2008年7月10日木曜日

読書記録2

O'Toole, Patricia. Shaping Sound Musicians: An Innovative Approach to Teaching Comprehensive Musicianship through Performance. Chicago: GIA, 2003.

読み始めです。てっきりComprehensive Musicianshipの最新の理論が書いてあるのかと思っていたのですが、CMP (Comprehensive Musicianship through Performance) にもとづいたノウハウ本のようです。しかも吹奏楽、合唱、学生オーケストラのリハに伴う諸活動としての位置づけ。アメリカは、たしか通常のクラスから音楽は外されているんだし、こういうのが現実的な内容となるんでしょうか。

しかし、単に音符を誰かの指示に従って演奏するのとは違うっていうのは分かります。ホルストの吹奏楽のための第1組曲のシャコンヌ組曲の主題の特徴をつかむための活動や、歴史学習などがあったり、曲の展開を分析する活動なんかもあるんですね。

この本の内容は、例えば日本でも吹奏楽や合唱の顧問をやってる先生には参考になるのかもしれません。ちなみに実例として最初に挙げられているのは、ホルストの第1組曲 (吹奏楽)、ヘンデルの《ハレルヤ・コーラス》(合唱)、モーツァルトの《アイネ・クライネ・ナハトムジーク 》(オーケストラ) です。

2008年7月9日水曜日

読書記録

Elliot, David J. Music Matters: A New Philosophy of Music Education. New York: Oxford University Press, 1955.

今日の昼にアメリカのアマゾンから届きまして、午後から夕方にかけて、流し読みしました。とても面白い本です。

静的な音楽作品だけが音楽ではなく、それが即興的に生まれるプロセスも音楽であるし、アクティヴな聴取活動も音楽に含まれるのだというのが主な主張でしょうか。民族音楽学の人からすれば当然のことだろうけれど、著者デヴィッド・エリオットの師匠のリーマーなど、従来から考えられてきた「作品」に美的価値を見出す考え「だけ」では、人間の「行為」としての音楽、文化としての音楽を考えることはできないということですね。

このほかにも色々な話題に触れていて学ぶことや目を開かれることも多く、要点を述べるために具体的な想定事例を引いたりして難しいことを簡潔に述べているという点でも、好感を持ちました。

多文化主義のアメリカでは、こういうアプローチで音楽を考える必要性が増してくるような気がします。