Selected Writings on Music by Henry Cowell 1921-1964. Edited by Dick Higgins. Kingston, NY: McPherson, 2001.
ヘンリー・カウエルが様々な出版物に書いた文章を集めた本。実験音楽の作曲家、諸民族の音楽、新しい音楽理論などに分類されている。彼の著作というのは案外多くて、ここに収められていないものも多数あるに違いない。こういう本がでるとは思わなかったので、私も留学時には、沢山図書館にある資料を複写したものである。手元にある資料との照合はしていないので、どのくらいまで手元にあるのが唯一のものかは分からない。
ところでこの本の編集をしたディック・ヒギンズという人はフルクサスのアーチストして有名で、確か芸術における退屈の問題について書いていたのではないかと思う。私もどこかに彼の著作を複写したものを持っていたように思う。
そして、なぜか彼の製作していたディスコグラフィーに若干協力したことがあって、この本に掲載されているディスコグラフィーにも私の名前が言及されている(323ページ、今朝気が付いた)。確かどこかのメーリングリストで彼のディスコグラフィーを見たんだと思うけれど、丁度手元にあったCarol Ojaのディスコグラフィーと比較して抜けているものがたくさんあったので、それを指摘したのだった。
彼からは、日本国内で発売されたもので、漏れているものがないかという返事が来たのだったが、一時帰国した時にチェックしただけでは分からなかっスのが残念であった。
カウエルの資料に関しては、確か2001年までシドニー・カウエルが公開を許可するまで、なかなかアクセスが難しかったように思う。でもその後状況が変わり、カウエルの伝記がようやく刊行されたのだった。それでも私は楽譜に関しては許可をもらってマイクロフィルムにて楽譜を入手したことがある。CBSから委嘱された短い作品だった。
ところで先日『音楽文化の創造』にレビュー2本を送った。今回は霊歌からゴスペルに至る黒人のキリスト教音楽を概観するスミソニアン/フォークウェイズ・レーベルの "Wade in the Water" というCDと、柳生すみまろ氏の『映画音楽:その歴史と作曲家』について書いた。後者はすでに絶版だけれども、柳生氏の本はアンダースコアまでを扱った丁寧な本で、映画音楽について勉強するのなら、まずこの本がいいと私は思っている。アメリカでは、映画の音楽を書くということが、かなり実践的に勉強できる学校があるので、教科書はいくつかある。具体的にどういった仕事の依頼があって、どのくらいの期間でどういったことをするのかが、具体的に述べられており、スコアの実例も数多く引いてある。今はDTMの知識も必須だそうで、映画監督などに、どういう音楽を作っているか、デモテープなどを作成することも普通に行われているようだ。
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