2009年11月18日水曜日

執筆活動報告

音楽現代12月号に「リゲティ/《アヴァンチュール》〜20世紀の音楽が理論的だという偏見から解放してくれた記念碑的作品」を書きました。

なお、内容はリゲティの考察文ではありません。「私の愛聴する20世紀の名曲たち (交響曲を除く) 」という特集の中で、私が10曲を選んで書いたものです。タイトルは、編集の方が原稿を拝見され、その内容のハイライトとして考えられたということでしょう。

このほか、オーケストラ・アンサンブル金沢の第266回定期公演 (2009年9月6日、石川県立音楽堂コンサート・ホール)、267回定期公演 (9月18日) の演奏評も書いております。

よろしくお願いいたします。

2009年11月2日月曜日

初めての大阪

学会の方の記述がいい加減になってますが、ここはさっき書いたため。やっぱり、帰ってすぐに書かないと忘れちゃいますね。いちいち書類出して書くのも面倒だし (^^;; まあ個人的な日記ということで、ご容赦いただくことにして…。

10月24・25日 (土・日) と、大阪大学で開催された、日本音楽学会全国大会に出席。土曜は朝に始まるため、前泊。大阪入りは23日、金曜日の午後ということになった。

昼過ぎの富山発のサンダーバードに乗車。とりあえず宿泊先の東急インに入り、電話で連絡と取って、マイミク j さんと会うことに。jさんはまだ大阪に越されてから日が経ってない上、こちらも大阪は初めてということで、なかなかお目にかかるまでも一波乱。こういう時に携帯電話がなかったら、今回お会いするチャンスもなかったかもしれないと思うと、つくづく文明の利器はありがたい。

初めは梅田駅周辺で夕食を、ということも考えたけれど、お互い要領を得ないところがあり、私の希望から、なんばのタワーレコードに案内いただくことになった。サントラ・セクションで、最近ユニバーサルから出たフランス映画サントラのカタログをいただき、そのままクラシックのセクションへ。正直、渋谷・新宿のタワーに比べると若干寂しい感じだったけど、ホグウッドの《メサイア》を買って来た。いま読んでるアメリカの教科書にサッチモの《Heebie Jeebies》とホグウッド盤の《Rejoice Greatly》を聴いて、スキャットとダ・カーポ・アリアの装飾とを比較する、なんてことが書いてあったからだ。

タワーを出てから、難波の地下街を歩きながら、食べる所を探す。結局、私が最初に「ここ、いいかも」と、テキトーに言ったベトナム料理店に入ってもらうことに。2,000円のコースメニューをいただく。生春巻きからフォー (だったかな?) まで、一通り食べられて、なかなか良かった。その間に、音楽の話題が全開となり、j さんのご専門である映画音楽 (E. Bernstein, Broughton, Goldsmith, Menken etc.)からアメリカ音楽 (Grofe, etc.) 、音楽評論家のUセンセ、片山杜秀さん、はたまたジャズまでと多岐にわたり (John F. Szwed, "Jazz 101" という概説本を紹介いただきました!)、楽しい一時を過ごしました。

さすがに現地で長く研究をされてきた j さんらしく、現場や生の資料に触れられている分野に関しては、おそらく日本でもトップクラスの話の中身だったでしょう。また、拙著をお買い上げいただいただけでなく、当方の署名までさせていただくことにもなり、冷や汗モノでございました。

学会発表は、とても意義深いものばかり。記憶に残ったのは、大正時代の通信教育による音楽講座について、オペラ・レコードとアメリカにおける西洋音楽受容、ポピュラー音楽をクラシック音楽の類似点ならびにポピュラー音楽の分析的研究の必要性の提起、音楽学と大学における音楽教育、世界の音楽学学位、米国の音楽分析の流れ etc. etc. 懇親会で毎回会話する人も少しずつ増えたし、何人か新しい人ともめぐり逢えました。刺激的な2日でございました。

それにしても芸大以外でも音楽学を学ぶ人が増えたんですねえ。こりゃあすごい。

阪大を後にして、梅田駅近くの地下道をうろうろして、イタ飯屋でパスタを食べた。あつあつでとても美味しいものだったけど、電車の時間との兼ね合いを考えてなかったため、いそいで食べた。シェフには申し訳ありませんでしたねえ。

2009年10月22日木曜日

執筆活動報告

レコード芸術』2009年11月号、「海外盤試聴記」において、以下を書きました。

「今月の話題盤:1960年代から70年代にかけて一世を風靡した現代音楽シリーズが復刻 アール・ブラウン/コンテンポラリー・サウンド・シリーズ-2」

Wergoがこういうのをやるとは思いませんでした。アメリカの大学にいた時は、図書館で、よく聴いていた名盤LPです。3枚まとめての復刻です。

2009年8月29日土曜日

7月に聴いたものの記録

Focus on P. J. B. E. Philip Jones Brass Ensemble. Argo ZRDL 1001 (LP).

これがなかなかCDにならなくて、中古LPも探していたのだけれど、偶然ヤフオクに出品されていたので迷わず購入。状態も非常によくて満足。もちろんお目当てはヤン・ケツィアーの《ブラス・シンフォニー》。別の演奏によるCDが出てるけど、どうもショボくてねえ。とはいえ、このLPのも、第1楽章は、ちょっと安全運転気味。PJBEが富山市公会堂でやったときは、もっとインパクトがあったような気がするんだけど、当時は中学生なので、記憶の中で美化されている可能性はある。 (2009年7月8日)

Folk Songs and Dances from the Lands of Doyna and Hora: Rumanian--Gypsy. Colosseum CRLP 192 (LP).

《日没の踊り》(A/4) の雰囲気が、ディニークの《ホラ・スタッカート》にすごく似てる。というか、こういう音楽にディニークが影響されたんでしょうね。改めて、ディニークがルーマニア生まれのヴァイオリニストだったことを確認。(2009年7月9日)

マーラー 交響曲第1番ニ短調《巨人》 リッカルド・ムーティ/フィラデルフィアO. ウイーン楽友協会 1984.5.19. 1984.11.26. エアチェック (カセットテープ)

海賊盤が出てるんだったら、そっちの方が音がいいだろうけど、白熱の演奏で良いです。ただ最後でティンパニーが落っこちてたりするのがご愛嬌。この前に収録されているファリャの《三角帽子》からの <粉屋の踊り> でもコール・アングレが 最後の G の刻みをコケている。僕はほかのちゃんとした録音を聴くまで、このコールアングレの最後の音はオクターブ上げるように楽譜に書いてるものだと思ってた。「GGGGGg」みたいに。コココココケッ。ライブって怖い…。 (2009年7月14日)

Shotakovich, The Symphonies. Gurzenich-Orchester Koln; Kitajenko. Capriccio.

キタエンコはOEKで2回聴いてて、とてもよい印象を持っているので、これも入手。とりあえず第3から聴いているけれど、やはりソ連のオケとの違いを改めて実感した次第。録音も素晴らしい。ケースとCD収入袋の作りが弱そうだったので、入れ直した。

Chopin, Piano Works. Leonskaja. MDG.

レオンスカヤ、好きなんですよ。先日オンライン・ラジオでスケルツォ第2番をエアチェックしたんですが、つながりが悪く、音が途切れてました。ライブだったので残念。でもこれで途切れてないのを聴くことができそうです。

Husker Du, New Day Rising. SST.

のっけから、とてもいい感じです。アメリカのFM放送でいうと、メインのポピュラー・ステーションじゃなくて、カレッジ・ステーションでかかってそうなっていうか。僕のフロリダ時代、Student Union 辺りでライブをやってたバンドのスタイルを思い出します。ライナーに歌詞が掲載されているのは、とても良心的。

長崎の月琴 日本フォノグラム PH-7521 (LP).

明清楽の貴重な録音と構えて聴いてみたんだけれど、なんだかお気楽な音楽。のちのポピュラー音楽への影響云々と言われているみたいだけど、まだちゃんと耳と頭がつながっていない。

小泉文夫の民族音楽 第8章 インドネシア I:バリ島の芸能 (ラジオたんぱ、カセットテープ)

小泉文夫の解説は、しゃべりがとてもうまいんだけど、その音楽観や文化観が、どうしても一世代前という感じがしてしまう。あと、社会と音楽の結びつきに関する考察が、かなり表面的なような気がする。もっとも文化人類学とかバリ島社会については門外漢なので、何とも突っ込みのしようがないのも事実であったり。やはり住民として住んでみないと分からないこともあるだろうなあ。皆川厚一さんの『ガムラン武者修行』が好きだったりする。皆川さんの本の内容、特にインドネシアの音楽教授法については、僕の論文の審査をしてくれた先生の一人、Michael B. Bakan がCollege Music Symposiumに書いてるのと近いものがある。とにかくjumping-inする、ひたすらやってみるっていう。聴くと同時に体が反応するという部分がそうだ。 (以上2009年7月19日)

イタリアの民族音楽 I アルバトロス (キング)

なんでイタリアというとカンツォーネだけなのっていう素朴な疑問が出てきますよねえ。サルタレッロやらタランテッラっていうのは、もちろんクラシックでも大作曲家が作ってたりするんですが、民族楽器で演奏したものって、こうなんだっていうのがあります。もっとも、この音源がクラシックに影響を及ぼした「オリジナル」なのかどうかは、歴史的な変化を考えれば、難しいんでしょうけどね。

希望音楽会〜20人の楽聖とその音楽 (下) リストからチャイコフスキーまで  ヴォックス (ビクター) VOX 5593 (LP)

いわゆるクラシックの名曲集ということになるんですが、リストのハンガリー狂詩曲第2番をハンガリア民族アンサンブルが演奏したものが興味深い。もちろん原曲はピアノなのだけれど、民族楽器で演奏すると、独特の荒っぽさがでるもんだ。チボール・ゲーザ指揮西南ドイツ放送交響楽団とかやらによる《軽騎兵》序曲も、なーんだか独特のアゴーギクで、妙に田舎っぽくてイイ。エンディングでファンファーレを演奏する箇所、ショルティ/VPOと同じでテンポを落としている。(以上2009年7月26日)

(mixi日記から抜粋)

2009年6月29日月曜日

最近入手したCDなど

『世界民族音楽大集成 特典盤1・2 世界の民族音楽:民族音楽の解明--土俗音楽から芸術音楽まで』(キング国内盤)

LP時代にプリンス・レコードから出ていた、小泉文夫の解説入り音源のうち、女声のナレーション部分をカットしてまとめたもの。1の方は音階やリズムについて、2の方は様々な声の音楽について解説している。たしかプリンス・レコードのは『世界の民族音楽 第1集』となっていて、続編を期待させるタイトルになっていたんだが、結局続かなかったようだ。僕はこの音源とラジオたんぱの15回の講義の音源から小泉文夫に入った人で、リアルタイムにNHK-FMの『世界の民族音楽』を楽しんだ人間ではなかった。もっとも中学生に民族音楽と出会っていれば、小泉氏のDJが楽しめたかもしれなかったと思うと、残念至極である。 ちなみにこのCDは、ヤフオクで新品未開封を入手。

Mahler. Symphony No. 9. SWF-Sinfonie Orchester Baden-Baden; Michael Gielen, conductor. Intercord.

先日《トリ・イゾ》の前奏曲と<愛の死>を聴いて圧倒されたので、ヤフオクで入手。一時期は高値が付いていたらしいけど、1600円くらいだった。これもなかなか良さそう。ヘンスラーのマーラーは、いくつか持ってるんですけどね。

2009年6月4日木曜日

映画と映画音楽メモ

・映画『壮烈第七騎兵隊』(1942)

They Died with Their Boots Onが原題。Leonard Maltinによると、第2次世界大戦の色が濃く出た映画らしい。題材こそ南北戦争とはいえ、確かにこれは戦争美化映画と言われても、しかたないでしょうねえ。

というのは、映画を観終わってから分かったこと。もともとは、アセテート盤から作られたマックス・スタイナーのサントラ・コンピレーション (ブートレグ) に収録されたスコアを聴いて興味を持ったため、映画本体を観た次第。

肝心の映画の話だが、冒頭部分で気が抜けるようなエピソードが続いて「なんだこの、つまんなさそうな映画は?」と思った。しかしそれが主人公カスターの成長へとつながっていくための布石と分かり、後半の展開が生きてくる。先住民族の扱いについては、この時代でも、意外にセンジティブ。

マックス・スタイナーがこんなジャンルの映画に音楽を書いていたのは意外な気もするのだけれど、南北戦争歌を、うまく織り込んでいる (と書いているうちから訂正したいのだが、テーマ音楽に使われているのは、第7騎兵隊の歌ということのようだ。Garry Owenというタイトルで、映画でもこれが歌われている場面がある) 。ちなみに映画音楽ファンが作ったブートレグには、スタイナーの西部劇映画コレクションというものがあり、恋愛もののメロメロなスコアだけで考えるとスタイナーの全体像が見えなくなるのかもしれない。とはいえ、この映画においてもキス・シーンではスタイナーらしい黄金時代のゴージャスなメロディーが流れる。そう、やるんだったら、ちゃんとやった方がいい。

・映画『懐かしのアリゾナ』(1929)

アメリカ版DVD。トーキー初のウェスタンということで、資料として観た。うーん、どうもかったるい映画だねえ。アクションはないんだけど、拳銃の音はある。インディアンは登場しない。従って、「インディアン音楽」はなし。ずいぶんおしゃべりの多い映画だ。あ、だから「トーキー」なのかな???

2009年5月28日木曜日

最近観た映画

ごぶさたしております。日記はmixiに書くことが多くなり、こちらに書いていないのは、申し訳なく思います。時々、そのmixi日記を転載していきたいと思いますので、よろしくお願いします。なお「富山の音楽・石川の音楽」については、別のブログで続ける予定です。詳細が分かりましたら、またお知らせいたします。

さて最近は、西部劇映画について読んだり、実作品を観ています。The Bfi Companion to the Westernは、西部劇に登場するアイテムや、映画監督・俳優などのデータに長けているけれど、映画作品についてのエントリーは少なめ。The Western (Aurum Film Encyclopaedia)の方が、作品年代と、各作品の大まかなことを知るには便利。両者をうまく使いこなすことが大切かもしれません。

関係ないですが、県立図書館から、柳沢一博の『ヴィスコンティを求めて』、アンヌ・ジランの『トリュフォーの映画術』、池波正太郎+淀川長治の『映画行脚』を借りてきました。

映画『ビッグ・トレイル』 (1930)

ジョン・ウェインのデビューだったんでしょうか。顔が若いので分からなかったんですが、あの独特な話し方で「えっ、これってジョン・ウェイン?」と気付きました。

『ビッグ・トレイル』は興行的に大失敗だそうで、いわゆるAプロダクションとしての西部劇が本格的に量産されるのを10年近く遅らせることにもなったようです。まあ、確かに途中で眠くなってしまう箇所が、特に前半部分に多いですね。

ぱっと観た感じ、予算がかかっていることを感じさせられる箇所があり、大西部を見せつける箇所も、白黒映像とはいえ、壮観でさえあります。ただ、おそらく台本にまとまりがないのと、オーバーなセリフ回しなどが、気になるところかもしれません (あのコメディアンが不必要だと指摘する本も) 。それゆえに、不思議なくらいに感情移入しにくいです。

音楽的にも、通常なら入っているだろうと思われる箇所にないと不満になるものです。例えば幌馬車の進む場面。効果音だけが淡々と聞かれます。リアルにはそうなのかもしれませんが、あまりにニュートラルという感覚もありますね。またサイレントのフォーマットをひきずっているため、音楽が専ら場面転換用になっているという印象も受けます。

一方で、いわゆる「インディアン音楽」はすでに登場しています。これが分かったのは収穫なのかも。

映画『バファロー大隊』 (1960)

これはウェスタンというより、南北戦争時代の黒人を対象とした「法廷劇」という感じでした。回想でずっと持っていってます。しかし、先住民族にかんしては、相も変わらず「群衆」あるいは「物」扱いのような気がします。

主題歌は陽気な愛唱歌風だったと記憶していますが、ハワード・ジャクソンのスコアは、なぜか覚えていません。

映画『黄金』

500円DVDは、ハンフリー・ボーガートがジャケットの表紙になってて、映画の冒頭も、彼が中心に進んでように思えたんだけど、そういう風にきましたか。ただ、個々の部分に関して「イマの映画だったら、もっといろいろ仕掛けをしてくるようなあ」というところがあり、肩すかし的なところもあって、それが、いいのか悪いか、というのはありそうです。とはいえ、映画の後半は、心理劇として、とても面白く、「これも西部劇なのかー」と見識を新たにしました。フロンティアの発想であるとか、開拓の苦労とか、アングロサクソン的な歴史観として琴線に触れる部分もあるのかな。川渡りの苦労とか、馬車での峠越えとか。

マックス・スタイナーの旋律、結構残りました。おちゃらけな旋律が飛び出すのは、映像を見ると、雰囲気に合ってるように思えました。ラテン・アメリカ系の色を出しているのは、漠然とサントラだけ聴いている時は、気がつかなかったような気がします。

2009年5月20日水曜日

最近のできごと記録

2009年5月10日日曜日 

日曜は仕事をしないように、とは言うものの、やらねばならない状況に。音楽評と書評である。

2009年5月15日金曜日 

届いたもの

・マイルス・デイビス『カインド・オブ・ブルー (レガシー・エディション)』 Sony国内盤

国内盤旧盤、Legacyのアメリカ盤 (タラハッシーのVinyl Fever [http://www.vinylfever.com/] にて購入) に続く3枚目。Federico Dolphyさんの日記につられて、ついポチっと。さすがにアメリカからBoxを買おうって気にはなりませんでしたが。DVDが楽しみ。

・Palmer, Christopher. Dimitri Tiomkin: A Portrait. London: T. E. Books, 1984.
・The Film Music of Dimitri Tiomkin. Unicorn-Kanchana.

Screen Archives Entertainmentからセットで購入。前者は本当にまっさらな本で、かえって新鮮。後者はLPの音源で知っていた。

2009年5月19日火曜日 

日月と、高岡信用金庫主催の旅行に参加。三島野観光のバスガイド、藤田さんっていうのが、なかなか好評だったようで。富山弁を随所に織り交ぜてましたねえ。

日曜日は神戸は南京町にある、龍郷 (http://www33.ocn.ne.jp/~ryukyo/) で昼食。量が多くてマイったけれど、味は抜群によかった。値段もそれなりにするようだけれど、満足度高し。

その後、神戸ポートピアホテルで行なわれた綾小路きみまろのライブを見る。明らかに対象年齢が上 (^^;; かなりハードなスケジュールをこなしていたのか、声がかれていて、大変そうだった。お笑い芸人として、間の取り方などは絶妙なのだけれど、基本的に、年齢とともに冷めてしまった夫婦愛をテーマの中心にしているのだと認識。「そうはいっても、最近は、年寄りも、もっと元気だからねえ」と、周りの反応も興味深く拝聴した。

世間ではバカバカしいほどのインフルエンザ騒ぎ。三宮の町を歩く人も心無しか少ない。でも夜中の駅前にくりだして、甘口のベルギー・ビール、ドイツのベックス、アイルランドのギネスを楽しむ。ブルージュ (http://www.universefood.jp/shop/brugge/index.shtml) ってお店、気軽に楽しみました。

月曜日は京都。東寺と清水寺。いずれも特別拝観をやっていた。個人的には、後者のご本尊御開帳の方が強い印象を残したので、冊子を買ってきた。

お土産は、西尾の生八つ橋。去年試食しておいしかったので、今回も買ってみた。

2009年5月20日水曜日 

届いたもの

・Kalinak, Kathryn. How The West Was Sung: Music in the Westerns of John Ford. Berkeley, CA: University of California Press, 2007.

うーん、やっぱり、こういう本が必要ですよねえ。考えてみれば、メディアによる「アメリカ音楽の創出」を扱ったのが私の論文だったワケで、ウェスタンを考えることは、僕の調査研究の延長でもあるんですねえ。Louis Gruenberg, Roy Harris, Aaron Copland...いずれも私が論文で扱った作曲家だったりします。

2009年5月9日土曜日

観たもの、届いたもの

原稿に従事。2冊目は、久々に読んでみると、かなり余計な情報が入っているように思えたので、あちこち削ろうと思った。

ココナッツ・アイランドで、いちごのパフェを食べて、ファボーレで映画を観た。
やっぱおいしねえ、このパフェ。一気に食べてしまう。岐阜と愛知からイチゴを仕入れているんだね。

・映画『レッドクリフ2』

観終わった後、何も残らないし、もう一度観たいかと言われると疑問だけれど、一夜のエンタテーメントとしては、それなりに面白いのかも。大量のエキストラと火、火薬、弓矢。プロット的に印象的な部分は少なく、ただただ壮絶な戦闘シーンが続く。まあパート1がああいう風に終わったから、2は、ほとんど戦闘シーンだと思っていたから、アンバランスさは、それほど気にならないのだけれど。

内容に合わせて音楽もやたらど太鼓がうるさく、「ここ、観る所ね」って教えてくれているような気がする。太鼓と爆発音の映画かな、こりゃ (+オマケの民族音楽) 。

映画に余計な一言というのは、以前にも体験したことがある。僕にとっては『カリオストロの城』で、銭形刑事がクラリスに向かって言ったセリフっていうのが、余計な一言なんだなあ (いや、あれがイイって人の方が多いですが) 。この映画も、散々やって、取って付けたようにヒューマニスティックな一言。うーん。入れないからこそ生きてくるってこともあるんだけどなあ。映画の意味を間違えないでほしいってことなのかもしれないけど、それは観ただけで充分だろうし、必然性がないような気がする (伝わらない人は何を言おうと伝わらないので。まあ、そういう点で『カリオストロ』の方は必然性があるように思えるから、複雑なんだよなあ) 。

届いたもの

・McCarty, Clifford.  Film Composers in America: A Filmography 1911-1970.  2nd ed.  Oxford University Press, 2000.

・Goldsmith, Jerry.  One Little Indian.  OST.  Intrada.
・Goldsmith, Jerry.  Twilight Zone: The Movie. OST. FSM.

・Virtuoso Kontrabasskonzerte.  Gary Karr, double bass; Radio-Symphonie-Orchester Berlin; Uros Lajovic, conductor.  Koch Schuwann CD 361 332 H1.

・Hageman, Richard, et al.  Stagecoach.  OST.  The Soundtrack Factory SFCD33564.

テーマ音楽は、いろんなアレンジで何度録音されているか分からないけれど、『駅馬車』のOSTというのは、意外にも、見たことがない。むかし、映画の音声のすべてを収録し、台本をつけてリリースした日本のLPレコードはあったが、このCDの場合も、映画の音声を編集しただけのサントラである。つまり、スタジオのアーカイブで効果音をミックスする前のテープを見付けたという訳ではないのである (年代的には、みつかってもテープじゃなくて、ディスクだろうけれど) 。

まあ、とりあえずどんな音楽が流れていたかを参考にする意味くらいはあるんじゃないかとは思う。ジャケットには "Music composed by Richard Hageman" となってるけれど、実際は4人チームで作ったので (封切りまで時間がなかったそうで) 、この表示は正確でない。ただ、BFIの本によると、映画でクレジットされている Louis Gruenbergの音楽は使われてないらしい。

2009年5月8日金曜日

最近のできごと記録

2009年5月1日金曜日

海外盤原稿を送付。疲れたー。明日からはラ・フォル・ジュルネである。基本的に「ほくりく音楽アラカルト」の取材という感覚で行くつもり。

なんだか近頃、NHKニュースは豚インフルエンザの報道ばかりしている。前々から警鐘を鳴らしておくことは大切だけれど、それにしても、もっとほかに伝えるべきニュースがあるのではないか? 舛添氏なんかがやたら張り切って記者会見している様子が毎日のように伝えられているようだ。そういえば、幼稚園の子どもが「怖い」という一言を発していた。いまの政府は、そういう反応を期待していて、これ幸いに「政府がついてますよ」という点数稼ぎをしているんじゃないかと勘ぐりたくなる。

・現役アニメーターによるアニメの現状
http://www6.ocn.ne.jp/~pancake/ani01.html

「搾取」構造は、こんなところにも。深刻な現状ですねえ。安いことは知っていましたが。

2009年5月8日金曜日

2〜4日は、ラ・フォル・ジュルネ金沢へ。最終記者会見にもお邪魔しましたぜー。5〜6日は、朝日町境の護国寺へ。シャクナゲも良かったが、牡丹の花が大きいといったら…。

参考ブログ→http://blog.goo.ne.jp/yuji050530/e/ba798c4f822a898197da0d9d5b3b7b22

そして、宇奈月ニューオータニホテルへ。

http://www.newotani-resort.co.jp/unazuki/

ネットで一泊13,000円のプランを見付けた。いいお湯だった。お食事はまあまあ。お造りがイマイチかな。量が多くて、死にそうになった。疲れがたまっていたので、食ったあとはすぐ寝てしまった。祖母によると、寝てしばらくは、いびきをかいていたらしい。


最近聴いたもの

・Ron Goodwin, Battle of Britain, OST.

もともとはウォルトンがやるハズだったんだっけ? イギリス版DVDには別トラックで入ってるらしいが、大方はグッドウィンの良さが再認識されるという方向のようだ。

・Ron Goodwin, 633 Squadron, OST.

最近発刊されたMervyn Cookeの本によると、このテーマ音楽がかなり模倣されたって書いてあったと思うんだけど、そうかなあ? イギリス映画はそうなのかな? ハリウッドの戦争映画じゃあ、聴いたことないような気がする。

・James Horner, Glory, OST.

いわゆる玉砕系の映画だけれど、テーマ音楽はいいねえ (『芸能人格付けチェック』でも使われているし) 。ただ、クライマックスの音楽は、あまりにもオルフの《カルミナ・ブラーナ》なんだなあ。オフィシャルのサントラも持ってるけれど、なんでピッチが低く収録されているのだろうか?

・Hans Zimmer, Crimson Tide, OST.

かっこいいっすねー、これ。しびれました。韓国のテレビ・ドラマ『白夜』のスコアは、これをパクってたのねー。

・Dominic Frontiere, Chisum (soundtrack privately ripped from the DVD)

テーマ音楽の部分だけで、かなり長い。ナレーションも入ってて、なかなか凝ったオープニング。YouTubeで映画全部が観られる。ジョン・ウェインも晩年に入り、プロットも、すっかり枯れた西部劇という感じもするけれど、そんなに退屈っていうほどでもない。オケの編成的には、いかにも70年代で、時々エレキ・ベースが入って来たりするけれど、基本的にはアメリカのウェスタン系、つまりマカロニじゃないってこと。

・Francesco De Masi, Sette Winchester Per Un Massacro.
・Francesco De Masi, Arizona Colt, OST.

やっぱマカロニ系はかっこいいですねー。

・Dominic Frontiere, Hang 'Em High, OST.

エレキにハーモニカは、モリコーネから持ち込まれたもの。ジョン・フォードのノスタルジックなアメリカーナとは全く別の路線。いいですね、これ。

・John Williams, The Cowboys.

シンセの音が妙に浮いてる感じがする。当時はスタイリッシュだったのかな? オケの序曲ばかり聴いてきたから違和感を感じてる?

・The Best of West, Ryko RCS 10721

MGMのウェスタン・スコア。上に言及したFrontiereのHang 'Em Highだけがマカロニ逆輸入で、ちょっと浮いた感じ。その他は、コープランドとジェローム・モロス、ティオムキンから派生してる?

・Perfect Series オスカー・ピーターソン (LP2枚組)

オムバニスらしく、録音もさまざま。

・Take the "A" Train.  The Third.
・The First By Sleepy.  Hidehiko Matsumoto Quartet.

The Thirdっていうけど、日本人ミュージシャンなんですね。なかなか面白いのでは? 後者は、St. Thomasがソニー・ロリンズのオリジナルを踏襲してて面白かったんだけど、後者は無理にブルーベックの裏をかこうとしているようでいて、苦しそうな感じがした。Tuesday Sambaみたいなオリジナルがいいな。でも、リズム感はピーターソンと違いますね。英語と日本語で、しゃべる時の筋肉の使い方が違うっていうのと似た感じで、ピーターソンの方が彫りが深いというか。日本人ミュージシャンの方が浅めというか。どちらがいい悪いじゃないんだけど。

2009年4月28日火曜日

最近のできごとメモ

2009年4月22日火曜日

OEK定期。下野竜也指揮で大いに楽しんだ。時間があれば、もっと書きたいところ。

2009年4月23日木曜日

泥酔して素っ裸になった芸能人が、いきなり逮捕され (普通は保護処分だそうだ) 、家宅捜査されたあげく、NHK7時のニュースで延々と報道されていた。何なんだろう、このメディアのバカ騒ぎぶりは。先日の北朝鮮のロケット発射の時もこうだった。

2009年4月24日金曜日

今月の「海外盤」は、扱うディスクの枚数が多い。早めに聴き始めている。ジャンニーニの吹奏楽作品を録音したカセットを出してみる。前奏曲とアレグロ、変奏曲とフーガ、ファンタジア、献呈序曲、交響曲第3番。

2009年4月28日火曜日

日曜・月曜と、藤枝守さんが来ていた。マイルストーン・アート・ワークスでのイベントのためである。マイストーンのナガシマヨシホさん、福井るりさんの3人で、日曜の夜、月曜の夜と、音楽論議を楽しんだ。90年代、盛んに紹介されてた作曲家たちのことを、いろいろお聞きする形で面白かった。ナガシマさんからは、藤枝さんと対談の企画でもしたら、みたいなことを言われましたけど、いやはや、恐れ多いでございますですー。

北日本新聞には、藤枝さんのやったワークショップについて評論を書かせていただくことになった。

最近届いたもの、入手したもの

・ライナーを担当したCDのレーベルから届いたサンプル盤。
・John Addison, Torn Curtain, OST (Varese Sarabande)
・Henry Mancichi, Nightwing, OST (Varese Sarabande)
・Franz Waxman, Lure of the Wilderness, OST (Varese Sarabande)
・Mamoru Fujieda, Patterns of Plants II (Tzadik)
・映画『黄金』DVD
・映画『怒りの河』DVD
・岡俊雄編、『西部劇入門』 荒地出版
・藤枝守 "Radiated Falling" (ALM Records PLM-017、ソノシート)
このソノシートは某所で2,500円だそうだけれど、マイルストーン・アート・ワークスでは1,000円だったような記憶が。

2009年4月15日水曜日

卒論を書く学生さんからの問い合わせ、きょう観たもの

大学で卒論を書いている人から、アラン・メンケンについての質問が来た。まだ答えてないが、心の声を書いてみよう。

(1) なぜアラン・メンケンさんが好きなのか。引き付けられる要素は何だと思うか。

うーん、この質問から答えが得られたとしても、論文に書く訳にはいかないのではないだろうか?

(2) ディズニーの音楽のディズニーらしさとは何だと思うか。

うーん、それが分かれば苦労しないんだけどなー。それに、どの時代を取るかによって、ディズニー映画の音楽って、かなり多種多様なんですよねー。同時代でも、例えば《アラジン》と《ライオン・キング》じゃ、かなり違うしなあ。

(3) 自分が知っているアラン・メンケンさんの情報。これ読んだら良いよ!!みたいな本などの資料(ディズニー音楽に関わるもの・メンケンさん物大歓迎です!!)

それを調べるのが学生さんの仕事ではないのかなー?

観たもの

・映画『華氏451』

リビングルームにある、映画制作時には巨大と思われるスクリーンが、現在の液晶テレビみたいで、逆にリアルに感じられた。「1台しか持っていないのか?」も、こと日本のテレビ事情だと、フツーにあり得る光景にように思えてしまう。アメリカだと大体リビングに1台あるだけのが普通だから。日本ほど、バックグラウンドのようにして付けっぱなしにして観ている国は、そうそうないんじゃないだろうか。

そして、多少陰謀論は入っているとはいえ、マス・メディアが行なう情報操作の怖さ、本が与えられずテレビに頼りすぎると、ある評論家がかつて述べたような「一億総白痴化」が進むんではないかという問題提起も、不思議に他人事のように思えないんだなあ。

文字による記録や伝承が禁じられたなら、それは必然的に口承となっていくっていうのも、推論としては考えられなくもないなあ。

いろいろ考えさせられました。実は原作のペーパーバックが、どこかにあったハズなのに読んでないという、このふがいなさ。

2009年4月13日月曜日

合唱団の日帰り研修会、届いたもの

仏教系合唱団の、研修会と称する日帰り旅行に行ってきた。伴奏をやっている手前、出席を断るわけにもいかず…。自宅からヤマハの電子キーボード (76鍵) をがんばって持ってきた。

場所は、年金の金でバブリーな温泉旅館を作っちゃいましたっていうステレオタイプな施設で。いまやろうとしたら、ぶん殴られそうなくらい。

練習は午前中の1時間45分。僕の電子キーボードは、お寺のエレクトーンよりもいい音がするんだそうだ。デジタルサンプリングした教会オルガンの音が、すごく評判がよかったのだけれど、「えっ、仏教音楽に、このオルガンの音でいいの?」と、心の中は困惑するばかり。

食事はそれなりの和色。お刺身も天婦羅もまあ通常レベル。お風呂は多少湧かしてあるものの、温泉で、露天風呂やら打たせ湯やら、泡の出る風呂やら、豪華だなあ。

午前中、合唱の練習をしたのに、午後にはちゃっかりカラオケもあるという。実はこっちの方がメインなのかえ? 手元にはみんなで歌うための童謡の歌詞カードが渡される。アカペラで歌おうと思っていたらしのだが、僕が電話帳みたいなリストで調べたら、全曲カラオケがあった (ちなみに通信カラオケではなく、おそらくハードディスクが入った、コンソール型の機械) 。童謡の後は、みなさん50・60歳代らしい、演歌・歌謡曲路線。僕だけ《銀河鉄道999》(ゴダイゴ) とか《夢の船乗り》とかアニソン歌ってました。「やっぱり若い人よねー」という声がちらほら。はにゃ〜ん。

合唱の本番は、今週の土曜日。僕の電子キーボードも使いたいのだそうで、お寺に預かってもらうことになった。まあ、弾き慣れているキーボードってこともあって、気楽ではあるけれど、エレクトーンとちがって、これ、足鍵盤がついてないんですよね。オルガン譜の曲もあるから、テキトーにアレンジしなきゃ。

届いたもの

・Georges Delerue, That Man from Rio, OST (Kritzerland).
・Delerue, Memories of Me, OST (Intrada).

2009年4月8日水曜日

今日届いたもの

・Joseph W. Polisi, American Music: The Life and Times of William Schuman (Milwaukee, WI: Amadeus Press, 2008.

ウィリアム・シューマン関連本としては3冊目。ページ数としては、これが一番大部。2冊目 (進んでない (^^;; ) 執筆の資料になりそうで、うれしい。

・Mervyn Cooke, A History of Film Music (Cambridge UP, 2008).

アマゾンでおススメ商品になってて気になっていたんだけれど、『レコ芸』で紹介されていたので入手。分かりやすい文章で広く概観されているという印象。グラウト/パリシカの映画音楽版か。日本映画のサイレント時代 (弁士がいたため、西洋風な発展をしなかった etc.) にも触れられているようだ。戦後は主要な映画を観て書きましたという感じ。

譜例なし。サントラファンにはお勉強になるけれど、それよりも、映画音楽史なるものを大学で勉強する人向けという感じがする。イギリス、フランスの映画音楽に、それぞれ1章当てられているのは面白いかも。Overtones and Undertonesなんかより、文章が読みやすい。

・ユモレスク/フデチェック ドヴォルザーク・ヴァイオリン名品集 ヴァーツラフ・フデチェク (ヴァイオリン)、ヨゼフ・ハーラ (ピアノ) ビクター  VX-203 (LP)

初期にCD化されていたみたいだけれど、入手困難なので、ヤフオクでLPを入手。《ユモレスク》、4つのロマンティックな小品が素晴らしい。これ、国内プロジェクトだったんですね。

2009年4月7日火曜日

今日観たもの

来月の海外盤向けCDが届く。連休のため、早めの締切。ガムバリマス。

・サウスパーク CHINPOKO MON
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=218853 (リンク切れ)

へええ、こんなエピソードもあったんですね。アメリカ人が考えるステレオタイプな日本をあえて皮肉ったようなエピソードで、面白いかも。ヒロヒトっていつの話やねんってことですね。

2009年4月1日水曜日

執筆活動報告

(1) 『レコード芸術』2009年4月号に、2つのディスクをレビューしました。

・モートン・グールド《カウボーイ・ラプソディー》、ロイ・ハリス 交響曲第11番《1967年》、セシル・エフィンガー 小交響曲第1番、ダグラス・ムーア 交響曲第2番イ長調 イアン・ホブソン指揮シンフォニア・ヴァルソヴィア [Albany TROY1042] <録音=2008年1月>

・コンロン・ナンカロウ プレイヤー・ピアノのための習作第42番〜48番 ユルゲン・ホッカー (プレイヤー・ピアノ監修) <録音=2005年6月> [MDG 645 1407-2]

(2) 『レコード芸術』2009年4月号に、「特捜プロジェクト アニヴァーサリー作曲家2009 ▲没後60年▲ジョージ・アンタイル」を書きました。

(3)『音楽文化の創造』第52号に、以下をレビューしました。

・庄司紗矢香ヴァイオリン・リサイタル (2009年1月12日、富山県下新川郡入善町 入善コスモホール)

・名指揮者の軌跡 Vol. 1 カルロス・クライバー J. シュトラウスII世:喜歌劇《こうもり》序曲、ウエーバー:歌劇《魔弾の射手》 (リハーサルと本番演奏) 南ドイツ放送交響楽団 ◎ジェネオンエンタテインメント GNBC-4127

・演歌ルネサンスの会 編 『演歌は不滅だ』ソニー・マガジン文庫、2008年

(4) 2009年3月20日、北日本新聞の第11面 (「芸能とやま」) に、私が書いた「美しい日本のうた」の評論が掲載されました (「胸を打つ ”富山の歌”」 ) 。 3月8日、富山県高岡文化ホールで行なわれたコンサートです。


2009年2月21日土曜日

メモ (映画音楽)

映画『マグノリアの花たち』を観た。いかにもドルリューに合ってそうっていうのは変な言い方かなあ? 彼のやってるフランス映画って、ここまで芝居臭くないとはいえ、淡々と物事が進むものが多いから (これはフランス映画じゃないけど) 。『サルバドル』みたいなのは、むしろちょっと変わっているというべきか。ただ、キューの入れ方という点で驚かされたのは、ゴダールの『軽蔑』の方。同じモティーフが執拗に繰り返されるのだけれど、「えっ、そんな場面から音楽をスタートさせるの?」っていう箇所がいくつもあった。それが妙に合ってるような気にさせるのだから、とても不思議。あのスポッティングはどういう風に出てきたのだろう???

2009年2月19日木曜日

執筆活動報告

レコード芸術』2009年3月号に、4つのディスクをレビューしました

・コリリアーノ ヴァイオリンとピアノのための作品集 イダ・ビーラー (vn)、ニーナ・ティックマン (p) Naxos 8.559306 <録音=2006年10月>

・コリリアーノ ミスター・タンブリン・マン:ボブ・ディランの7つの詩、3つの幻覚 (映画『アルタード・ステイツ/未知への挑戦』より)  ヒラ・プリットマン (sop)、ジョアン・ファレッタ指揮バッファロー・フィルハーモニー管弦楽団 Naxos 8.559331 <録音=2007年3月、2008年6月>

・コリリアーノ ディラン・トーマスの詩による三部作 トーマス・アレン (Bar.) 、タイ・ジャクソン (ボーイ・ソプラノ)、ジョン・テシエ (テノール) Naxos 8. 559394<録音=2007年12月>

・ムジカ・エレットロニカ・ヴィーヴァ 40周年アルバム 収録曲 《宇宙船》 (1967) 、《戦争をやめろ》(1972)、その他以下における即興演奏「アムステルダム近代美術館」(1982)「ベルン市立美術館 (スイス) 」(1990)「ニュー・ミュージック・アメリカ、ニューヨーク、ニッティング・ファクトリー」(1989) 、「イタリア、フェラーラ」 (2002)、「現代音楽祭、タングルウッド・ミュージック・センター」 (2007)、アルヴィン・カラン (電子機器、シンセサイザー)、フレデリック・ジェフスキ (ピアノほか)、リチャード・タイテルバーム、(ムーグ・シンセサイザーほか)、スティーヴ・レイシー (ソプラノ・サックス)、ガレット・リスト (トロンボーン) ほか New World 80675-2<録音=1967年10月、1972年12月、1982年4月、1990年11月、1989年11月、2002年6月、2007年8月>

2009年2月7日土曜日

[訃報]マックス・ニューハウス (1939-2009)

テキサス出身のサウンド・アーチスト、実験打楽器、電子音楽奏者で、ジョン・ケージ、モートン・フェルドマン、アール・ブラウンなどを演奏したディスクで知られたマックス・ニューハウスが亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。

The Next Generation to Pass ("Sequenza 21")

UBUWEBにある音源
http://www.ubu.com/sound/neuhaus_electronics.html

[訃報] ルーカス・フォス (1922-2009)

1月に亡くなったジョージ・パールに続き、指揮者としても有名だった作曲家フーカス・フォスが亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。

ルーカス・フォス没 (「やくぺん先生うわの空」)

2月2日からインフルエンザでダウンしてしまい、ようやく今日、フォスの訃報に触れました。

2009年2月6日金曜日

整理法の本についてのメモ

前にも書いたと思うのですが、私は情報整理のノウハウに興味を持っています。実際自分ができるかどうかは別として、発想が広がりますよね。学生時代には山根一眞さんの『スーパー書斎の仕事術』に強い影響を受けまして、一時期「山根式袋ファイル」を作ったりしましたが、封筒を買うのが面倒になってやめてしまったという経緯もあります。でも発想自体はとても良かったですし、不要の封筒が家にたくさんあって、その整理に困るような職業の方だったら、トライしてみる価値もあろうかと思いました。

中公新書から出版された野口悠紀雄さんの『「超」整理法』を読んだ時のインパクトも大きくて、なるほど使ったファイルの時系列で行なう方法もあるか、と思ったりしました。ただ私の場合、いわゆる「神様ファイル」 (将来必ず必要になるので捨てられないファイル、という解釈でよろしいでしょうか) にするハードルが低いためか、「捨てる」ことができないので、残念ながら実行には移せませんでした。当時はフロリダにいて、現地で容易に入手できるものでも、日本、ましてや富山ではほぼ入手不可能というものもあると考えていたからです。

で、先日地元の本屋さんで『超「超」整理法』という本に出会いました。基本はGmailによるキーワード検索と、「神様ファイル」のPDF化によるダウンサイジングということなんでしょうか。メールソフトの検索能力の高さについては、私も昔から感じておりまして、納得できるところがあります。一つの書類の中でのキーワード検索でしたら、どんなエディタ/ワープロソフト/表計算ソフトでもすぐにできるのですが、複数の書類になると、いちいち個々のファイルを開いてキーワード検索するしかない。しかしメールだと、数年のメール本文を一気にメールソフトがキーワード検索してくれるのですね。「ああ、こういう機能がコンピュータにあればなあ」と思ったものでした。

ただその不満も、Mac OS Xに付いているSpotlightで、かなり解決できるようになりました。しかもSpotlightの場合は、メールだけじゃなくて、あらゆる書類を検索してくれるので、本当に便利です。コンピュータ本体に、かなりの負担がかかってるんじゃないかと不安になったりしますが、OS自体丈夫ですし、快適ですね。

「神様ファイル」のPDF化も心動かされました。ただ私の場合、書類の数も多いですし、それぞれのページ数もそれなりにあって、とてもじゃないけど、実行はできません。本当に実行するとしたら、何年もかかってしまい、その作業に取られる時間がもったいないという気がします。ながら運転も可能とは思いますが、集中して何かに取り組んでいる時、そういった作業に、小刻みに時間を取られるのは辛いところがあります。例えば最近カセットからCD-Rを作ることが多くて、単に垂れ流して置けばいいものの、カセットをひっくり返す手間だけでも、デッキのところに行きますし、その数秒で集中が解けてしまったりする。難しいところです。でも、これからコンピュータを中心にして、データベースを構築されるかただったら、最初からPDF前提でやった方がいいですよね。学術論文や『ニューヨーク・タイムズ』の過去の分は、いまやPDFに全面移行ですから。

クラウド・コンピュータの使用についても、確かに魅力的なものがありますね。どこの端末からもアクセスできますし、商用コンピュータの方が耐久性が強いという考え方もできそうです。一時期、私も複数のコンピュータで作業をする時、Yahoo! のブリーフケースやメモパッドを使っていたため、その利点は何となく感じられます。もっとも最近はメモリースティックの方が素早いので、ブリーフケースは使わなくなりました。

でも、こういう本が売れるっていうのは、みんな書類整理に悩んでいるということなんでしょうか?

2009年2月1日日曜日

映画『SHOAH ショアー』

ショア(SHOAH)は、1985年のフランス映画。クロード・ランズマン監督。上映時間は9時間30分。製作には1974年から11年の歳月を費やした。日本での公開は1995年、東京日仏学院で行われた。

ユダヤ人絶滅政策(ホロコースト)に関わった人々へのインタビュー集であるが、演出もところどころ行われており、全くのドキュメンタリーではない。

インタビューの対象は、被害者たるユダヤ人生還者、加害者たる元ナチス、傍観者たるポーランド人に大別することができる。

クロード・ランズマン監督はこれまでのホロコーストをテーマとした映画にきわめて批判的である。特に『シンドラーのリスト』に対しては、出来事を伝説化するものであるとして舌鋒鋭く批判している。

(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』、「ショア (映画)」の項目。http://ja.wikipedia.org/wiki/ショア_(映画))
すごい映画です、これ。語られる内容は軽いものから重いものまで様々。確かに全9時間という長い映画ではありますが、あっという間に観てしまいました。

よく"Let the truth speak for itself" と言いますが、この映画は、ただの垂れ流しでは絶対にないでしょう。 細かいカットが挿入されていたり、カメラの距離や方角などの変化があり、明らかに「素材」ではないことは分かります。誰へのインタビューをどういう順番でいれるかということも、大きな要素になりそうですし。

そして、音・音楽は意外と大きな要素になっています。まず音楽ということであれば、歌声の美しさによって一命を取り留めたユダヤ人の話もありますし、チェコのユダヤ人がこれからガス室に入ろうとする前に《希望》というタイトルの国歌を歌ったという特務員の証言に、私は込み上げるものを感じてしまいました。水木しげるの『総員玉砕せよ! 』における《女郎の歌》の部分と重なってしまって…。

音まで含めて考えますと、語られる過去と映画を撮った時点の「現在」とは対位法的にならざるを得ないということもあって、いろんな対比を考えてしまいます。映画撮影時の虐殺現場の静けさと、そこで起こったことを語る証言の中の叫び、ユダヤ人を運ぶ汽車の走る音と田園風景の静けさ、自然界に住む鳥たちの声と社会の中で強制的に歌わされる人間の歌等々。ああ、ライヒの《ライヒ/ディファレント・トレインズ》の重みは、この映画を観ると分かるのかもしれません。 撮影された場所の音を聴くだけでも、逆説的な「リアルさ」が伝わってきます。こんなに静かで美しい場所で、どれだけの人が殺されていったのだろう、淡々と語られる証言から、体を震わされてしまいます。

『ショアー』には、作曲家が改めて作るスコアの入り込む余地はありません。もちろん扱われている題材もそうですけれど、ドキュメンタリーであるということも一つでしょうか。ふと日本の報道ドキュメンタリーのことが頭に浮かんだりもします。とはいえ、NHKにしても、民放にしても、ドキュメンタリーには、結構いろんな音楽が入ってたりするような気がします。特にナレーション部分にです。やはり、この映画ほど徹底したものではないでしょう。

しばしば比較対象になる『シンドラーのリスト』は、明らかに違うタイプのプロダクションでしょう。「表象」の問題は、以下のサイトでもちょっと触れられていますが、表象が「ある・ない」ではなく、その質とバランスの問題ということなんでしょうか。まあさらに突き詰めれば、「事実とは何か」という問いかけになり (ちょっと本多勝一入っちゃいますが、何を取捨選択するかという時点で、書き手/作り手の視点はどうしても入ります) 、最終的には個々人の受けとめ方まで行き着いてしまいそうです (テクスト/ディコンストラクション etc.) 。

・早尾貴紀「パレスチナからの手紙」 (「文化フォーラム」)
http://archivista.hp.infoseek.co.jp/bunzemi/hayao99.html

僕自身、『ショアー』と『シンドラー』と、どちらの映画が勝ったか負けたかなどということには興味がないのですが、ホロコーストについて僕が俄然興味を持つことになった映画は『ショアー』です。

それにしても、いかに「効率よく」ユダヤ人を虐殺するか、熱心に研究できてしまう精神状態とはどういうものなのでしょう (トラックの形状、列車ダイヤの考案 etc. ) 。ドイツ人というのが、ひどく勤勉であることを感じながら、その勤勉さを発揮する方向が、ここまで狂ってしまうというのは、恐ろしいことです。

日本の歴史認識は、ランズマンのような厳しい問いかけをする監督を生み出すことができるのでしょうか?

とにかく壮絶な映画でした。残酷な映像というのは一つもないんですけれど。

2009年1月27日火曜日

映画『フィールド・オブ・ドリームス』

偶然NHKのBS2で放送していた映画『フィールド・オブ・ドリームス』を、途中から眺めていたのですが、引き込まれてしまい、ついつい最後まで観てしまいました。絵に描いたようなアメリカン・ドリーム、なんて言ってしまうと、この映画が好きな人に怒られてしまいそうですが、野球も含めて、アメリカの白人たちが思い描いていたイノセント/ナイーブな「夢」って、きっとこういうものなのだろうなあ、と思いました。

ふと『淀川長治とおすぎの名作映画コレクション(講談社プラスアルファ文庫) を開きましたら、この映画を取り上げていたことを発見し、読んでみました。2人ともべた褒めでびっくり。そして、やっぱりこういう人たちの目の付けどころって、勉強になりますね。

まあただ、僕なんかは、現実のアメリカがささくれているから、こういう映画はアメリカ人にとっても新鮮に映る可能性があると思ったりもします。下手に現実を知らない方が、アメリカへの憧れを持てるのかもしれません。きっと僕もイノセントな世界へ戻るために、もう一度観るべき映画なのでしょう。いいじゃないですか、現実逃避したって。

音楽はジェームズ・ホーナー。名前が出てから、「ああ、言われてみればそんな作風だなあ」なんて思ってしまいました。

2009年1月25日日曜日

ジョージ・パール (1915–2009)

アメリカの作曲家、ジョージ・パールが亡くなったという情報です。ご冥福をお祈りいたします。

→"A Composer’s Composer" (Sequenza 21)

2009年1月20日火曜日

[補足情報] レコ芸で紹介したケージのCDについて

2009年2月号の『レコ芸』で紹介した、EMIのケージCD (290ページ)、紹介文にも書いた通り、《ローツァルト・ミックス》のトラックには別の作品 (の一部) が収録されているようです。私が聴いたLPでは、テープによるコラージュでしたし、「磁気テープによる88のループ」を使った作品であると James Pritchett の本にも説明されているので、CDに収録されているのが別の作品であることは確実でしょう。

ネットには、ケージの《コンサート》の一部ではないかとないかという情報もあります。さっそくチェックしてみたのですが、残念ながら、同じ音の部分はみつけられませんでした。"Music before Revolution" のオリジナルLPを持っていないので確認することはできないのですが、あえて推測すると、作風からいって、アール・ブラウンっぽいような気がします。いかがでしょうか?


2009年1月15日木曜日

聴いてますか? The MTT Files

The MTT Files (American Public Media & the San Francisco Symphony)
http://americanpublicmedia.publicradio.org/programs/mtt_files/

僕の友人が最近、アメリカの指揮者ティルソン=トーマス (MTT) がホストをつとめている『The MTT Files』という番組を、英語の勉強も兼ねて聴いているというので、さっそく、そのうちの一つのエピソードを聴いてみました。彼が面白いというThe Last Virtuoso (最後のヴィルトゥオーゾ) と題された第5回で、ヤッシャ・ハイフェッツを中心に、なぜ現在、彼のようなヴィルトゥオーゾは輩出しないのかを語っているそうです。

途中まで聴いてみたのですが、MTTが南カリフォルニア大学に入学したころにハイフェッツのマスタークラスがあって、レコードやロス・フィルで聴いた、この伝説のヴァイオリン奏者が、ぐんと身近な存在になったそうです。また、ハイフェッツがピアティゴルスキーらと指揮者なしのオーケストラ作るにあたって、リハ用の指揮者がいることになって、自宅を訪れるっていうエピソードがMTT自身の語りで紹介されていました。

それによると、ハイフェッツは2時5分という、わざと00分からずらした時間に来いと言い、ぴったりになると、家のフェンスが自動に開くようになっているそうなんです。これは早く到着してベルを鳴らしても無視されるし、遅れて行ったら門が30秒後に自動に閉じることになってて、二度とハイフェッツにお目にかかることはないということらしいのです。それくらいの「正確さ」を彼は要求してくるのだとか…。

また、ハイフェッツの家でプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第2番の第3楽章を合わせていたとき、ハイフェッツが「オーボエの3連符の箇所が気になる」と言い出したのですが、曲をしっかり勉強したMTTは「それ、オーボエじゃなくて、クラリネットですよね」返します。ハイフェッツは何度も「いや、オーボエだ」と迫るのですが、MTTは「楽譜の版があるいは違うのかもしれませんが、クラリネットじゃないでしょうか」と譲りません。

それで結局、ハイフェッツはMTTと一緒に楽譜を確かめることになります。そしてハイフェッツが「おやおや、確かにクラリネットだ。私のミスだ」と言うことになり、その場は解決したのでした。

あとで、その話をMTTがピアティゴルスキーにしたら、それはハイフェッツがわざと間違えて、MTTを試していたんだということらしいのです。MTTが曲をちゃんと知っていたのか、そして、ハイフェッツと向き合って、正直に意見を言えるかどうかということを。

いやあ、まさに伝説のような話です。

以前にもブログで書いたのですが、個人的に、ハイフェッツは、僕が幼稚園か小学校に入りたての頃、祖父が古道具屋で買ってきたSPレコードで聴いて以来だから、何となく馴染みがある演奏家なんです。その時に触れたメンデルスゾーンの協奏曲は、後にRCAにも録音 (MTT Filesでも流れてます) していますが、それにはないヴィルトゥオーゾが聴けます。ものすごい速度で演奏していますから (現在はEMIからCDになって出ています) 。

彼の録音では、大学学部時代に、無伴奏パルティータ&ソナタ (RCA) を、新潟は古町のツモリレコードで買ったことがあります。一緒に行った友達はシェリングを買ってて、当時は「冷たい演奏」と評したレコード雑誌の一言を見て後悔したものですが、今は時々聴いております。

ニューヨーク・フィル、ベトナムへ

平壌公演で注目を浴びたニューヨーク・フィルですが、次のシーズンのアジア・ツアーの一環として、ベトナムに行くそうです。以下、『ニューヨーク・タイムズ』から

・Wakin, Daniel J. "For the Philharmonic, Next Stop, Vietnam."  The New York Times 12 January 2008.
http://www.nytimes.com/2009/01/13/arts/music/13gilb.html?partner=permalink&exprod=permalink

2009年1月14日水曜日

映画 "Real Genius" (天才アカデミー)

書庫にあるビデオテープを整理していたら、この映画のビデオテープが出てきました。フロリダ州立大の学生寮に住んでいた時、学生が運営していたケーブルテレビ局で流されていたものを録画したのが、このテープ。画質がひどいのは、3倍モード録画であることに加えて、大学内のケーブルの接続の悪さもあるのでしょう。アメリカ人の大半って、画質にこだわらないんですよねえ。 国内盤DVDは出ていないようで、うーん残念。

観終わったあと、いろいろレビューを読んでみた感じだと、舞台はおそらく、西海岸の自由な気風の大学を設定しているようです。ある大学教授が、米軍に依頼されて (より正確には軍産複合体なんでしょう) 、パワフルなレーザー銃 (空の飛行機から発射され、一瞬にして人間が消えてしまう) の開発にあたるのですが、技術的な問題がどうしても解決できない。それで、全米から「天才」とされる、中学生くらいの子どもを自分の研究室にリクルートして、開発させる、というのがメインのテーマです。そして「天才」たちは、本当のことを知らされず、授業のプロジェクトとして取り組みます。

ただ、内容がカレッジ・コメディーですので、「武器開発」のシリアスな筋は通しながら、随所は笑いに富んだ内容です。まあ、反抗期の青少年向けとも言えますが、さりげなく反権力ともいえるのかも。 80年代の香りがしますが、いま観ても、充分面白いです。だいたい私が観たのも、90年代半ば以降だったはずだし。

それにしても、この映画のヴァル・キルマー、最高に面白い。その他の登場人物も、個性が強い。時よりセリフが早口ですが (^^;;

(2009.1.15.) 追記 YouTubeに映像の一部をみつけました。




2009年1月12日月曜日

ロリス・チェクナヴォリアンのベートーヴェン

久しぶりに、むかしエアチェックしたカセット・テープに目をやってみたら、ロリス・チェクナヴォリアン指揮ロンドン交響楽団によるベートーヴェンの第5交響曲というのが出てきた。この演奏を聴いた時のインパクトは、かなりあったように思う。今だったら「ああ、ピリオド派に影響された演奏ね」と簡単に片付けられてしまう恐れがありそうだけれど、1983年5月25日放送当時だったら、結構衝撃的だったんじゃないだろうか。

演奏時間34分16秒。もっともカラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団だったら60分テープの片面に収まってしまったから、これが最速じゃないんだろうけれど (レイボヴィッツは何分くらい?) 、やっぱり鋭く突き進む感じがする。ところで当時のLPには Original Version と明示してあったらしい。これはどういう意味なのだろう?

Amazon.com (米国) のマーケット・プレイスだと、このLPに$89.69の値がついていた (→現在の状況) 。とても買おうとまでは思わないけれど、気になるところである。

いや、CDになってたら買いますよ。いま聴いても、やっぱり面白いですもん。

2009年1月10日土曜日

シカゴ響も

オン・デマンドのオーディオ・ストリーミングをやっていたのですね。すいません、ようやく聴き始めました。音質的にはニューヨーク・フィルほどではありませんが、ありがたいです。

http://www.cso.org/main.taf?p=15,1

2009年1月8日木曜日

ここでいう "New Music" って?

僕が時々聴くラジオ番組に、WNYCの "New Sounds" がある。いわゆる「現代音楽」とは明らかに違う文脈の音楽をやっていて (時々そういうのもあるようだが) 、かというと、商業主義というのにも不具合が生じそうな内容だ。

DJのジョン・シェーファーは、このイギリスのニュー・ミュージックという回でも "artist" や "musician" ではなく "composer" という言葉を使うあたり、多少なりともクラシック的な伝統を受け継いでいるつもりなのかもしれないが、聴いた感じは、どちらかというと、クロスオーバー的なものであることが多い (あるいはポピュラー寄りというべきか) 。ジャンル分類 (そんなものはいらない、と言われればそれまでだが) の難しい、DJの個性が生きた選曲ということなのだろう。

・New Music from the UK (Episode No. 2620) 
http://www.wnyc.org/shows/newsounds/episodes/2008/12/14


このページにある "Listen to the whole show" をクリックすると、モノラルですが、番組を最後まで聴くことができます。

2009年1月5日月曜日

NML: ミュージック・コンクレート/六人組/ウエーベルン

ナクソス・ミュージック・ライブラリーの注目音源、アメリカ音楽以外だと、『パノラマ・オブ・ミュージック・コンクレート』があります。シェフェールとかアンリとか、初期のミュージック・コンクレートのオムニバスです。遂にこういう系統も入るようになったのか、という感じがします。

http://ml.naxos.jp/album/9.80117

EMIから出てた「六人組」のアルバムもありますね。私もフロリダ留学時に、図書館のLPで聴いたことがあります。

http://ml.naxos.jp/album/9.80589

ロバート・クラフトのウェーベルンも。

http://ml.naxos.jp/album/9.80271

いやはや、Naxos Classical Archivesは、時々チェックしておいた方がいいのかもしれません。

NML: グローフェの貴重な音源

グローフェ:大西洋横断/航空組曲(グローフェ)(1946 - 1950)

http://ml.naxos.jp/album/9.80172

ナクソス・ミュージック・ライブラリーには、CDになってない貴重な音源がありますが、そのうち、グローフェのをご紹介します。

《大西洋横断》は、London (Decca) からLPで出ていた音源で、CD化されていません。《航空組曲》はRemingtonというレーベルから、やはりLPで出ていた音源ですが、現物は見かけたことはないですね。CBSレーベルから出た別の音源は持っていますが、第1曲目の冒頭なんかは、私の持っている音源とは違います。演奏も、グローフェのは、ずっとメランコリックで、ムードいっぱいです。一聴の価値ありかもしれません。

このほか、ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー/パリのアメリカ人(F. スラットキン)(1956)は、私もかつて、セラフィムLPで親しんだ音源です。バーンスタインの大オーケストラとはひと味違った、小編成のオケによる爽快な演奏で、オススメです。アイヴズ:ヴァイオリン・ソナタ集(ドルイアン)なんてのもあります。

2009年1月4日日曜日

古い「音楽史レコード」を聴いてみる+α

リュク=オリヴィエ・ウディア編、『ピアノの歴史』 日本コロムビア OL 3165 (LP) (c) 61・7

フランス語のナレーションによる、ラジオ・ドキュメンタリーの、お勉強になったはずの1枚。ワンダ・ランドフスカのチェンバロ、アルド・チッコリーニのピアノ・フォルテが聴ける。ランドフスカのチェンバロは、いわゆるピリオド演奏の初期であり、その剛直な音が、すでに「歴史的」なものになりつつある。その一方でピアノ・フォルテの方は、それほど「歴史的」に聴こえないのが面白い。モーツァルトが使ってたクラヴィコード、ショパンが愛用したピアノ・フォルテなど、アプローチがよりピリオド的ということなのだろう。なお原題はTrois Claviers Célèbres au la Très Belle Histoire du Piano。こんなレコードが、日本でも発売されていたのですね。

ただ、よく聴くと、最近のピアノ・フォルテの演奏にあるような、独特のアゴーギクというか、ニュアンスは、やっぱり追求されてないんじゃないかという気がした。

また、進行役のアナウンスの内容が、実にモダニズムを反映していて、現代のピアノへの進歩史観を貫いている。ピリオド楽器の演奏の後「不完全な楽器である」「ベートーヴェンには物足りなかった」といったコメントがあるからだ。

いや、もちろん、作曲家が曲を書いていた頃の楽器が「完璧」だというつもりはない。そもそも「完璧」なんてあり得ないのだし、なにが「より良い」「より精巧」などというのが相対的であったり、人によって違うのだし、解釈によって、いくらでも変わるだろう。「ピリオド派」の演奏だって、historically-informed performance なんて言われる通りで、演奏の質 (学問的な議論に馴染まない言葉!) を保証するものではないということだと思う。

俵孝太郎『新・気軽にCDを楽しもう』コスモの本

意外と図書館にはないようなので、買ってしまった。第1弾の方は本屋で立ち読みして、面白いと思ってたんだけど、いつの間にか入手困難になりつつあるので、マーケットプレイスで安く購入。読めればいいので、背表紙やが焼けててもいいや。

左翼のせいで信時潔の《海道東征》が聴かれない、なんてことが書いてあるけれど、これは今では普通に聴けるようになった (僕は、かなり昔に『題名のない音楽会』で部分的に放送されたのを録画している) 。おそらくかつては、いわゆる保守層でさえ、戦前の社会を知る人が多く、当時の文化には触れてほしくないというのがあったんではないかと思うのだが、どうなのだろう。

僕個人としては、「歴史を繰り返さない」ためにも、戦中文化は知っておいてよいと思うのだが、「国粋主義よもう一度」ならば、お断りだ。

Roy Harris, Symphony No. 11; Morton Gould, Cowboy Rhapsody; Cecil Effinger, Little Symphony No. 1; Douglas Moore, Symphony No. 2 in A Major. Sinfonia Varsovia; Ian Hobson, conductor. Albany. 

ハリスの10番以降の交響曲が、ようやくCDになって聴けるようになるのだろうか。とても楽しみ。グールドの "Cowboy Rhapsody" も、自演 (Columbia LP) 以来の新録音。

・Miracles of Sant'iago: Music from the Codex Calixtinus. Anonymous 4. HMF 907156.

AMSのregional meetingの1日目、夜のコンサートで教会に行ったことがある。僕の母校のルネサンスの先生が合唱団をやってて、ちょうど、こういう感じの残響で、ポリフォニックな作品を聴いた。ああ、本当にこういう音響空間があるのだと、当たり前のことに驚いたことを思い出した。

2009年1月2日金曜日

今年もどうぞ、よろしくお願いいたします

2009年は、石川県立音楽堂で迎えました。OEKのカウントダウン・コンサート2007~2008です (北國新聞の記事のウェブ魚拓) 。富山に帰ってきたのが元日深夜の2時ということで、昨日はすっかり寝正月になってしまいました。

こちらのBlog、あんまり更新する機会がなくて申し訳ありませんが、今年もよろしくお願いいたします。