2008年11月30日日曜日

面白そうな本

1960年代のサンフランシスコ・テープ・センターを題材にした本が出たようです。しかもDVD付き。 The San Francisco Tape Music Center: 1960s Counterculture and the Avant-Garde https://amzn.to/49DuJL0

2008年11月28日金曜日

きょうの1枚

・John Frusciante. Niandra LaDes and Usually Just A T-Shirt. American Recordings.

アコースティック・ギターを弾きながら歌うという基本的なトラックを中心にして、そこに加えられるディズトーテッド・ギターやうめき声という構成か? (ピアノのトラックもあったかな?)。それぞれの楽曲が自由に作られ、そして、それぞれの魅力を放っている。しかし、最初から第2パートを想定して弾いている楽曲も少なくなくて、結構凝ってるんじゃないかという印象も持っているのだが、本当はどうなのだろう。自分で録音したテープをそのまま集めた感じだけれど、抵抗は別段ないし、それで充分伝わってくる。Untitledとされている後半の楽曲は、タイトルのついているのよりも、さらに「素材」的になっているんだけれど、こういう才能を持ってる人だと、そのまま録音して足しただけでも、楽曲として、魅力あるものになってしまうのだろうか。

これを聴いた後、『ダークサイド・オブ・ロック』のフルシアンテ (フラシャンテ?) の箇所を読み返してみた。アーチストに興味があって、すでにCDを聴いた人が、アネクドートとして楽しむのかもしれないけれど、そんなに「狂っている」っていう感じに聴こえなかったのも、僕の正直な実感だ。声のうめきみたいなものは確かに入っているけれど、なぜかスピリット的には『ジョン・レノンの魂』の延長線上に聴こえるんだな。

もっとも、僕は前衛音楽みたいな、本当にクレイジー (?) な音楽を知っているからこそ、そう思ってしまうだけなのかもしれない。

2008年11月18日火曜日

きょうの1枚

子供のマーチ アーサー・ウィノグラード指揮ロンドン・ヴィルトゥオーゾ管弦楽団 日本コロムビア (Audio Fidelity) WS-3051-AF (LP) (c) 65・6


収録曲:シューベルト/軍隊行進曲、ベートーヴェン/トルコ行進曲、メンデルスゾーン/僧侶の戦争行進曲、チャイコフスキー/くるみ割り人形の行進曲、グリーグ/こびとの行進曲、エルガー/行進曲威風堂々、ピェルネ/鉛の兵隊の行進曲、グノー/マリオネットの葬送行進曲、イッポリトフ=イヴァーノフ/酋長の行進、プロコフィエフ/行進曲三つのオレンジへの恋

スーザを待たなくとも、クラシックには親しみやすい行進曲があるものです。その中には、子どもたちが、ぱっときいて楽しめる、程よい長さのものもあるのでしょうね。上記の選曲には、なるほど「くるみ割り人形」や「鉛の兵隊」など、子どもたちが身近に触れるおもちゃの世界がある訳ですが、全曲が「子どもむけ作品」というわけではないようです。

それよりも、このLP、なかなか良い演奏でした。ウィノグラードはジュリアード四重奏団のチェリストだった人で、このAudio Fidelityというレーベルに、指揮者としての録音を多く残していたのですね。大人の方でも、手軽にクラシックを楽しむ1枚となりそうです。こういう地味な音源もCDになるといいのですが。

2008年11月3日月曜日

上京の記録

10月25・26日、日本音楽学会@国立音大に出席のため上京した。立川のホテルが宿泊先。前日の24日に東京入りし、某氏に会う。なんでも自宅にあるLPレコードを処分したいとかで、その場でテキトーに、欲しいものをかたっぱしから段ボールに入れてきた。送料6,000円強を僕が持つにしても、うれしい内容。古いとはいえ注目は、例えば『音による音楽史』全10巻。これはOxfordの西洋音楽史 (旧版) の準拠レコードとしてRCA Victorからリリースされたものの国内バージョン。僕は以前、古賀書店で第1巻〜第3巻の解説書が一冊の本になったものは入手していたし、単発ではいくつか米盤を持っていた。

意外な発見としては、ハール・マクドナルドの《子供の交響曲》を外山雄三が東京都交響楽団と録音したもの。おそらくアメリカではモノラルの自演 (Columbiaの10インチ) くらいしかないので、貴重だと思う。Carol Ojaのディスコグラフィーにも、当然載っていない。

ホテルに戻り、夕食の時間になった。ホテルから電車で20分くらいの所に妹が住んでいる。せっかくなので立川まで出てきてもらい、二人でグランデュオ6階のCAFE AL GRAZIEへ行った。ピザがめちゃめちゃおいしかった!

http://www.granduo.jp/tachikawa/floor/indexfl.asp?Floor=6&ID=102

学会初日は、多摩モノレールに初めて乗った。完全におのぼりさん状態。玉川上水の変わり様に腰を抜かす。前に来たのは、もう15年も前か。駅の下に見えるお墓の数、家の数。拝島線のホームも拡張され、完全に浦島さんになりました。昔はなーんにもなかったのになあ。

研究発表は中身の濃いものが多く、ほんとうにみなさんよく調べておられるものだと感心し、私自身の不甲斐なさを思い知ることに。中にはギャラリーから厳しーいコメントをもらってる人もいたけれど、AMSもタラスキンとか怖〜い人がいるからなあ。

アカデミア・ミュージックのコーナーでは、Hさんと談笑。ヨーロッパの学会でDouglass Seatonに会ったとか、一時同僚だったSiegwald Reichwaldが本を出したとか (懐かしの顔がカバーに載っててびっくり) 、わが母校の情報をいただいた。

懇親会では、国音のHさんが、僕の書いたアンダーソン記事を、ご同僚の方がご覧になったという話。図書館でも企画展示をしてたらしく、そのためのパンフを書くのに苦労されたとかで、僕の記事がもうちょっと早くでていればと言われてたとか。

http://www.lib.kunitachi.ac.jp/tenji/2008/tenji0807.pdf

でも、これを読むと、とても詳しくまとめられているではないですか! とりあえず「よろしくお伝えください」と申し上げた。また東北大で私の学芸時代の師匠のもとで博士をやっておられる方から、その師匠の近況と、その学生さんの博論の現状などをお聞きする。そのほか、知人にあいさつなど。

学会2日目は、今大会の目的の一つでモートン・フェルドマンの発表を聞きに、9時30目指してホテルを出たつもりだったのだが、玉川上水駅からは早足でなんとか間に合ったという感じ。もっと早く出ればよかった。以下、ひとりごと。

武満徹がフェルドマンの音楽をミニマリズムの文脈で述べている。一つの捉え方だろう。いっぽうでフェルドマンはそれを明確に否定する。それはなぜなのか、というところから始めるというのがいいのだろうか。そもそも作曲家たちは「ミニマリズム」という言葉からして気に入らないのだし、ライヒとの関連でない方法を探るのもいいかもしれない。ラ・モンテ・ヤングのストイシズムだって、反復しないミニマリズムなのだし。

パターンによる反復というのは、実はかなり文字通りの反復だけれど、音楽であれをやると、とてもつまらなくなる気もする。以前グラスのドキュメンタリーを観てたら、繰り返しているようで絶えず変化しているのが演奏者にとって難しいということが語られていた。

反復技法と作曲家が考えている? (ライヒ) /いない? (フェルドマン) というのと、実際に生まれてくる音楽がパルス上の厳格な反復 (ライヒ最初期)、加算式から拡大解釈される反復音楽としてのミニマリズム、ミニマリズムと決別していると主張しながら、それっぽい音楽を直感的に書く、そんないろんなものが、結構複雑に絡み合ってんじゃないかなーっていう主張だったのかも。フェルドマン自身が唱えるミニマリズム否定の言葉と、実際我々が聴取するものの間にあるものは何だろう、なんて考えてしまうんだなあ。

夕食前に、お茶の水DU、新宿タワー、新宿DUでお買い物

・Bach. The Organ Works. Helmut Walcha. Archiv.
・Bach. The Art of Fugue. Musica Antiqua Köln; Goebel. DG.
・Original Works for Theremin. Lydia Kavina. Mode.
・Cage. Works for Percussion, Volume 5. Amadinda. Hungaroton.
・ハイドン 天地創造 ガーディナー Archiv国内盤
・Adams. Doctor Atomic. Opus Arte DVD
・Beethoven Sym. 3 BPO; Kerajan (30 April 1982). Sony DVD.
・Stockhausen. Helicopter String Quartet. Medici Arts DVD.
・Feldman. Durations; Brown, Music for Violin, Cello, and Piano etc. Time LP.
・伊藤淑 アメリカ・アメリカ Victor国内盤LP

夜は八重洲地下街にあるタイ料理。鶏挽肉のバジル炒めのせごはんに大満足! うまかったー。

http://r.gnavi.co.jp/g501109/

いつものように、東京駅20:12発の新幹線+ほくほく線・北陸本線で帰宅。