ大学というマサチューセッツ州の大学の修士課程の面接に行った時、ついでに授業を受けてみたらと言われ(マーク・ディヴォートという、ピストンの『和声法』の改訂をした人)、確かその時に聴いたのがこの<アウア!>だった。「これがラヴェル? 何かの間違いでは?」と思ったほどである。
もしかするとこの<アウア!>がラヴェルの中では特異な作品なのかもしれない。しかし、一人の作曲家の作風を掴むのが難しいケースも多々あるものだと、改めて思う。
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