2026年3月14日 [土] 開演14:00、会場13:15
横浜みなとみらいホール大ホール
指揮者:小泉和裕(特別客演指揮者)
演目:ブラームス/交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
ドビュッシー/管弦楽のための3つの交響的素描《海》
演目:ブラームス/交響曲第3番ヘ長調 Op. 90
ドビュッシー/管弦楽のための3つの交響的素描《海》
コンサートマスター:石田泰尚
ブラームスはさぞかし渋くてずっしりした演奏かと思っていたのですが、心躍る、鳴りっぷりの良い演奏で楽しめました。長調・短調を揺れ動くモチーフは、微妙にその構成音を変えつつ展開し、ブラームスの作曲の妙技を素直に味わえます。その怒涛の流れを「苦難の道」とするのではなく、気持ちよく前進エネルギーとして捉え、それがほとばしる音楽といえるでしょうか。第一楽章の展開部はもちろんドラマティックですが、それも含めて、大きな音の構築物として設計されていることを演奏から感じ取ることができました。第二楽章も、一見「牧歌的」にさらっと通されているようですが、そこに、ひたむきな陰影があります。ベートーヴェンの第6交響曲的な「牧歌」というよりは、例えば弦楽の高域の響きの美しさもあり、ブラームスならではの管弦楽法の開拓をも聞きとるべきなのだろうな、と思いました。
第3楽章は、ホルン独奏が美しく、また旋律に酔わせる感覚ではなく、あどけない純朴さなのでしょうか。第4楽章は、次々とやってくる短い楽想の整理がうまく、第一楽章の主題回帰まで、やはり全体を見通した小泉さんの力量を堪能いたしました。
ドビュッシーの《海》については、やはりオーケストレーションの冴えを生で聴けて良かったと思いました(個人的にはコントラバスの質感やサスペンデッド・シンバルの絡み方などが興味深かったです)。もちろん、指揮者によって楽器間のバランスというのは考えているとは思いますが、楽譜そのものが要求してくる音の繊細な混ざり具合というものが、やはりいくら精密なデジタル録音やステレオ装置であっても捉えることができない部分ではないかと思います。そして全体として安心してフランス物を聞ける喜びというのも、やはり小泉さんだからこそ、といえるでしょう。改めて、スコアを振り返ってみたくなりました(学部の教養でアナリーゼをやりました)。
演奏前のプレトークでは、副指揮者の小林雄太さんが3月で「ご卒業」であることが告げられました。お疲れ様です。お話で面白かったのがブラームスの4つの交響曲の調性が c-D-F-eであり、これは(長調・短調の別を考えなければ、ということだと思いますが)モーツァルトの《ジュピター》交響曲第4楽章のモティーフに繋がっていること、ブラームスの交響曲第3番が演奏される機会が少なく、挑戦的な曲であること、またブラームス自身がそれぞれの楽章で、自身の作曲の色々な側面を提示していることが興味深かったです。《海》に関していえば、楽譜の表紙が北斎であり、ジャポニスムと関連していること、ドビュッシーが「印象派」という呼称を嫌っていた一方で、「交響的素描」も含めて、曲名は自ら考えたものであったことなどでしょうか。
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