2024年8月22日木曜日

ヘッドフォンとイヤフォン

 久しぶりに、オーディオ・ネタといいますか…この度、ヘッドフォンを新調しました。これまで使っていたのはAudio-Technica のATH-W1000というモデルで、独身時代に買ったものです。オーディオ・マニアの方からすると大した額じゃないって言われそうですが、僕的には結構お高いものでした。今回はそれに比べると、値段は1/3ほどになります。いわゆるモニター・ヘッドフォンというものです。

それで、以前使っていたATH-W1000、いまでも「銘機」と言われているっぽいのですが、僕は買った当初から「コレジャナイ」という感じを抱いていました。音がぼんやりしているといいますか、音源を活かしきっていないような気がして、失敗だったかなあとずっと思っていたのです。それで、もう10年以上も経ちましたし、そろそろ新しいのを買ってもいいかな、という決断にいたりました。

今回の、やはりAudio-Technica のATH-M50x (→アマゾン) ですが、いやあ、これは解像度からして全然鮮明で、同じテクニカでもここまで音のコンセプトが違うんだなあと驚かされました。ぞくぞくしますね…。低音もしっかりと聴けます。しばらくこのヘッドフォンは愛用しそうです。ソニーのMDR-CD900STと最後まで迷いましたが、後悔はありません。本来は「音作り」のための製品なのでしょうが、リスニングにもこれで充分なのでは、と思います。オーディオ・ファンの方、ごめんなさい(なにせ僕はレコード・プレイヤーもダイレクト・ドライブで良いという人なので…)。

イヤフォンですが、これは3月に中古で買ったもので、Bluetooth・ノイズキャンセリングイヤフォンです。Apple使いとしてはAirPodsと言われそうですが、音以前に、あの形状の物って、絶対どこかで落としたりなくしたりするんですよね、僕の場合。なので、ちょっと古いモデルですが、ネックバンドのついているのにしました。ノイキャン・イヤフォンは、これ以前にもSonyのを体験はしていたのですが、購入当時はノイキャン・イヤホンは初めてだったので、渋谷のヤマダ電機で店員に勧められるがままに購入したスポーツ・タイプのものでした。それで、まあ、音はそれなりでしたが、ノイキャンはイマイチかな〜と思っていた次第。で、いろいろアマゾンのコメントを読みながら、このWI-1000X(→アマゾン)を買いました。音的にはATH-W1000よりも良いとさえ思います。ATH-M50xにはかないませんが…。そしてノイキャンもずっと質が良いですね。

このノイキャンを体験するようになり驚くのは、電車の音っていうのがいかにうるさいか、ということです。相鉄いずみの線の場合、二俣川からトンネルが続くのですが、このトンネル内でイヤホンを外すと、うるさいのなんの…。こんな騒音を行き来する度に聴いていたのですね…。駅に入ってくる電車の音もなかなかうるさい。一方、小さな音が聴きやすいので、クラシックを楽しむにはノイキャンはよいですね。それでも音量が極端に変化しないジャンルの方がいいかな、とは思います。オーケストラよりはピアノや室内楽を聴くようになっているかもしれません。

一方、ノイキャンの怖いところですが、音楽に没入してしまうため、駅を乗り過ごしてしまいそうになることが何度かあったことです。車内アナウンスはうっすらと聞こえるのですが、音楽の方に集中しているからか、気づかずにいますね…。

いずれにせよ、ヘッドフォンとイアフォンに関しては、良い買い物をしたかな、と思っています。

2024年8月9日金曜日

レオン・ルイス:《クァルテット・アメリカーナ》(1960)

ルストガルテン四重奏団 Bristol Records 番号なし (片面のみのレコード)


とある方から譲り受けたレコード・コレクションの中の1枚。片面のみ溝が刻まれているレコードは初めて所有することになったかもしれません。作曲者はレオン・ルイスとされていますが、このレコードのジャケットは手書きの赤字で、それ以上の情報はありません。


ということで、調べてみました。

レオン・ルイスは1890年3月30日にミズーリ州カンザスシティで生まれ、シカゴに育ちます。幼い頃から音楽の訓練を受け、「ピアノの神童」として奨学金を得てウイーン国立音楽学校に入学。 そこでピアノをテオドル・レシェティツキーに、指揮と作曲をヘルデン・グレーデラーとテルンに師事したという情報を得ました。テルンというと、カーロイ・テルンという作曲家が有名なのですが、年代的にはルイスが生まれる前に亡くなっているので、2人の息子のうちのどちらか、ということになるんでしょうか? パッと調べてみたところ、息子のウィリもルイスもウイーンでピアニストとして活躍したっぽいですが、エルヴィン・シュルホフも師事したというウィリだったのかなあ?

さてルイスは1910年に帰国し、コンサート・ピアニストとしてヨーロッパ、アメリカ、カナダをツアーします。時代柄、サイレント映画の音楽を担当した経験もあったようです。1920年代にはシカゴのラジオ局WBBMで音楽監督を務め、その後、CBSラジオ・ネットワークの交響楽団の指揮者を長年にわたって務めました。作曲活動に専念するようになったのは1945年頃からで、1960年10月5日、ロサンゼルスの娘を訪ねている最中に亡くなったということです。

《クァルテット・アメリカーナ》は1960年の作品。同年にルイスは亡くなっているので、最晩年の作品ということになりますね。レーベルにもある通り3楽章形式です。どのような経緯でこの曲を作ったかについては、正直分かりません。とあるレコードの解説には「自由、進歩、そして人生を満喫することへの関心」を表現しているとありましたが、うーん、それはタイトルがアメリカだからというところから出発して書いた、アメリカの美化のような感じもしなくもない…。

第1楽章の<ニュー・ランチョ・ディアブロ>ですが、これはどうやらカリフォルニア州にある「ランチョ・ディアブロ」というコミュニティの名前のようで、アメリカ西部との関わりがありそうな雰囲気が漂っています。荒野へ向かっての叫びのような楽想から始まり、ワイルドな感覚があります。

第2楽章は<ニューオーリンズ>と題されており、ついディキシーランド・ジャズなどを想像してしまうのですが、あに図らんや、緩徐楽章になっています。あえていえば、黒人霊歌からのインスピレーションがあるということなのかな。

第3楽章は<ニューヨーク>ということで、なにかジャズっぽい音でもあるのかなと思ったのですが、そういうものはなく、モダンで活力のある都市を描いたものなのでしょうか。確かに第1・第2楽章とは明らかに違う感覚はありますね。

ということで、全体として、曲がどれほど「アメリカーナ」なのかは分かっていないのですが、アメリカを形作る地域的な違いを作曲者なりに音で描き分けたという感じの作品なのかもしれません。

2024年8月7日水曜日

ワリングフォード・リーガー:ピアノ三重奏曲 作品1 (1919-20)

ジョン・コヴェッリ(ピアノ)、ウィリアム・クロール(ヴァイオリン)、アレキサンダー・クーゲル (チェロ) Columbia MS 6189
archive.org




リーガーというと、アメリカ音楽史的には、いち早くセリエル技法を取り入れた作曲家として知られていると思うのですが、この作品1は、ロマン派の延長線上にありますね。ちょっと驚きました(リーガーに言わせると「ポスト・ロマン派」らしいのだけれども)。パデレフスキ賞というのも受賞しているらしいです。

ピアノ三重奏曲が作曲されたのは1919年から20年にかけてでしたが、初演は10年後の1930年で、場所はニューヨークのボヘミアンズというところでした。このボヘミアンズというのは「ニューヨーク・ミュージシャンズ・クラブ」とも呼ばれており、ニューヨークの著名な音楽家と音楽愛好家からなる組織だそうです。そして会員のためのディナーや室内楽コンサートを企画し、若いアーティストを支援し、著名な音楽家を顕彰しているとのこと。

僕が驚いたのは、リーガーがこんな曲を書いていたのか(考えてみればそんなに驚くべきことじゃないのかもしれないけど…最初の作品からバリバリ無調というのも時代的背景からして不自然なんだろうし)というだけでなく、作品自体がとても魅力的だということです。「書く力」がある人だったのですね。

なおYouTubeにも音源がアップロードされていましたが、残念ながら左右が逆になっています。ヴァイオリンが右から、チェロが左から聞こえてきます。