2005年2月20日日曜日

ディズニー・アニメあれこれ

『ホーム・オン・ザ・レンジ』  (2004)

ディズニーによる2Dアニメの最後と公表されている作品が日本ではついに劇場上映されずDirect-to-Videoとして発売された。登場人物・物語は西部劇をひとひねりしたということだそうだけれど、音楽はハリウッド西部劇のサウンドをしっかり踏襲。一部にヨーデルが入り、バラードも美しい。アラン・メンケンの才能が光る。

メンケンの才能を疑うわけではないが、やはり『リトル・マーメイド』、『美女と野獣』と続くと、やや作風が予測できてしまうので飽きてしまうところがある。『ホーム・オン・レンジ』の場合、作風が違っているのでリフレッシングだったと思う。

インターネット上のレビューでは「大笑いするほどではないが面白い」、「すぐに忘れられるような作品」という厳しい意見も見られる。しかし一夜のエンターテイメントとして観れば、それほど悪い作品ではないと思う。2004年最大の名作というと、そもそもこの映画がそういうものを目指していないように思えてしまう。カートゥーン風の画は面白い。

『ビアンカの冒険~ゴールデン・イーグルを救え』 (1990)

歌が1曲もないフォーマットは『コルドロン』以来か。しかしアンダースコアはとても効果的であるし、画的には美しくスケール感がある。作品としての仕上がりもなかなかで、もっと評価されていい作品だと思う。邦題は何とかならないものか…。今度はサントラもじっくり聴いてみたい。

『南部の歌』 (1946)

実写とアニメの合成。登場する黒人が召し使いとして幸せそうに白人に遣えるという描写が問題だとしてDVD化もされていない不幸な歴史を持った名作。南北戦争以降が物語の設定となっているので、いわゆる奴隷制は(少なくとも形の上では)存在していないし、たとえ当時の黒人の置かれている状況がこの映画と違い、はるかに酷いということがあったとしても、この映画の価値は揺るがないように思う。

というのも、一度みただけでも感じられるのは、むしろ子どものような純粋な心を持てば人種や身分の分け隔てなく人生の素晴らしさを謳歌することができるということだからだ (SaveDisney.comには、もっと優れた論考がある)。反対に人種の認識とそれに付随する差別というのは大人になる過程で身に付き、主人公の母親のようになってしまうのだろうか、と思われてしまうのである。そして、白人で大人になった人々のいくらか(ここでは母親がその一人だとして)が、かつてリーマスおじさんに対してとったように黒人に接していたのではないか、そういった過去に向かい合えないアメリカ人が、この映画を封印しているのではないかということである。もちろん真意は分からないが、もしもそうだとしたら、とても残念なことだと思うし、そうでないことを願っている。

なお私が観た日本盤LDでは、音楽の冒頭部分が数秒欠けているようだ(サントラでこの部分は確認できる)。また日本語で「南部の歌」というタイトルが英語のタイトルの出る場面で出される。これは残念ながら消すことはできないようだ。またフィスク・ジュビリー・シンガーズが歌う黒人霊歌スタイルで書かれた合唱ナンバーも2つあるようだ(その他の部分では黒人音楽の要素を直接感ずることはなかったように思う)。アニメの部分・実写の部分、それぞれに別の作曲家が担当しているが、明確に感じられるような作風の違いはない。

なお『南部の歌』に関しては、こちらを参照していただきたい。

その他、ドン・ブルース監督の『ニムの秘密』 (United Artists)の冒頭部分をもう一度。一回目の時はこの部分に集中できなかったけれど、話の深さが分かると面白い。アメリカにはとてもコアなファンがいるようだ。

追記(2005.3.3.)
『南部の歌』スペシャル・エディションDVDが 2006年、アメリカで発売されるという情報があるそうです。未確認ながら。こちらをご参照あれ。

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