2011年3月31日木曜日

こんなこともやってたり

私が解説を書かせていただいた『ニューサウンズインブラス (NSB) 2011』、すでに曲目があちこちに載っているようなので、その時の体験談をメモっておきます。
まずは、ラインナップから。

・坂本冬美メドレー
・AKB48 ヒット曲集
・K-POP 〜Girls編〜
・ルイ・アームストロング・メドレー
・「上を向いて歩こう」
・「パイレーツ・オブ・カリビアン」
・「いとしのエリー」
・「また逢う日まで」
・「ロミオとジュリエット」
・「塔の上のラプンツェル」

吹奏楽は、ジャンル幅が広いですよね。そして、今回の執筆にあたってポピュラー音楽に Wikipedia がどのくらい役に立つ/立たないかを初めて体感した次第です。出発点は、とりあえずの Wikipedia だったのですが、やはりどれも曲のリリース・データと、それにまつわるタイアップやCMへの使用など。客観的記述が主とは思いながらも、やや作品の面白さ知るには物足りない感じ。結局のところ坂本冬美は猪俣公章の著作、坂本九は自伝や中村八大コンピレーションCD Boxの解説書、尾崎紀世彦については、筒美京平について書かれた本を入手、サザンについては中山康樹の『クワタを聴け!』 (集英社新書) や地球音楽ライブラリーの一冊、アームストロングは各種英語サイトや自伝など。とりあえず、いずれも裏取りをいたしました。「ああなるほど、この本から取ってきたのね」というWikipedia項目もあれば、その詳細は不明のものもあれば、本に当たらないとダメっていうものまで、様々でした。クラシックよりも未知な世界だったのですが、本当に新しいものでなければ、何かしら活字にはなっているものなのですねえ。

難儀だったのが K-POPの少女時代とKARAかな。ムックとか音楽雑誌とかで何とか。ただ驚いたのが、こういうムックでも、公式サイトの文をそのままコピペっていうのがあったということかも。AKB48が結局のところ今回は最も難しく、リリース日などは Wikiに頼らざるを得なかったり。インタビューを集めたという本を買ってみたけど、まあ、アイドル・ファン向けだから、音楽について語ってるわけじゃないんだよね。一応関わってる作曲家のサイトはチェック。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』や 『ロミオとジュリエット』、 『塔の上のラプンツェル』は、もちろん映画そのものを観て、サントラを買いました。2番目のニーノ・ロータについてはBurlingameのSound and Visionがあったので、本当に助かりました。この本は、サントラの解説本で、手っ取り早く具体的な作品を調べるには便利です。『ラプンツェル』については割と楽で、雑誌『ディズニーファン』にはトランスクリプションと解説あり、英語のエンタメ系サイトには、作曲者メンケンのインタビュー (映像・文章) など、たくさんありますから。

解説の校正は編プロ→ヤマハ→編プロと3回あるのかな。こんなに念入りに校正やる体験は初めてかもー。

実は今回のNSBの仕事は、僕の学部時代の同級生の依頼で、彼からは、地震の被災者を応援するJ-POP応援歌集を出すらしく、その楽譜のための誰かが書いた解説文の「差し替え原稿」を依頼されました。もう時間がないので、YouTubeで聴いて、Wikiを覗いて書くしかなかったですねー。ただ「歌詞の内容からどういう曲か解説してほしい」ということだったので、歌詞サイトに行って、音楽の特徴を軽く触れて、今朝送付しました。

で、差し替え原稿ということで、元の原稿も拝見したのだけれど、いやー、これが見事にWikipedia+アーチスト・ブログのコピペなんだよねえ。そういえば学会でも、コンサートのプログラムっていうのは名曲解説全集の引き写しでしょって言ってた某先生もいたなあ。現実問題としては、あれ写しても、全然使えないと思うのだけれども。

ということで、ポピュラー音楽の書き物にいどんでみた近況でした。

2011年3月9日水曜日

観たもの・聴いたもの

解説原稿をこんなに連続して書いているのは、今年が初めてかもしれない。でも、ようやく、ちょっと一息かも。

・映画『女は女である』

物語としては、正直面白くなかったです。でもアンナ・カリーナの魅力だったり、使われる色彩の鮮やかさ、スタイリッシュさだったり。1961年だけど、色褪せない部分はありますねえ。突然第4の壁が取っ払われたり、字幕が入ってきたり。「表現」としては、とても興味深く拝見しました。

音楽はブツブツ切れている、でも厳密に画面の切り替えと合ってるところも多かったりするのかな。唐突感も一つのスタイルなのだろうな。真似するとすぐバレるっていうか。

聴いているもの

Stefan Wolpe: Ten Songs from the Hebrew. Arline Carmen, alto; Leon Lishner, bass; David Tudor, piano.
Alan Hovhaness: Upon Enchanted Ground. Samuel Baron, flute; Lucile Lawrence, harp; Claus Adam, cello; Elden Bailey, tamtam.
Hovhaness: Suite for Violin, Piano, and Percussion. Anahid Ajemian, violin; Maro Ajemian, piano; Elden Bailey, percussion. Columbia ML 5179 (LP).

所有資料をきちんと消化しよう! ということで、引っ張り出してきたLP。

ヴォルペにはチュードアの名前が演奏者として挙がってる。名前を知らずに聴いて、どう思うだろうか、名前を見てしまったので何とも言えないのが悔しいが、何となく前のめり感のある、積極的な弾き込みが、いかにもチュードアらしいといえば、そうなのだろうか。当たり前に、歌の邪魔になることはないけれど、音楽をリードしたり、インタラクティヴになったり、歌う方も油断出来ないっていう感じはする。

それにしてもヘブライ語による歌詞か。歌う人、少ないだろうな。リリカルだけど無調。

ホヴァネスは、いつものごとく、神秘的な様相。ジャワ島のガムランの、大きなゴングの音を模したようなタムタムの使い方。ハープが伴奏でフルートはスリンを意識しているのかな。チェロはなんだろう? 対旋律だから、直接的にはガムランに関係なしで、この辺が「融合」になるのかも。

組曲の方も、ガムランの影響を感ずるねえ。