2004年12月31日金曜日

まもなく2005年

関東地方では雪が降っているそうだ。富山でも5センチほどの積雪がある。しかしかなり水っぽく、すでに溶けている。

今日は『ムーラン』のDVDに乗じてサントラを購入。ディズニー公式CDでは《闘志を燃やせ》(現題は《お前を男にしてやる》みたいなニュアンス?)が好きな曲だ。ファンの間ではジェリー・ゴールドスミスのシンフォニックなアンダースコアと挿入歌のスタイルが合わないという意見もあるが、そもそもムーランが出征する場面でもシンセがふんだんに使われているのだから、そういう意見はちょっと割に合わないように思える(と言いながら、私も最初に観た時は、違和感を感じていたのかもしれない。DVDでは全くそういうことを意識しなかったのだが)。まあアラン・メンケン時代のような緊密な関係は望めないのかもしれないけれど(『ライオン・キング』はハンス・ジマーが歌・スコアの両方に関わっているのだから、また事情が違うのだろうな)。

一方公式サントラCDは挿入歌集+アンダー・スコア・サンプル集という趣で、ゴールドスミス担当の部分の面白さが今一つ伝わってこないきらいがある。せめてフン族の襲来~雪崩の場面の音楽が欲しかった。

(05.01.02. 追記)公式CDの『フン族の襲撃』は、雪崩シーンの場面に使われている音楽だが、その前に別の場面(兵役訓練場?)からの音楽も取り混ぜて組曲風になっている。

2004年12月28日火曜日

サイト更新

音楽雑記帳に「ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲演奏会」、公演3回分の解説をアップロードしました。すべてPDFファイルになっています。

2004年12月26日日曜日

ギュンター・ヴァントDVD

Gunter Wand: My Life, My Music. 米BMG Classics 82876-63888-9.

前半は彼の生涯を追うドキュメンタリー、後半はインタビューという構成。ボーナスCDも付いている。メインのDVDでは、何といってもインタビューが面白い。彼が若い頃、オペレッタでキャリアを築いていたことは知らなかったし、RCAでリリースされている彼の晩年の録音が、彼の幅広いレパートリーのほんの一部でしかないことが分かって面白かった。

もっと本質的なことでは、例えばスコアから得られるものがいかに大切かを説く場面が刺激的だ。彼によれば、時には文字どおり時間を忘れ研究に没頭することもあるという。

もちろん彼の「スコア研究」というのは、楽曲や和声を理論体系や特定の主張として文章化する「学術活動」ではないだろう。ただ、西洋クラシックの作曲家たちが立ち向かっていった五線譜(それがいかに不完全に情報を提示するとはいえ)というものに、つまり原点(これは作品の質や、音楽の存在をどこに置くかで変わってくるが、ここではそういった美学的な議論はおいておく)となるべきものに接するということだ。特にオーケストラが奏でるレパートリーならば、それが出発点となるはずだ。

しかし、スコアから立ち上がる音を知るには、ただ音符を眺めていても分からない部分が確かにある(楽譜を見て鳴り響く音を完全に想像できる人間というのはほとんどいないと言っていたのは芥川也寸志だっただろうか?)。彼はピアノを使っているが、そうはいっても、彼は生演奏に接した歴史(経験)を持っているはずだ(我々からみて「往年」の名指揮者についての発言が多くある)。生演奏の体験なくして、ただスコアを眺めていても、楽器の音色、音量などは分かりにくい。オーケストラからどのような音を引き出せるのかも分からない。ただどの楽器がどの声部を演奏しているのかということは、ピアノを叩くことによって見えてくることはある。和音の塊もつかみやすい。

一方で、自ら楽譜に接してみる、音を鳴らしてみることの大切さは誰しもが共感するだろう。DTMでスコアを打ち込む人も、その打ち込む作品の楽譜の詳細に触れることがしばしばあり、CDを漫然と聴くだけでは聞こえてこない(見えてこない)音符や音色や楽想を発見することがある。いみじくもヴァントがブルックナーの第8交響曲の第4楽章について、生演奏では指揮者の棒さばきをみて、いつ楽章が始まるか分かるかということを述べていた。そういった演奏の場のビジュアルな情報が作品理解の補助になる場合もある。しかし、原点となる楽譜を知ることで、生演奏による「聞こえている音、聞こえていない音」の違いが分かるようになることは、もっと重要ではないかと思う。

それにしても彼の音楽に対する真摯さには強く心を打たれた。私はヴァントの演奏をそれほど聴いている訳ではないが、彼の言葉に突き動かされたことは確かだ。亡くなってしまったのは極めて残念であるが、きっとそのような彼の真摯さがオーケストラ団員をもヴァントの妥協なきリハーサルへと駆り立てる要因となっているのではないかと思われた。

参考→最近見たもの、聴いたもの(51)

2004年12月19日日曜日

ページ更新:リンク追加

音・音楽関連のリンク集、「20・21世紀音楽関係」にMakigami Vocal worldと20世紀ウラ・クラシック!を追加。

サイト更新

音・音楽関連のリンク集の「音楽学関連」の項目に「岩手大学教育学部音楽科音楽学研究室リンク集のペイジ」を追加。

2004年12月17日金曜日

グレン・ブランカ DVD

交響曲第8番・第10番 グレン・ブランカ・アンサンブル The Kitchenでのライブ収録 米Atavistic DR-4378 (Region 0)

ギターというのはコードを奏でるのが得意だというのが筆者の先入観である。また長い音には不向きなのだとも。もちろんマンドリンのようにトレモロをやれば、それなりに音が持続したかのように聴かせることができるが、ギター本来の(イディオマティックな)奏法からすると、随分無駄なように思えてしまう。このDVDを観ても、一つの弦を際限なくトレモロしている場面がよく映る。

エレキであることの面白さの一つは、やはり大きな音なのだろう。音が混ざり合う感じが、大正琴やバラライカとは違う。また いくらでも音量を大きくして生のドラムスと張り合えるから、こういう共演は楽だ。

必然的に発生する音の洪水は、それを聴きながら弦をつまびくミュージシャンたちの心の動きにもなっているのだろうか。ブランカの指揮(ビートはドラムスが刻んでくれるので、振り付けと言った方が正確だろうか)も、それをサポートしているのだろう。

ブランカは交響曲を何曲も書いているそうだ。私が以前聴いた数曲からの印象は、彼の音楽は順次進行による一本の線が幾度となく行ったり来たりするというものだ。この作品も、ビートこそ速めでも、エレキギターが奏でる音はゆっくりと進む。「進行」というほどのものでないのかもしれない。おそらくドラムスが刻んでくれるから、おそらくこのエキサイティング感が保てるのだろう。そういう点ではウマく作ってあるのかもしれない。

彼の音楽を「ファシストの音楽」と言った作曲家がいるそうだ。でもそれは買いかぶりではないだろうか。昨日聴いたロバート・アシュレーの《狼男》の方がはるかに強烈な印象を残した。

ビルスマBox到着。ノリントンのワーグナー(To-EMI)を楽しむ。前者はHMVのポイントを使って1400円くらい。後者は税込1300円。1300円というと、昔はセラフィムのちゃっちいジャケットのLPしか買えなかったのに。今は1000円なんてのもある!

2004年12月16日木曜日

街頭放送

富山市の中央商店街である西町には街頭放送がある(もうなくなったかな?)。あれを聴くと「街」へ来たなあと幼い頃は思ったものだ。富山駅前にも街頭放送がある。きちんと聴いたことは一度もないのだけれど、おそらく商店の宣伝文句をしゃべっているのだろう。専門の放送スタジオがあるはずだ。

今日立山町に用事で出かけた帰り、この街頭放送に偶然出くわした。五百石天満社付近の交差点でのことだった。昔ながらの商店街を眺めて、きっとかつてはここも大きな商業の中心だったのだろうな、と思いを馳せた。

一方この街頭放送が「富山=田舎」を思い起こさせるという富山出身者も少なくないようだ。そういえば金沢や新潟にはなかったように記憶している。唯一覚えているのは新宿駅近くか。アルタから西へ歩き、ガードをくぐってすぐのところ。交差点付近で街頭放送の声を聞いた。交通量は富山よりもずっと激しいのだろうが、ひどく懐かしく感じものだった。

サウンドスケープ的に考えれば評価はあまり高くないと考えられるが、ノスタルジア的な気持ちも加味すると、ひいき目にみてしまうところがある。

かつては大和デパートの屋上から、夕方になるとメロディー・サイレン(といったっけ???)というのも流されていた。どんな旋律が流れていたか覚えてないけれど、歩いて20分くらいのここまで聞こえていたと思う。いつの間にかなくなってしまった。デパートの屋上で鳴っている場に遭遇したことがある。タイマーかなにかになっていると思うんだが、サイレンが鳴り始める前に少しウォーミング・アップがある。ポンプが動いているような音だ。そしてサイレンがメロディーを鳴らし終わったあと、ポンプが止まるのだろう。ここでいつも、かすかに鳴り残ったサイレンの音が少しずつずり落ちていくのが聞こえた。いわゆるグリッサンド音だ。おそらくオルガンのような原理でできていたから、ああいう音が出たのかと思うが、小さいころ、あのグリッサンド音に、妙に「むなしさ」「はかなさ」を感じていた。我ながら、変な奴である。

こういった時間になると音を奏でる装置には妙に興味を持ったことがある。小学校のときのチャイムもそうだ。いまはおそらく電子音なのだろうけれど、昔は仕掛け時計のような物が職員室にあり、実際にミニチュアの鉄琴のようなものを自動で叩く棒のようなものが時計の真ん中から4つぶら下がっていた。

チャイムを鳴らす時間になると、4つの音程でできたチャイムが鳴り出す。その時、この棒のようなものが動くのがとても面白い。一旦この棒が手前に引かれ、勢いを付けて、後ろにある金属片を叩くのである。この「引き」の動作は、チャイムの一音ごとに行われ、きちんとチャイムの旋律になるようにタイミング良く動くのがとても面白かった。

チャイム自体はあまり好きではなかったけど、あの時計には、ものすごく興味を持っていた。

これも、ノスタルジアなのかもしれない。

2004年12月15日水曜日

Hawaiian Rainbow

Robert Mugge監督による、1987年制作のドキュメンタリー映画。知り合いにハワイアン・バンドでベースを演奏する人がいるので、久しぶりにこのビデオを観た。キャプテン・クックの時代に西洋音楽のハーモニーが導入されるまでのチャント、ポルトガル人が持ち込んだウクレレ、スペイン人からもたらされ改良されたスラッキー、そしてハワイの小さな島で一人の少年がやりだしたところから始まったスチール・ギターなど、ハワイ音楽の歴史が網羅的に紹介されている。

ビデオには二人の音楽学者による解説だけでなく、上質の演奏や音楽家のコメントも含まれており、とても楽しい1時間25分であった。ハワイ音楽は第2次世界大戦後、急速に人気がなくなっていったそうだけれど、現在も富山で活躍するハワイアン・バンドのメンバーとなる世代は、いつ頃軽音楽部でハワイ音楽に接したのだろう?

それにしても、ワシントンDCでハワイアンが聴かれているというのは知らなかった。

このビデオ、現在はDVD(米盤)にもなっているようだ。

僕が持っているハワイ音楽関係の映像では、ほかに『Kumu Hula: Keepers of a Culture』というビデオがある。しかしこれはテレビからの録画だし、画質は良くない。

2004年12月13日月曜日

ビデオテープの保存

3次元DNRという機能のついたパナソニックのビデオデッキを購入。HDDレコーダーの興隆からか、ビデオデッキは軒並み値崩れ(?)状態である。5・6年ほど前に購入した某社のデッキよりも安い値段なのに、画像は新しいデッキの方がはるかに良い。アメリカで使っていたデッキがパナソニックだったため、相性も良いようだ。早速シンシナティ・ポップスの独立記念日コンサート(2000年)をハードディスクに落としている。前のビデオでは画質も悪いしトラッキングも全く合わなかったが、これで安心して見られる(もっとも3倍モードで録画したことは、いまだに後悔している)。

今日は取材のための情報収集などに従事。年末年始があるから、タイミングをうまく見計らわないと。

2004年12月12日日曜日

アナログを語る会、2004年12月例会(12/10)

12月10日、南砺市のラモヴェールで行われた「アナログを語る会」に出席。今回もSPレコードを中心にいろいろ楽しむ。以下、聴いたレコードのメモ。

原信夫とシャープス・アンド・フラッツ クリスマス・アルバム

 気の利いた編曲で聴きやすい。リラックスした感じ。オーケストレーションの面白さ。木管 vs. ミュート付きトランペットによる対位法的展開など。日本の録音らしく、清潔な感じ。

チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 フランチェスカッティ(Vn)、ミトロプーリス/NYP 日コロムビア WL 5158

 グルーヴガードのない時代のLP。ブルーレーベル。アメリカ盤のオリジナルジャケットをそのまま使用。裏面も解説文の日本語以外は米盤と同一のデザイン。

 昭和30年代、LPが高価な時。高校の時にお買いになったLPだとか。

佐渡おけさ(編曲:堀内敬三) 藤原義江(テノール)、マキシム・シャピロ(ピアノ) 日ビクター 130470-A

 歌詞が聴き取りにくい。ピアノ伴奏でも意外に面白い、という声も。

F. W. Meacham アメリカン・パトロール、スーサ 忠誠 Victor Military Band; Rosario Bourdon, director. 日ビクター 22061-A、22061-B

 テンポは速め。《忠誠》もキーが違う???

篠崎誠二 作詞、陸軍戸山学校軍楽隊 作曲、満州産業建築学徒研究団々歌 伊藤隆一指揮陸軍戸山学校軍楽隊および合唱隊 日Polydor 3907-A

 曲のタイトルにそそられて聴いてみたけれど、歌としてはイマイチかな。裏は《希望に燃えて》という作品。

天使よおやすみ(Goodnight Angel)(Magidson & Wanbel)、Victor Silvester and His Ballroom Orchestra ニッポノフォン(Columbia)JX 62

 フォックス・トロット。ワイルを思い起こさせる、いいムードの音楽。本日のヒット! 裏面はLet's Waltz for Old Times's Sake。

 こういうレコードは、竹田楽器がよく売っていた、とも(もちろん、私は詳細は存じません)。

淡谷のり子 ドリゴのセレナーデ ニッポノフォン(Columbia)29301

  「この時代、これくらい歌えれば大したもんじゃないですか?」という意見。後のLPステレオ時代よりは、ずっと安定した歌唱。

"Waltzes of Johann Strauss"というユージン・オーマンディ指揮ミネアポリス交響楽団によるアルバムから、《美しく青きドナウ》 日Victor JD-589-A、B

 途中でネジを巻き直すハプニングあり

ジングルベル、ホワイト・クリスマス フランク・シナトラ 日Columbia ABL 7

井波町瑞泉寺 太子奉賛音頭

 極めて貴重な、ローカル音源。蓄音機とともにSPレコードを借りてきたので、CDに焼いてみようかと思う。

2004年12月8日水曜日

Albanyから、またまたギリスCD!

Albanyレーベルからドン・ギリスの第4交響曲、ピアノ協奏曲第2番のCDが出たようです。

2004年12月4日土曜日

僕はランチにでかける:ロック・エッセイ

間 章 著、柏書房、1992

私はロックの門外漢であるが、評論として非常に興味深く読み始めている。著者の論ずる対象のせいでもあるのだろう、現代音楽に言及した箇所も少なくなく、シュトックハウゼン、ライリー、ライヒ、ケージの名前が出てくるとは思わなかった。『この旅に終わりはない』の方はインタビューが多かったためか、間氏の発想を直接感ずるのはこのロック評論の本である。文章も相対的に読みやすいかもしれない。

その他では、水曜社発行の『小出郷文化会館物語』(小林真理、小出郷の記録編集委員会/編著、2002年発行)は記録としても大変興味深く、いわゆる市民中心の音楽振興とは何なのかを考えるには好著と言えるだろう。行政と市民の関係、実際のプロジェクトの推移、それぞれにおける問題点とその解決など、学ぶべきことは多い。『新ひたち風土期 音楽市民 まちを作る』(佐藤克明著、日立市科学文化情報財団、芸団協出版部、1993年)は、パイオニア的なものを感ずる記録。文体については好みが別れるだろうが、市民参加型音楽祭へとつながって行く過程が記されているようだ。また、 著者の日立市における活動の精神的基盤となった日本フィルの問題については、雑誌記事タイトルや室内楽演奏会についてしか知らなかったので、興味を持った。

その他、CDでは、今さらながら、ジョン・ゾーンの『Naked City』、スラトキン/BBC響のバーンスタイン/交響曲1~3番、ガーシュイン、バーリンのピアノ作品/歌曲集(モリス、ボルコム)などを入手。

2004年10月2日土曜日

アメリカ音楽リスニング・メモ (2004年9月〜10月)

デヴィッド・N・ベイカー:ヴァイオリンとジャズ・アンサンブルのための協奏曲 カーメン・ドラゴン指揮ハリウッド・オール・スター・ジャズ・バンド Laurel LR-115.

ドラゴンはインディアナポリス生まれ。もともとジャズトロンボーン奏者で作曲編曲家である。スタン・ケントン、メイナード・ファーガソン、ライオネル・ハンプトン、バディー・ジョンソン、ウェス・モンゴメリーだと共演したこともあるそうだ。(2004.9.30執筆)

From the Kitchen Archives: New Music, New York 1979.  Orange Mountain Music OM 0015. (2CDs)
アマゾン

The Kitchenは 1971年ビデオアーティストWoody and Steina Vasulkaによって 設立された。ビデオ、音楽、舞踊(ダンス)、パフォーマンス、ニューメディア、文学をリードする中心的存在として国際的に知られている。そして最先端の複合領域にまたがる作品にのみ焦点を当てるのだという。

The Kitchenは 30年以上にわたって、すべての演目をビデオテープ、あるいは録音テープに記録してきたそうだ。しかし、近年、古い媒体に残された6音が痛み始めたと言う。1999年Elise Bernhardtのもと寄付金を募ったのだとか。 1970年代のテープだと、1つの箱の中にジョン・ケージ、フィリップ・グラス、ローリー・アンダーソン、デヴィッド・チュードアといった録音が詰め込まれていた1枚目の方が楽しく聴けた。以下、思いつくままのメモ。

フィリップ・グラス:《ダンス #4》(1979)

ライブだとキーボードの演奏も結構指がもつれているように聞こえる。それゆえ純粋に反復を追っていくのとは、別のところに耳がいってしまうところがあった。これはアンサンブルではなくて、グラス1人による演奏? 11:59から電子キーボードのためか、低音はあまりなく、テンポも若干速めだ。 

比較として聴いた1986年のCBS版もグラスの自演。エコーがある分自然に聞こえる。倍音も多く入っている。 教会やオルガンとダンスはかなりイメージ的に遠い存在だ。23分もの作品は耐え難い作品ではある。19分あたりから変わったコード進行が挿入されている(?)。重厚なイメージが強くなってくる。

Jon Gibson:Criss X Cross

きっちりと規定されたピッチの中で、緩やかに規定されたあるいは全くの即興によるリズムやフレーズによる作品とライナーにある。一方、時間は延々と続いていくのだから、飽きずにやるには変化が必要だろう。

Pauline Oliveros. The Tuning Meditation

彼女が行っているソニックメディテーションを、結果として作品となったものでなく、現実に何が起こっているのかを想像しながら聞けるのが面白い。冒頭のオリヴェロスの指示に従って、CDの聴き手も瞑想に入り込むことさえできる。(2004.10.2 執筆)

2004年9月20日月曜日

アメリカ音楽 リスニング・メモ (グラス、ロックバーグ、ガーシュウィン) (2004.9)

グラス:屋根の上の1000の飛行機 Virgin Records America CDVE 39
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グラス・アンサンブルにもアナログキーボードが使われていたけれど、こまでシンセの音が前面に出てきているものはちょっと思いつかない。通常はフルートやサックスと混ぜて出てくる音もセンセで演奏されている。冒頭はなぜかテクノと言う言葉を思い起こさせた。バス声部の動きのせいだろう。トラック2の "City Walk"という曲を聴きながら、あまりにも「いつものヤツね」と笑ってしまった。(2004.9.18執筆)

元気でエネルギッシュにアルペジオが流れ出す、グラスらしい作品だ。

ロックバーグ:魔法の劇場のための音楽 オバーリン大学アンサンブル Desto DC 6444
Discogs

マーラーの交響曲第9番やモーツァルトのピアノ協奏曲の引用がなされている。特に後者は長いので、ロックバーグの作品であることを忘れてしまう。ロックバーグのことを「贋作家」と呼んだ批評家もいたが、なるほどと思ってしまうところもある。(2004.9.20執筆)

ガーシュウィン・プレイズ・ラプソディ・イン・ブルー:貴重なピアノ・ロールから1924年の初録音 Biograph BCD 106
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おそらくマイケル・ティルソン・トーマスが ガーシュウィンのピアノ・ロールと録音した時に使ったのはこのピアノロールではないかと推測する。ちょっと打鍵が浅くたどたどしい箇所がなくもない。オーケストラとの共演を前提とせず、1人で演奏しているタイプの演奏である事は間違いないだろう。(2004.9.20執筆)

ガーシュウィン:ミュージカル《ストライク・アップ・ザ・バンドジョン・マウチェリ指揮 Nonesuch 79273-2
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オペラ《ポーギーとベス》からはちょっと想像しがたい別世界の音楽だ。フォーマットにしっかり乗ったメインストリームな作品! (2004.9.20執筆)

2004年9月12日日曜日

デロ=ジョイオ 3作品 感想メモ

デロ=ジョイオ:幻想曲と変奏曲 (1961) ロリン・ホーランダー (ピアノ)、エーリッヒ・ラインスドルフ指揮ボストン公共 RCA Victor LSC-2667

デロ=ジョイオにジャズの影響があるとは知らなかった。こうやって実際いろんな曲を聴いてみないとわからないものである。

デロ=ジョイオ:ピアノと管弦楽のためのリチェルカーレ ジャーメイン・スマージャ (ピアノ) ヘンリー・スワボダ指揮コンサート・ホール交響楽団 Concert Hall D-6

古典的と言うべきなんだろう。それでも第2楽章はブルージーな和音が入り、叙情的な旋律が聴ける。第3楽章のシンコペーションも楽しい。録音と盤質がもっと良かったら、と惜しまれる。

デロ=ジョイオ:3つの歌曲 ジョン・ドリュアリー (テノール)、ピーター・ロジェル (ピアノ) Concerto Hall D-6

やはり、彼の場合、時代によって、作品がラディカルに変化するわけではない。(2004.9.12)

2004年8月18日水曜日

デジタル・ミュージック・ボックス (ジョン・ウィリアムズ指揮ボストン・ポップス)

アマゾン

いわゆる「ムード音楽」に入るのではないかと思われる。レパートリーを集めたCDである。55分35秒の中に17曲が収められている。かなり曲数としては多い方なのだろう。 『Digital Jukebox』… このデジタルという言葉が、いかにもCDの普及期を彷彿とさせて良い。《ピンクパンサー》のテーマ音楽以外は、いずれもアレンジが聞かせどころと言えるだろう。 オーケストラの響きは、やはり初期の頃に比べると柔らかくなったのか、あるいは録音のせいだろうか。

ジョン・ウィリアムズ時代のボストン・ポップスは、アーサー・フィードラー時代よりもレパートリーが広がっているとも言えるし、アレンジも時代によってスタイルが変わってるように思える。ジョン・ウィリアムズにしては珍しいレパートリーなのかもしれない。

これだけたくさんの性格の異なる曲が入っていると、全部通して聞くと言うのは、実は不自然なのかもしれないと思ったりもする。 聴きたい曲だけ手元のリモコンでつまみ食いすると言う聞き方も、案外正しいのかもしれないと思ったりするところである。(2004.8.18記述)