内田樹『困難な結婚』(アルテスパブリッシング)
てっきり結婚を契機として社会問題や時事問題を述べるエッセイ集なのかと思いきや(そういう内容が全くないともいえないけど)、悩み相談のような内容だということをツイッターか何かで知ってダウンロード。確かに「結婚&夫婦生活お悩み相談室」という感じ。もちろん回答部分が、問いの文章に比較してバランス的にえらく長いものもあるけれど、それも面白く、なるほど納得というところ。また普段の生活でやってることの大切さが改めて分かったりもする。妻に一部を読んでもらったら、大きく頷いていた。でもKindleの場合は回し読みっていうのができないのが辛いところ(紙版を買いなさいということでしょうけれど・汗)。
森村誠一『新版 悪魔の飽食 日本細菌戦部隊の恐怖の実像!』 (角川文庫)
この夏『NHKスペシャル | 731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』を観て731部隊に興味を持ち、YouTubeで映画『黒い太陽七三一 戦慄! 石井七三一細菌部隊の全貌』(けっこう目を背けたくなる場面多し)を観て、さらにその原作に出会った次第。僕にとっては森村=小説家というイメージが強いので、事実に立脚した物語風のものかと思っていたたら、どうも私財を投じて取材してまとめた調査ノンフィクションということが分かった。その記述は詳細で分かりやすく、どんどん引き込まれていく。さすがだなあ。先に『黒い太陽七三一 』を見たせいか、残忍な人体実験の描写も、ためらわずに読むことができた。
細菌兵器を作っていたことや人体実験を行っていたことは、おぼろげに知ってはいたし、NHKスペシャルでも知識を補足できたけれど、やっぱりこの本が大きな影響力を持っていたことは充分感じることができた。これは続編も読んでみなければ…。
矢部宏治『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』 (講談社現代新書)
あと数ページ残っているけど、取りあえず思いついたことをば。
空域問題、密約、地位協定、日米合同委員会、日本国憲法にまつわるあれこれなど、若干いろんなところから耳にはしていたけれど、コンパクトにまとめられていて、目を開かれる箇所が多くあった。詳細の審議まで検証する時間はないけれど、そういうことなんだろうなあという感覚を覚えるところも多かった。白井聡氏の『永続敗戦論』ともども、「戦後秩序とは何か」を知るにはとてもまとまった内容なんだろう。丸山真男の立て方にも興味を持った。いわゆる「アメリカ側」の実態(多くのケースでそれは米軍周辺)とは何かを考える上では有効な1冊。現政権が進めようとしている「アメリカ尻舐め」(by 宮台真司)憲法改正じゃ、結局密約を明文化するだけだということになるのだね。それだけ考えるだけでも、いまの政府に絶対させちゃいけないっていう思いを新たにした。
いずれ孫崎享の『戦後史の正体』も読まなきゃいけないだろうなあ。でもこれは Kindle になってないのかあ。