2025年12月18日木曜日

久しぶりに古い記事を読んでみた

西村 朗「現代作曲家が書いたクラシック音楽論 滅びゆくものは美しく 第11回 現代音楽 Q&A」『音楽現代』 17 (11) (199)、1987年11号、pp. 100-103。

大学学部時代に出会った『音楽現代』の面白い記事。なぜかずっとコピーを持っていました。改めて読んでみて、なかなか痛快です。内容は架空の Q&A (おそらく一人対話)ということで、質問者は現代音楽について「音はキタナイ」し、「演奏者も聴衆も、出版社もレコード会社も、ぜんぜん面白がってないよ」「音楽の未来なんてなくったっていいね。マーラーでクラシックはおしまい。せいぜいショスタコーヴィチまでだね。あとはいらないよ」とまで主張します。それに回答者が必死に現代の作曲家や作品について擁護を試みるといった感じでしょうか。

ただそれは12音〜セリエルの擁護というわけではなく、スティーヴ・ライヒから始まり、近藤譲、佐藤聡明、吉松隆、藤枝守などが入るということで、セリエル後の潮流の紹介という感じになっています。その全体的な流れは4つの枠組みで説明されています。すなわち①新しい表現主義、②「音楽を原点から見直し、その構造性やシステムを新たに考えて、 自立した構造性のうちに、これまでにない音楽美を作り出そうとする」一派、③環境音楽、④「音の流れが人間の根源的な精神力や深層の心理、(中略) 魂の奥深いところを啓発するような音響、ないしは音楽作品の生成」を目指す派です。②④は具体的な作曲者が出てくるので、それで「あ〜」そういうこと…になるのかな???

詳しくはぜひ雑誌のバックナンバーに触れてください。図書館にないかな〜。

2025年12月13日土曜日

東京交響楽団第737回 定期演奏会 (サントリーホール) (感想メモ)

<出演>
指揮:ロス・ジェイミー・コリンズ
ヴァイオリン:大谷康子

<曲目>
≪大谷康子 デビュー50周年記念≫
マルサリス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
コープランド:交響曲 第3番

東京交響楽団公式サイト

今日はコープランド3番の楽曲解説を書いた東京交響楽団の定期に行ってまいりました。残念ながら会場に遅れて到着したため、マルサリス作品はモニター越しに聴きました。生で聴けなくて残念。スーザフォンが入っているのを見るとどうしてもポール・ホワイトマン楽団を思い出してしまうのですが、おそらく曲はもっとシリアス寄りなのかな。周りの聴衆の反応は「マルサリスがこんな曲を、天才だね」から、「ちょっと音楽がしっとりとしすぎではないか」まで様々。手拍子・足踏み、スタンディング・プレイまであったっぽい。

コープランドは、馬力のいる派手な曲というイメージがどうしてもあったのですが、今日の演奏は、しっかりと鳴らしつつも暴発的な感じはなく、芯のしっかりした響きで満たされる路線というべきでしょうか。弦・木管の美しさに自然に注目するようリードされていた印象。24歳? 今後が楽しみな指揮者、というべきでしょうか。

2025年12月10日水曜日

龍角散presents ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演 (2025/11/20 みなとみらいホール) (感想メモ)

<演奏曲目>
ヤナーチェク:ラシュスコ舞曲
バルトーク:《中国の不思議な役人》組曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ペトルーシュカ》(1947年改訂版)

<演奏>
キリル・ペトレンコ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

<日時・場所>
2025年 11月20日(木)19:00開演(18:15開場)
横浜みなとみらいホール

とあるご縁で、ベルリン・フィルの公演に接する機会を得たので、聴きにいってきました。私の他にもフェリスの教職員や学生の姿も見えました。サントリー・ホールはロマン派・プロだったようですが、個人的には、この20世紀プロの方に魅力を感じた次第です。

ヤナーチェクは、軽妙な舞曲はより軽妙に、という感覚でしょうか。オルガンが入りますが、重厚な路線ではなく、楽しみを付加する方向性。組曲路線で、ややつかみどころに困るところで、この曲は予習しておけばよかったです。演奏会用舞曲で実用的な作品ではないというところもあり、柔軟なテンポの変化を随所に交えつつ、踊りの楽しみが終始溢れていました。

バルトークはこれまた解像度の高い演奏でした。随所に現われる独奏フレーズは、各自妙技を生かしつつ、彼らのオーケストラの中での役割・文脈も明確でした。意外にも、というと変かもしれませんが、「引き算」なアンサンブルではなかったでしょうか。精緻であるからこそ、効率よく鳴り響く感覚といいますか。それでも混沌とした終曲には興奮させられました。

《ペトルーシュカ》は、冒頭の、音符通りのズレの感覚からとても効率よくとてもきれいでした。ミスがなかったとはいえませんが、各奏者の安定した技術はさすがにベルリン・フィルといったところでしょうか。この曲はロシア・オケでないといけない演目ではむしろなく、細やかなアンサンブルと全体による動きとが素早く移り変わる作品なので、このオーケストラの特色が生きてくるのでしょう。エコノミカルなスコアリングなので振り付けがないと分かりにくいというところもあるかもしれないのですが、やはりファンタジーが楽しいモダンな組曲であるということを充分堪能できたように思いました。

演奏会後、指揮者ペトレンコに対する長いカーテンコールが続き、すでに普段着に着替えてしまった彼が最終的に登場し、ホールに残っていた聴衆たちを喜ばせていました。

2025年12月9日火曜日

ホヴァネス:交響曲第29番 (バリトン・ホルンと管弦楽のための) 作品289 (1976) (チャールズ・スミス、スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管)

Alan Hovhaness:  Symphony No. 29 for Baritone Horn & Orchestra, Op. 289. Minnesota Orchestra;  Stanislaw Skrowaczewski, conductor (World Premiere, September 1976).

編成:Orch: 3222 4331 timp perc(4) hp strings


YouTubeのコメントを自動翻訳にかけてみます。
アメリカの作曲家アラン・ホヴァネス(1911-2000)は極めて多作で、500曲以上の作品を残した。番号付きの交響曲は67曲に及び、そのうち30曲以上が商業録音されている。

第29番交響曲は吹奏楽版の第2版が録音されている。その録音ではバリトンホルンではなくトロンボーンが使用されている(いずれも差し支えない)。ここに初演となる第1版(フルオーケストラ編成)の世界初公開録音を紹介する。1976年9月、ヘンリー・チャールズ・スミス(バリトンホルン)とスタニスワフ・スクロヴァチェフスキ指揮ミネソタ管弦楽団による演奏である。

個人的には、このYouTubeコメントに言及されている「第2版」はトロンボーンよりもユーフォニアムで録音しても良かったのでは、と思ったのですが、音色の違いからの選択だったのでしょうか? フレージングはやっぱり滑らかな方がホヴァネスらしいような気もします。

いずれにせよ、珍しい独奏楽器の入った交響曲だとは思います。


2025年12月7日日曜日

アルフレッド・リード:《ロシアのクリスマス音楽》(演奏者不明音源)

Reed - Russian Christmas Music. Unknown Performer. Recorded under the direction of Ralph Satz. A Sam Fox Production 7-33-15-A. (モノラル録音、7インチ)




Webマガジン「ONTOMO」アルフレッド・リードの記事を書いていた時、興味本位でいろんな音源を探しているうちに出会った7インチ盤です。「プロモーション・レコード」というのがどういう目的で、どのように使われるのか分かっていないのですが(ちょっと調べてみたら、楽譜出版社が出していたものらしい)、とにかく録音されているのは、アルフレッド・リードの《ロシアのクリスマス音楽》ということはレーベルに書いてあり、実際聴いてみると、確かに初期のリードが書いた、この吹奏楽の一大傑作であることは間違いないです。

ただ、ラルフ・ザッツの監修の下に録音されたとはいえ、肝心の吹奏楽団や指揮者が書いてないのが気になります。Sam Foxの7インチ盤というと、別のものにはフレデリック・フェネル指揮マイアミ大学ウインド・アンサンブル、アルフレッド・リード(プロデューサー)によるクリフトン・ウィリアムズによる交響的舞曲第3番《フィエスタ》というのもあります(こちらにもお持ちの方がいらっしゃいました…)。希望的観測では、作曲者リード指揮のマイアミ大学ウインド・アンサンブルなのかな、と思ってしまうのですが、いかがでしょうか? 演奏が佼成の録音と似ているようなテンポや運び方のような気がするんですよね…。あるいはやっぱりフェネルなのか?????

ただこの録音、15分あまりの大曲を2つの面に分けているということもあり、途中で演奏が切れています。デジタル化するとき、何となくつなげてみたのですが、どこか欠けた一瞬がないかどうか、とても気になります。聴いた感じは全然分からないのですが…。

2025年12月6日土曜日

神奈川フィルハーモニー管弦楽団 第409回定期演奏会(感想メモ)

演奏曲目
ラヴェル《道化師の朝の歌》
バーンスタイン/《キャンディード》組曲
バーンスタイン/管弦楽のためのディヴェルティメント
ストラヴィンスキー/バレエ音楽《春の祭典》
 2025/11/15 14:00開演、みなとみらいホール

久しぶりに神奈フィルの定期に行ってきました。演目がとても興味を引いたのと、指揮者が大植英次さんであるところが、私的なポイントでしたでしょうか。

まずラヴェルの《道化師の朝の歌》は、粒の揃ったピチカートからまとまったアンサンブルが聴けました。派手さで聴き手にアピールするのではなく、小粋なエキゾチシズムをじっくりと堪能できました。

バーンスタインの組曲《キャンディード》は、メドレー風で、幾分ノスタルジックな趣がします。演奏も、ふっくりとしたバーンスタインといいますか、歌心溢れるオーケストラといいますか。

同じくバーンスタインの《ディヴェルティメント》は、打って変わって、元気よく歯切れの良いリズムで、サクサクした感覚です。雑多なポピュラー風味をまぶした、多楽章のオケージョナル・ピースですね。最終楽章ではピッコロや金管の立奏があり、スーザの《星条旗よ永遠なれ》を思い出しました。全体としては、それでもビシっと鳴るだけではない、プラス・アルファを感じることができた好演だったのではないでしょうか。

メインの《春の祭典》も、最初のラヴェル同様、落ち着いた感じで聴けましたが、ところどころ、スコアを確認したくなる箇所があって、面白かったです(音の間違いとかではなく、そういう解釈が可能なのか、という面白さの発見ということでしょうか)。ただ、それよりもびっくりしたのは、最後の音が鳴り響いてから。いわゆるフライング・ブラボーがなくてよかったのですが、余韻を味わうあの瞬間、自分の胸がすごくドキドキしていて、息苦しいくらいでもあったのです。それだけクライマックスを楽しみながら、心拍数が上がっていたのかもしれません。終結部の美しいティンパニーとグランカッサの迫力の合わせ技にやられたのかな?

音楽教育者プロフィール:UCLA民族音楽学教授 ティモシー・ライス

Music Educator Profile: UCLA Professor of Ethnomusicology Timothy Rice


僕がフロリダ州立大学で出会った ethnomusicologists はいずれもUCLA出身でした。Dale Olsen先生しかり、Michael Bakan先生しかり。Tim Rice氏については論文や著書などで名前は知っていましたが、こういう動画を見たのは初めてかもしれません。

アフリカでは物語の伝統が強いが、ブルガリアの場合は物語は歌の中にあり、しかも物語は女性の立場から語られているということも興味深い。

「音楽史」の授業で、12音の無調やミニマリズムをいきなりやるというのはなかなかすごいかも。研究対象がモーツァルトのスコアじゃなくて、例えばアフリカの1930年代・40年代のポピュラー音楽などの「録音」だというのも、なるほどねえ、という感じ。

ほかにもいろいろなトピックについて語っていますが、いずれも興味深い内容です。

2025年12月3日水曜日

アメリカのクラシック音楽メモ (2004年9月・10月)

EMI album "Classic Elrugton" City of Birmingham SO; Sir Simon Ratle. EMI 5 57014 2.

アレンジもののエリントン。ストリングスやフルートの音も聴こえてくる。 リズム感はなかなかのもの 。ポップス ・ オーケストラとして聴けるもの。(2004-09-30)

ガンサー・シュラー:協奏曲集 (3曲) ホルン協奏曲第1番、ピアノ協奏曲、ファゴット協奏曲GM Recordings GM 2044

「サード・ストリーム」とは関係ない現代的作品も少ないないシュラーだが、ホルン協奏曲はレスピーギや印象派を思わせる、色彩豊かで美しい作品。(2004-09-30)

デヴィッド・ ベ イ カ ー:ヴァイオリンとジャズ・アンサンブルのための協奏曲 カーメン・ドラゴン指揮ハリウッド・オール・スター・ジャズ・バンド Laurel LR-125 (LP)
Discogs

ベイカーはインディアナポリス生まれ。もともとジャズ・ トロンボーン奏者で 作曲・編曲家 。スタン・ケントン、メイナード・ファーガソン、ライオネル・ハンプトン、バディー・ジョンソ ン、ウェス・モンゴメリーらと仕事をしたこともある。(2004-09-30)

Jon Gibson Criss Cross (Section 3) (From the Kitchen Archive: New Music, New York 1979)
Spotify (アルバム)

きっちりと規定されたピッチの中でゆるやかに規定された、あるいは全くの即興によるフィルムやフレーズによる作品(ライナーノーツより)。出す音は限られている一方、時間は延々と続いていくのだから、飽きずにやるには変化が必要。(2004-10-04)

Pauline Oliveros: The Tuning Meditation. (From the Kitchen Archive: New Music, New York 1979)

彼女の行っているソニック・メディテーションを、結果として作品となったものでなく、現実に何が起こっているのかを想像しながら聴けるのが面白い。冒頭のオリヴェロスの指示に従って、 C D の聴き手も世界に入り込むことさえできる。(2004-10-04)

ウィリアム・ グラント・スティル:《アフロ=アメリカン交響曲》 ポール・フリーマン/ロンドンSO.  The College Music Society (CBS Special Products) P19428 (Columbia M 32782) (LP).

1930年に作曲された。ブルースのスタイルで新しいメロディーを書いた。低いものと考えられていたが、こういういクラシックの曲を書くことで、芸術作品としても充分通用するものだということを立証したかった。(2004-10-05)

Ellington & The Modern Masters. Detroit SO; Neeme Järvi, cond. Detroit SO DSO-1003.

作曲者がいわゆる黒人であるということで、いつの間にか、こちらもアフリカ系のリズム、ジャズやスイングというものを自然と期待してしまうところがある。一種、ステレオタイプ思考といえるのかもしれない。

Olly WilsonのShango Memory (1997-98) などは、そんなステレオタイプよりも現代音楽的である。ストリングスのシンコペーションあたりが「そうなのかな」と追い求めてしまうところがある。ストラヴィンスキーを思い起こすところあり。チャンスの《呪文と踊り》に出てきそうなリズム・パターン?

"Yoruban deity Shango as a metaphor for West African musical concepts that were reinterpreted in the American context and became the basis for Africa-American Music. (ヨルバの神シャンゴは、アメリカという文脈で再解釈され、アフリカ系アメリカン・ミュージックの基盤となった西アフリカの音楽概念の比喩として用いられる)"  (2004-10-20、日本語訳は自動翻訳による。2025-11-26)

2025年12月2日火曜日

ギメシュ地方の民俗音楽 (ハルマジ・ミハーイ)

Gyimesi Népzene (Hungarian Folk Music fom Gyimes). Mihály Halmágyi, violin; Gizella Ádám, gardon. Hungaroton SLPX 18145 (LPレコード).

冒頭から変拍子に乗った技巧派フィドルに驚きます。そして伴奏をするのはチェロの形をしたガルドン(ウトガルドン)という楽器です。棒で弦を叩いてリズムを刻むのだそうですが、共鳴体が大きいということもあって、面白い音がしますね。黒澤隆朝氏は「弦鼓(げんこ)」と呼んだらしいのですが、いい得て妙だなあ。これ最初、塩ビパイプを切り取ってその一旦を手の平で叩いているのかと思いました(全然違いましたね・苦笑)。他のトラックを聴いてみますと、必ずしも全部が全部変拍子という訳でもなさそうですが、それでもアクセントの付け方によって、感じる拍子感は、やはりちょっと「詰まった」感じがします。

しかしまあ、このヴァイオリン、名手ですねえ。なお音源そのものはCDにもなっているようです。

YouTubeにハルマジ・ミハーイ氏の演奏が聴ける動画がありました。ウトガルドンも見られます。