2023年8月27日日曜日

湯浅譲二 作曲家のポートレート -アンテグラルから軌跡へ-

 湯浅譲二 作曲家のポートレート
-アンテグラルから軌跡へ-
2023年8月25日(金) 19:00開演(18:20開場)
杉山洋一指揮東京都交響楽団
エドガー・ヴァレーズ:『アンテグラル(積分)』小オーケストラと打楽器のための
ヤニス・クセナキス:『ジョンシェ(藺草が茂る土地)』大オーケストラのための
湯浅譲二:
『哀歌(エレジイ)』オーケストラのための[編曲世界初演]
『オーケストラの時の時』オーケストラのための
『オーケストラの軌跡』[全曲世界初演 サントリー芸術財団委嘱作品]

忘備録
ヴァレーズ:《アンテグラル》…生ヴァレーズって、実は初めて? な訳ないか?? 舞台後方で演奏なんですね。ライオンズローアの実物に感動してみたり。打楽器は裸に音が出て来る感じだけど、管楽器はソロと、混ざった音色の面白さが楽しめる。打楽器の音は減衰するのがほとんどだから、当たり前っちゃあ当たり前だけど。ヴァレーズって、安易にチャベスを持ち出すのはどうもなあ、と思いつつ、やっぱり南米を感じます。ただチャベスっていうよりは、カルロス・スリナッチに通ずるものかなあと思ってみたり。
クセナキス:《ジョンシェ》…「生音によるトーン・シンセシス」という言葉が思いついた。ドラムセット2つとシンセサイザーで同じことができるのかな(できないよね…きっと…)とか思いながら聴いていた。ハーモニクスとピチカートの組み合わせ? たしかに音はでかいけど、アンプリファイしないから、ホール・トーンも含めてワンクッション置いている感じはした。その飽和状態を含めての面白さというべきか。お隣の奥様は、特に高音部分で耳を塞いでいたけど、しんどかったのかな? これは生で聴いてよかったかも。「風に揺らぐ一面の藺草」っていうのは、本当に聴こえてきたなあ。うおおお、すげえ、という感じ。
湯浅譲二《哀歌》…こういう曲があっても不思議じゃないとは思いつつ、リリカルな響きを堪能。へええ。
湯浅《オーケストラの時の時》…やはりこれがハイライトかなあ。精緻の極みという感じ。グリッサンド、クラスター、音色・ダイナミクス・音の位置の、渾然一体の漸次変化…すごいですね…。演奏するのは大変なんだろうけど、こういうのは世界的に演奏されて欲しいなあ。
湯浅《オーケストラの軌跡》…もっと聴きたくなってしまう。こういう「音響」を扱う系の作品が、きっと僕的には好きなのかも。でも線的な要素は強くなってますね。それが悪いという訳ではないのですが、やっぱり70年代の問題意識とは違う? その辺りは僕の勉強不足ではありますが。
現代音楽のコンサートでスタンディング・オベーションっていうのは初めてかも。あれっ、ボストンでエリオット・カーターを聴いたときはどうだったかな?

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