2025年10月31日金曜日

ジョン・ペインターほか『音楽の語るもの―原点からの創造的音楽学習』音楽創作のクラス・プロジェクト集

Sound and Silence: Classroom Projects in Creative Music. Cambridge University Press, No number.
Music made by children and students of:
Brunt Yates Endowed School, Ripley, Yorkshire
The Jessic Younghusband County Primary School, Chichester
Park Boys' County Secondary School, Dodley
Moseley Grammer School, Birmingham
York Children V Theatre Weekshop Bahop Otter Collegs, Chichoser
University of York


Discogs

どういう経緯でこのレコードの存在に至ったのかは記憶にないのですが、一応私が過去教育学部の音楽科に所属していたので(学部・修士時代)、『音楽の語るもの』という本の存在については認知していましたし、とある方からペインター本を譲ってもらったことがあります。ただちゃんと読んだことはなかったり…。

いわゆる和声法に囚われない自由な創作をすることを学校の小学校・中学校辺りで行うことを目指し、それが「創造的音楽教育」と言われていたようで、具体的には図形楽譜などを使ったり、身の回りの音を用いた創作活動が行われていたということのようですね。実は学部時代に、そういう感じの授業を新潟大学のの授業で受けたことはあります。

このレコードも、そんな教室内で行われた「創造的音楽教育」の成果として録音されたものということなのかな、と思ったりします。以下、各トラックの内容で、S=ステレオ録音、M=モノラル録音です。

収録内容
Side 1
Music For Cymbals (S)
The Lyke-Wake Dirge (S)
Sea Tower (M)
Silence (2 versions) (M)
Movement Music (M)
Tone-Cluster Improvisations (M)

Side 2
A Piece For Percussion (S)
Mexico (S)
Musique Concrète (M)
An Aletory Game (S)
Alleluia (M)
Fair Maid Is A Lily-O  (M)
Derry Ding Ding Dasson  (M)
Michael, Row The Boat Ashore  (M)
O Pray For The Peace Of Jerusalem  (M)

なお、私が入手したレコードのジャケットには名前がマジックで書かれておりましたが、iPhoneの写真アプリに搭載された「クリーンアップ」機能を使って名前部分は消去してみました。

2025年10月24日金曜日

珊瑚ガムラン曼荼羅

日時:2025年10月24日(金)19:00 開演(18:30開場)
場所:トーキョーコンサーツ・ラボ
演奏:パラグナ・グループ
演目:藤枝守・作曲作品
「珊瑚ガムラン曼荼羅」
・組曲「ガムラン曼荼羅 III 」(2025、新作初演)、ガムラン:パラグナ・グループ
・音響作品《コーラロリウム〜珊瑚の場所》(2025、新作初演)、音響:磯部英彬 

非常勤先の授業を早めに切り上げさせていただいて、早稲田まで移動し、「珊瑚ガムラン曼荼羅」を聴きにいきました。

むかしフロリダ州立大学で演奏したガムランがバリのもの (Michael B. Bakan先生が指導) で、室内だとものすごく音が大きく、いつも全員耳栓して練習していました。なので、あの狭いスペースでガムラン? と正直思ったのですが、スンダのガムランということ(ジャワのガムランもこういう感じなのかな?)、そして楽器数が少ないということで、ちょうどいい音量感で、心地よく聴けました。

シロフォンのガンサ(というのかな、スンダでも)は次の音を叩く時は左手で前の音の鍵盤を押さえるのが通常ですが、それはこの楽器では全くやってなかったのが興味深く、ハンマーが当たる一つひとつの音に関心をもちました(残響が違っていたり)。また左右複数の同音鍵盤のピッチの違いから出るゆらぎ(波)はバリのと共通なんだなあと。そちらも興味深かったです。

ボナン(というのかな、スンダでも)奏者の方が、音響作品(サンゴ骨格の音響!)を聴く際、砂時計で時間を計っていらして、砂が2回落ちたら次のガムラン曲を始めるという感じだったでしょうか。それにしてもゴング・アグンはお腹にぐぐっと来ますね。

ペロッグ音階を基調とする楽器だそうですが、今回はそれに音を足してほぼ7音の音階になっていたそう (ただし西洋音階ではないらしい。インドのラーガにはあったそう…)。終始やすらぎつつ不思議な、あっという間の1時間半近く。素敵な世界に浸りました。


2025年10月23日木曜日

コリリアーノ:《裸のカルメン》

コリリアーノ:『エレクトリック・ロック・オペラ! 裸のカルメン』メルバ・ムーア (唄)、ポール・パレー指揮デトロイト交響楽団ほか Mercuty (日本フォノグラム) SFX-7250 (LPレコード)

コリリアーノというと、現在はもっぱらクラシック音楽の作曲家として有名で、1989年の交響曲第1番(AIDSによる友人の喪失を題材にした作品)やメトロポリタン歌劇場で上演された《ヴェルサイユの亡霊》(1991) なんかで脚光を浴びたと思われるのですが、これは1970年の作品。ビゼーのオペラ《カルメン》の「エレクトリック・オペラ」なんだそうですが、当時はこれ斬新だったのかな〜、へえ〜、と振り返る程度で、どちらかというと、コリリアーノ的には「黒歴史」じゃないのかな、と勘ぐってしまいます。しかもこれが国内盤で出ていたのは何気に驚きだったりします。

基本的に《カルメン》の有名曲に電子効果音がまぶして合ったり、ポップなアレンジがほどこされていたり、はたまたベトナム戦争に言及したラジオ放送みたいのだとかヒトラーの演説みたいなだとか、社会性を醸し出すコラージュなんかもあります。

コリリアーノはラジオでも仕事をしていたらしいので、そういった経歴も感じさせるものではありますね。時代的に「ロック・オペラ」というお触れ書きは『ジーザス・クライスト・スーパースター』級のヒットを狙ったもの?????

このレコード、ポピュラー系のファンからはメルバ・ムーアの1枚ということになるのでしょうけれど、クラシックの側からみると、ポール・パレーにこんな録音が、ということになるのかな。