2011年11月12日土曜日

眺めたものの記録

・神野直彦 「分かち合い」の経済学 岩波新書
・中野剛志 TPP亡国論 集英社新書
・クラシックジャーナル044 特集は、ピアニスト アルファベータ
・Joseph N. Straus, Twelve-Tone Music in America, Cambridge University Press.
・Kevin Korsyn, Decentering Music: A Critique of Contemporary Musical Research, Oxford University Press
・Robert Riggs. Leon Kirchner: Composer, Performer, and Teacher, University of Rochester Press.
・Susie J. Tanenbaum, Underground Harmonies: Music and Politics in the Subways of New York.

最初の2冊は、それぞれ新自由主義、自由経済に疑問を呈する論者の本。後者はずっと欲しかったのだけれど、ようやく明文堂経堂店でみつけた。すでにビデオニュースで概要は知ってたけど、デフレ脱却に、より力点を入れている印象。神野氏もビデオニュースで知ったのだけれど、新自由主義に対する痛烈な批判。ビデオニュースでは税制改革を考えるに有効な視点を出していた印象。

クラシックジャーナルは微妙な記事もあるけど、値段相応だと何となく思えたので購入。評論というよりは情報かな。

StrausはMQにとても面白い、統計に基づいた論文を書いてるんだけど (1950年代・60年代に無調音楽を書かねばならないという「空気」には実態がないという内容。まあ数字だしてみても「空気」だからなあと、僕なんかは思う訳だけど) 、これも面白そう。Decentering Music は、ちょっと最近の音楽学について復習してみようと、遅ればせながら読んでみようと入手。Riggsのキルヒナー (と向こうでは発音してたような) 伝は、学会のアカデミアブースで。1割引で買ったけど、米Amazonから取寄るよりも安くすんだような。最後の地下鉄のミュージシャンについての論考は書評で取り上げられていて興味を持ったもの。アメリカのストリート・ミュージシャンって、意外と多国籍なんですよね。そういった文化的視点と、MUNYという組織が「お墨付き」を与えることの問題点について述べている。まあ東京でも大道芸人を東京都がお墨付きを与えるという動きがあったように思うけど、おなじようなことがニューヨークでも起こっているっていうことだと記憶している。

どうもTanenbaum本は邦訳がすでにあるようなので、ちょっと損した気分もあるけど、訳本は図書館にあるようなので、覗いてみようと思う。

2011年10月9日日曜日

とある作品評

一部の人には分かる、とある作品評
こんな一フレーズを入れてみようと思う次第。

「最後は指揮者のカデンツァだったらしいのだが、井上道義はこれを自由に解釈し、舞台上に倒れて悶えたり、指揮棒を逆にして降ってみたり。おそらく作曲者の想定から逸脱したであろう一人芝居に没頭していた。」

[富山ネタ?] 映画『スペンサーの山』のテーマ音楽2

マックス・スタイナーが音楽を担当した1963年の映画『スペンサーの山』。筋的には、まわりの助言を認めることなく夢を追い続ける主人公が、様々な困難に接していく中で、夢を次の世代に託し、自分はおとなしい生活へと進むという、なんともアメリカンドリーム

2011年7月28日木曜日

思いつくままの書き出し

ディズニー・アニメの本を書いているとき、一応関連として、日本のアニメ、特に東映動画の映像やサントラを調べていたことがある。いくつか見たけれど、例えば『長靴をはいた猫』にしても、「挿入歌」の扱いは、ディズニー・ソングとは違うということ。それはもちろん、「挿入歌」という言葉自体が、すでにディズニー的じゃないっていうことというか。やはりセリフ劇で進めていく部分と歌の部分が、割としっかり分離しているということだと思う。また、いわゆる「ミッキーマウシング」が、それほど採用されているということではないことだろうと思う。

菊地成孔さんなんかは、このミッキーマウシングを、悪い音付けの見本のように考えていたようであるけれど、ミッキーマウシング自体は、MGMでも、トムとジェリーでも続いていた訳だし、一つのコミカルなスタイルとして確立していると考えた方がいいのだと思う。

日本のアニメで難しいのは、例えば音楽監督、音監の存在じゃないかと思う。テレビ・アニメの場合は、使い回しのBGMが基本だから、それをどの場面にどう使うかの判断が音監に大きく委ねられている。映画にしても、例えばいま思い出すのは『機動戦士ガンダム II 哀・戦士編』なんかの《哀戦士》のスポッティングは、音監がやったものだときく。富野由悠季氏がエンディング・ロールに持っていったら、えらい評判が悪かったらしい。

ただこれに関しては、オリジナルを知っているからこそ、ということなのかもしれないし、僕自身、富野氏が改定時の戦闘シーンにどんな音を要求したのかを知らないので、何ともいえないなかったりするものの、戦闘シーンに《哀戦士》が出ることの効果はあったに違いない (僕自身は、実はあんまり興味がない歌だったので、それほど強い感慨はないのだが。そもそもこの劇場版自体が、いわゆる総集編なので、そんなに興味がなかった)。

東映動画は「東洋のディズニー」を目指していたらしいのだけれど、音楽のつけ方に関しては、けっこう違っているという印象を持っている。ディズニーに近いということであれば、ウォルト・ディズニーの晩年から没後の作品が、特に『眠りの森の美女』以降が、次第にミュージカル色を失っていき、どちらかというと、東映動画っぽくなっていったように思えてしまう。もちろんこれは歴史的な検証ではなくて、たんなる印象論ではあるけれど。『きつねと猟犬』は、特にクライマックスのスコアリングが、通常の映画と変わらないアクション・シーンであり、歌もかなり「挿入歌」に近くなっている。ミッキーマウシングは大きく後退してしまっていたように思う。

『リトル・マーメイド』がディズニー復活と思われるようになったのも、それ以前のディズニー・ソングが「挿入歌」になっていたことの証左のように思える。それは「ディズニー・アニメを観ている人でさえ、もうすでにディズニーのフォーマットに飽きていたんじゃないか」ということをスタッフが感じ取っていたからではないかと、僕は思う。

ところで、ハワード・アシュマンとアラン・メンケンという、ミュージカル畑の人間を連れてきたというのは、ディズニー社にとっては、一つの賭けだったんじゃないかと思うときがある。シャーマン兄弟は別格として、ディズニーがミュージカルのプロダクションに直接関わってた作曲家を連れてきたっていうのは、アシュマン=メンケンの前にはなかったんじゃないだろうか。ソング・ライターとスコア・コンポーザーという組み合わせは長くあったとは思うのだけれど。『白雪姫』のころは、考えてみれば、まだブロードウェイというよりは、オペレッタ (ヴィクター・ハーバートとかジェローム・カーンとか) の時代なんだよね。

2011年7月23日土曜日

『ぴあ』について考えてみようと思う

『ぴあ』が休刊になったと聞いたのだけれども、実は僕はこの雑誌にそれほどお世話になった記憶がないんだねえ。『音友』もそうだけど、富山とか新潟にいると、「ああ、大都市ではそういうコンサートやってるんだねえ。いいなー」と羨望の眼差しを向けることはあっても、大半が自分とは無関係のものだと思っていた。

東京には2年住んでいたので、さて『ぴあ』でも、と買ってみたけれど、僕の、当時の興味の対象がものすごく限定されていたため、どちらかというと、毎日配達されていた『朝日新聞』の夕刊が、一番情報源としては重宝していたという印象がある。とくに国立劇場や歌舞伎座で行われている日本の伝統音楽の公演の情報は良かったと思う。

この頃、絵画や映画、ポピュラー系のものにもっともっと目を見開いていれば、さぞかし大学院の2年も楽しかっただろうなあと思う。まあ学芸大の音楽学は東川先生、足立先生で、どちらも授業はまったく(劣等生の)僕の役には立たなかった。せめて学会というものを紹介してもらっていれば別だったのかもしれないが。

絵画を本格的に観たのは、初めての海外旅行で観た MoMA ならびに メトロポリタン美術館が最初だったと思うし、映画やポピュラー系については、アメリカに行ってから。われながら視野の狭さに驚くものだけれど (増田聡氏なんかは僕のサイトを見て「芸大的な量見の狭さ」だなんて紹介してたね)、まあこれも、それは事実だから仕方ないのだけれども。

話が自分語りになってしまったけど、ようするに『ぴあ』というと、僕の妹の方がメイン・カルチャーに興味を持っていたのか、時々買ってたようだけど、結局お世話にならずじまいだったように思う。唯一の例外は別冊の音楽ホールガイド。座席表まで網羅してあって、まだサントリーホールやらオーチャードやら、芸術劇場が新鮮な雰囲気を持っていたような気がする。これはいまでも書庫に保存してある。図書館を網羅を網羅した別冊も持ってたと思う。類書は他にもあったし、ホールガイドほどインパクトはなかったが、これもどこかに保管してあるはずだ。

2011年5月9日月曜日

ニュー・サウンズ・イン・ブラス第39集

今年はいろいろな分野に書かせていただいておりますが、ヤマハ・ミュージック・メディアさんから出版されている『ニュー・サウンズ・イン・ブラス第39集』の楽譜の解説文を担当させていただいております。ただし無署名であります。常日頃はクラシックについて書いていますが、吹奏楽というのは、とても幅広いジャンルの音楽をカバーしますね。

実は私も中学・高校と吹奏楽をやってまして (ちなみにホルンでした)、NSBはとても身近な存在です。その解説を書かせていただける機会があるとは、感無量です。今はもう吹奏楽をやっていませんが、何時までも語り継がれるスタンダードであってほしいものです。

2011年4月8日金曜日

DATに録音したアナログ音源の保存

ここ2日ほど、ひどい下痢。どうしたもんだろ。やっぱり疲れてるのかなー。

最近ハードオフで買ったDATレコーダーが活躍中。以前Sonyのをヤフオクで落札して使っていたが、僕の使ってたDenonのポータブルと相性が悪いのか、デジタルノイズが出まくっていたし、走行系がすぐにダメになり、途中で止まったりの連続だった。

我慢ができなくなって、ついに2台目を購入。パイオニア新品定価12万、中古売価2万8千円。3ヶ月保証が付いてるから、安心でもある。あ、2回払いです (汗

1本だけ、この機械でのノイズが出まくってしまうテープがあった。でも、その他は、今のところ大丈夫。快適♪

といっても、僕のDATは、某大学の某先生の研究室でカセットからコピーした数本を除いては (ドイツでエアチェックしたっぽいのとか、某先生の自作とか、松平頼暁さんの作品とか、甲斐説宗さんの作品とか) 、それほど貴重なものはないと思う。アメリカ時代に、図書館から借りてきたCDやLPの音源が大半。まあでも、入手困難な音源は確かにあるのかも。学芸時代の音源もあるわなあ。『能楽囃子大系』はCDにもなってるけど、すぐには買えないし…、dHMからLPで出てた西ドイツの現代音楽集もいくつかあるし、ネリベルが曲を書いた (トリティコの原形みたいな曲も収録されている) オーケストレーション解説レコード (ナレーターはたぶんネリベルじゃない) もあるし (Folkwaysだから、ダウンロードして買えるけどね)。とりあえずCD-Rにしておけば、しばらくは心配しなくていいだろうと、タカをくくっておく。

2011年3月31日木曜日

こんなこともやってたり

私が解説を書かせていただいた『ニューサウンズインブラス (NSB) 2011』、すでに曲目があちこちに載っているようなので、その時の体験談をメモっておきます。
まずは、ラインナップから。

・坂本冬美メドレー
・AKB48 ヒット曲集
・K-POP 〜Girls編〜
・ルイ・アームストロング・メドレー
・「上を向いて歩こう」
・「パイレーツ・オブ・カリビアン」
・「いとしのエリー」
・「また逢う日まで」
・「ロミオとジュリエット」
・「塔の上のラプンツェル」

吹奏楽は、ジャンル幅が広いですよね。そして、今回の執筆にあたってポピュラー音楽に Wikipedia がどのくらい役に立つ/立たないかを初めて体感した次第です。出発点は、とりあえずの Wikipedia だったのですが、やはりどれも曲のリリース・データと、それにまつわるタイアップやCMへの使用など。客観的記述が主とは思いながらも、やや作品の面白さ知るには物足りない感じ。結局のところ坂本冬美は猪俣公章の著作、坂本九は自伝や中村八大コンピレーションCD Boxの解説書、尾崎紀世彦については、筒美京平について書かれた本を入手、サザンについては中山康樹の『クワタを聴け!』 (集英社新書) や地球音楽ライブラリーの一冊、アームストロングは各種英語サイトや自伝など。とりあえず、いずれも裏取りをいたしました。「ああなるほど、この本から取ってきたのね」というWikipedia項目もあれば、その詳細は不明のものもあれば、本に当たらないとダメっていうものまで、様々でした。クラシックよりも未知な世界だったのですが、本当に新しいものでなければ、何かしら活字にはなっているものなのですねえ。

難儀だったのが K-POPの少女時代とKARAかな。ムックとか音楽雑誌とかで何とか。ただ驚いたのが、こういうムックでも、公式サイトの文をそのままコピペっていうのがあったということかも。AKB48が結局のところ今回は最も難しく、リリース日などは Wikiに頼らざるを得なかったり。インタビューを集めたという本を買ってみたけど、まあ、アイドル・ファン向けだから、音楽について語ってるわけじゃないんだよね。一応関わってる作曲家のサイトはチェック。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』や 『ロミオとジュリエット』、 『塔の上のラプンツェル』は、もちろん映画そのものを観て、サントラを買いました。2番目のニーノ・ロータについてはBurlingameのSound and Visionがあったので、本当に助かりました。この本は、サントラの解説本で、手っ取り早く具体的な作品を調べるには便利です。『ラプンツェル』については割と楽で、雑誌『ディズニーファン』にはトランスクリプションと解説あり、英語のエンタメ系サイトには、作曲者メンケンのインタビュー (映像・文章) など、たくさんありますから。

解説の校正は編プロ→ヤマハ→編プロと3回あるのかな。こんなに念入りに校正やる体験は初めてかもー。

実は今回のNSBの仕事は、僕の学部時代の同級生の依頼で、彼からは、地震の被災者を応援するJ-POP応援歌集を出すらしく、その楽譜のための誰かが書いた解説文の「差し替え原稿」を依頼されました。もう時間がないので、YouTubeで聴いて、Wikiを覗いて書くしかなかったですねー。ただ「歌詞の内容からどういう曲か解説してほしい」ということだったので、歌詞サイトに行って、音楽の特徴を軽く触れて、今朝送付しました。

で、差し替え原稿ということで、元の原稿も拝見したのだけれど、いやー、これが見事にWikipedia+アーチスト・ブログのコピペなんだよねえ。そういえば学会でも、コンサートのプログラムっていうのは名曲解説全集の引き写しでしょって言ってた某先生もいたなあ。現実問題としては、あれ写しても、全然使えないと思うのだけれども。

ということで、ポピュラー音楽の書き物にいどんでみた近況でした。

2011年3月9日水曜日

観たもの・聴いたもの

解説原稿をこんなに連続して書いているのは、今年が初めてかもしれない。でも、ようやく、ちょっと一息かも。

・映画『女は女である』

物語としては、正直面白くなかったです。でもアンナ・カリーナの魅力だったり、使われる色彩の鮮やかさ、スタイリッシュさだったり。1961年だけど、色褪せない部分はありますねえ。突然第4の壁が取っ払われたり、字幕が入ってきたり。「表現」としては、とても興味深く拝見しました。

音楽はブツブツ切れている、でも厳密に画面の切り替えと合ってるところも多かったりするのかな。唐突感も一つのスタイルなのだろうな。真似するとすぐバレるっていうか。

聴いているもの

Stefan Wolpe: Ten Songs from the Hebrew. Arline Carmen, alto; Leon Lishner, bass; David Tudor, piano.
Alan Hovhaness: Upon Enchanted Ground. Samuel Baron, flute; Lucile Lawrence, harp; Claus Adam, cello; Elden Bailey, tamtam.
Hovhaness: Suite for Violin, Piano, and Percussion. Anahid Ajemian, violin; Maro Ajemian, piano; Elden Bailey, percussion. Columbia ML 5179 (LP).

所有資料をきちんと消化しよう! ということで、引っ張り出してきたLP。

ヴォルペにはチュードアの名前が演奏者として挙がってる。名前を知らずに聴いて、どう思うだろうか、名前を見てしまったので何とも言えないのが悔しいが、何となく前のめり感のある、積極的な弾き込みが、いかにもチュードアらしいといえば、そうなのだろうか。当たり前に、歌の邪魔になることはないけれど、音楽をリードしたり、インタラクティヴになったり、歌う方も油断出来ないっていう感じはする。

それにしてもヘブライ語による歌詞か。歌う人、少ないだろうな。リリカルだけど無調。

ホヴァネスは、いつものごとく、神秘的な様相。ジャワ島のガムランの、大きなゴングの音を模したようなタムタムの使い方。ハープが伴奏でフルートはスリンを意識しているのかな。チェロはなんだろう? 対旋律だから、直接的にはガムランに関係なしで、この辺が「融合」になるのかも。

組曲の方も、ガムランの影響を感ずるねえ。

2011年2月26日土曜日

映画音楽とか

・エルマー・バーンスティン 映画『ニューヨーク麻薬捜査線』サウンドトラック (Varese Sarabande)

映画見なくても楽しめるサントラというのは、どう評価すべきなんだろうと思うけれど、いやはや、これは独立で聴いても面白いね。バーンスティン (クラシックの指揮者とは違うカタカナ表記) は経験も長いから大丈夫だとは思うけど、もし映画本体を観たら音楽がうるさく感じられるんじゃないかという、いらぬ心配をしてしまう。ジャンル的にはジャズ/フュージョン系のスコアってことになるのかな?

・World Talk Radio: TV Time Machine. A Tribute to Composers Jerry Goldsmith and Elmer Bernstein. Originally aired on 8 September 2004.

アメリカのラジオで放送されていたと考えられる、テレビのサントラに関する番組をエアチェックしていたので、聴いてみた。ネット経由なので、あまり音は良くない。でも、なかなか面白く、貴重な音源もかかっていたようだ。

Jon Burlingameという映画音楽研究家がコメンテーターとして登場してて解説を加えているのだけれど、エルマー・バーンスティンがRiverboat というテレビ番組を、のちの「アメリカーナ」系の映画音楽のスタイルを完成させるための実験台としていたという。実際にテーマ音楽も紹介されたが、確かにそんな感じだし、テーマ音楽自体、すごくかっこいい。『荒野の七人』の冒頭に通ずるようなリズム型 (ポピュラー音楽的には「リフ」といってもいいのかもしれない) が、ここにも出ている。以下のYouTube動画は短くて音も悪いけど、なんとなくコープランドっぽいところもあって、バーンスティンの方向性がある程度分かるんじゃないだろうか? 

以下の映像、色んな西部劇テレビ・ドラマが集められていますが、エルマー・バーンスティンのRiverboatは 0:24 あたりから始まります。



タイトルにもあるように、番組ではジェリー・ゴールドスミスのテレビ音楽についても紹介されている。NBCのThe Black Saddle がゴールドスミスのテレビ音楽としては、かなり初期になるんだね。しかもCBSの契約中だったため、クレジットが画面に出てないと。こういう非正規の仕事は "under-the-table stuff" って言うんだね。こちらもYouTubeの動画があって、ドラマ本編も観られるようだ (ただし日本語字幕なし) 。

2011年2月13日日曜日

食べたもの、観たもの、届いたCDなど

祝日の金曜日は、まずアナザホリデーにてカレーとチャイのセット。ここのカレーは独特なキーマカレー。色が薄い灰色。チャイはやっぱりおいしかったねえ。次回はやっぱり、チャイをメインにして楽しみたい。
http://anaholi.com/

2時半頃まで粘って、いちごパフェを食べにココナッツアイランドへ。ここに来る人は、みんなこれをめがけてくるというほどの名物。パフェというもの、僕はそもそも完食するなど考えられなかったけれど、ここのパフェだけは別格。
http://www7.ocn.ne.jp/~islands/

夜はドゥージィエームでプチ・コース。1,500円。まあ値段相応の中身で味も普通。量も適度。フレンチらしいんだけど、相手はニョッキだったり、僕は真鯛のソテー。うーん、味付けもイタリアンのような。牛ホホ肉の煮込みがなかったのは残念。
http://deuxieme.net/

ということで、食べてばっかりの金曜日だったとさ。

土曜日は文献を読んだり、メモを取ったり。先月・今月と原稿が続いていて、どうも落ち着かない。

観た映画

・映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』
・映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』

世の中かなり、なんでもCGで出来るのだなあということを、改めて感じさせる映像の連続。古風さと最新テクノロジーのミックスということなのだろうけれど、まあ、もともとテーマパークのアトラクションでもあるし、アニメの題材を生でやろうとすると、こういう感じになるという内容なのだろう。良くも悪くも後に残らないエンターテイメント、な〜んて言うと、高飛車すぎ?

ただ英語は決してやさしい語彙ではなくて、字幕を表示させても、僕にはタフな内容だった。アクションでなんとかついて行けるってことなのだろうか?

・映画『ロミオとジュリエット』 (ゼッフィレッリ、1968)

オリヴィア・ハッセー、素晴らしかったですねえ (なんだか、お約束な感想になってすいません) 。エンディング・ロールが流れる時の映像、僕はもうちょっと突き放した感じになっててくれた方が良かったかなあ。シェイクスピアの台詞を、そのまま映画に使うのはどうなんだろ、と思いつつ。実は『ロミオとジュリエット』は、プロコフィエフのバレエの映画化を先に観てるんですよね。随分感動しましたよ。中学か高校の時だと思いますけど。

届いたCD

・Maurice Jarre, Lawrence of Arabia.  The City of Prague Philharmonic Orchestra; Nic Raine.  Tadlow Music.

打楽器の迫力はTelarc録音なんかと比べるとイマイチだけど、オンドマルトノが、はっきり聴こえたのはいいかも。まだ2枚目は聴いていない。OSTは、結構テープもよれてるし、録音もあまり良くない。

・マショー ノートル・ダム・ミサ ヴォーカル・アンサンブル・カペラ (Regulus)

ツイッターで話題になってて、試聴して、即購入というパターン。西洋音楽史で聴く宗教曲で、これだけ「不協和音」(現代的視点から?) が衝撃的な作品というのも少ないような気もしてみたり。Parrot, Vellard, Hilliard, Clemencicに続く、5枚目か。これだけでも、結構バラエティ豊かに、この曲が楽しめそうだ。

読んでいる本

・上杉隆『ジャーナリズム崩壊』 (幻冬舎新書)

たまたま開いたページに本多勝一について書いてあった。まあ確かに、あの言葉使いはどうかと思うってのは確かで、それがワキの甘さになってしまっているというか。でもルポルタージュは、なかなかよく取材してあると思うし、アメリカ人宣教師とのやりとり (『殺される側の論理』) は目を開いてくれるけれど。

で、この上杉氏の本の内容は、今ではツイッターなどから広く知られるようになったと思うのだけれども、この本が出た頃は、例えば記者クラブが海外からみて問題視されていることの意味が分からなかった。読みやすそうだし、具体例がたくさんあがっていそうなので、スキマ時間に楽しく読めそうだ。

2011年1月27日木曜日

久しぶりに漫画を買った

・『漫画少年版 ジャングル大帝 普及版』(1-2)

僕は熱烈な手塚ファンではないのだけれど、これだけは小学生の頃から読んでいた。おそらくテレビアニメ--再放送で、随分画質も劣悪なものだった--を観て、そこから興味をもって高岡駅前の書店で偶然発見した全集版を購入し (何故か第3巻のみ)、それを愛読したという経緯だったと思う。その後、全集に入るにあたってセリフが変わったり、絵が書き換えられていたことを、何かの本で知った。また全集版解説にあるようにクライマックスに至っては原稿が散逸し、藤子不二雄の筆も入っている。ということで、一度、元の形を読んでみたいなあと漠然と思ってたところ、たまたま復刊ドットコムのDM経由でこれを発見し、なかば衝動買い的に入手したもの。「普及版」とはいえ、2巻で4,200円は、マンガ本としては、かなり高価だと思う。

まあでも、いろんなところがカラーだったり三色刷りだったり、そっちの方のインパクトもあって、買って良かったかなあと思った次第。それと、こんなに文字による説明がクドいマンガだったっけ?と思った。活字だと、そういうまだるっこしさっていうのは気がつかなかっただけなのかな?

しかし『がきデカ』とか『ふたりと五人』が好きだった僕が、こういう健全?なマンガに出会った時というのは、ある意味大きなショックを感じたに違いないと、いまにして思う。 そういう点でも思い出深い一作。その後、古いアニメソングから『鉄人28号』 (秋田書店版) を読み始めたのは、中学くらいだったかな。僕のまわりは『キン肉マン』やら『三国志』やら『キャプテン翼』だったのかもしれないけど。


2011年1月8日土曜日

ゴダールなど

映画『気狂いピエロ』

なるほどねえ。音楽が入ってブツっと切れるのは、一種のスタイルとして慣れたところがあります。『勝手にしやがれ』のインパクトが大きかったので。まあでも、アンダースコアかと思ったらミュージカル風に展開したり、映画における音楽の機能って何よとか、モンタージュっていうけど、いかようにも解釈できるカットを入れたり、ディアローグを入れたり、ずいぶんポエティックだねえ。まあ筋的にはたわいのないものだけど、スタイリッシュな扱いを受けているということか。

映画『スターウォーズ』(エピソード4)

僕にとってはこの作品こそ「元祖スターウォーズ」。しかし、かなりしばらく観てなかったことに気づかされた。筋の詳細について全く覚えていない。帝国の逆襲、エピソード6は、大学寮のテレビで何度も観たのだけれど。

この作品は確かにオーケストラを、もう一度ハリウッドの主流スコアのためのメディアとならしめた作品だといえるのだろうけど、これほど人間的な宇宙生活空間を、さも当たり前のように存在するために、異様な労力をかけているところにインパクトがあったように思う。

2011年1月6日木曜日

正月に見た番組

久しぶりにまとまった休みとなった正月に、以下を見ました。mixi日記のコメントには「正月早々暗い話で」という一言がありました。実は全くそういうことを考えずに、夢中になってたようです。

・JFK:アメリカを変えた3発の銃弾 (ヒストリーチャンネル)

暗殺が行われた直前からのテレビ映像を、時間・年代順にハイライトして次々と流す番組。静かながらBGMが流れているところが若干気になるが、ナレーションなしで進めていく。昼のメロドラマから臨時ニュースに切り替わる様が衝撃的。でも最初の一報の後はコマーシャルや番宣も放送されてたんだね。そして、ケネディ暗殺の瞬間は中継されてなかったということも、恥ずかしながら知りませんでした。例のカラー映像が放送されたのは、ずっと後のことだったんだねえ。

また暗殺者とされたオズワルド容疑者に対する取り調べが、かなり強引であったことを思わせる節があり、報道に推定無罪が全く機能していないというところは、現在だから分かる視点なのかもしれない。特に後者の問題は、結局オズワルドを死に至らしめた遠因にもなったのではないか。もちろんCIAの陰謀説 etc. など、様々な憶測が、その後大きくクローズアップされたことも紹介されている。

実はオズワルドが銃殺された時のテレビ映像というのは初めて見たので、けっこう衝撃的だった。直後の報道陣の混乱ぶりというのも生々しい。

CATVをデジタルのアカウントにした後の「お試し視聴期間」中に、このヒストリーチャンネルを見られたのはラッキーだったと思う。

2011年1月5日水曜日

今年もよろしくお願いします。

今日からお仕事の方も多いことと思います。張り切ってまいりましょう。

さて、松平敬さんのブログで、2011年アニヴァーサリーという記事を発見。

アメリカの作曲家だと、こういう人が関係しているようです。

生誕100年
アラン・ホヴァネス 1911-2000
ジャン・カルロ・メノッティ 1911-2007

生誕80年
アルヴィン・ルシエ 1931-

没後30年
ハワード・ハンソン 1896-1981
サミュエル・バーバー 1910-1981

以下、正月にいろいろ眺めたり、観たりしたものの記録です。

・菊地成孔『ユングのサウンドトラック』、イースト・プレス。

確か中田書店で購入したと思う。映画音楽の本については、ちょろちょろ集め始めていて、おそらくこれも、タイトルに反応して買ったんだろうと思う。資料的な価値で買う本と、視点的に惹かれるところがあって買う本という二分法にすれば、おそらく後者。もちろん前者がない訳ではないけれど、やはり音楽家がどう考えるのかっていう文章は、僕自身が音楽家であるつもりであるが故に、知りたいという感情が起こってくるのだろう。僕自身ゴダールの映画について知っているなどとは、とても言えないけれど、それを含めれば、きっかけづくりの本ともいえる。

・三留まゆみ監修『ブライアン・デ・パルマ』、洋泉社。

一応音楽のエッセイもあるけど、あんまり音楽プロパーな内容ではない。サントラのジャケットが並んでて期待させるんだけど。本全体としては文献案内がないのが不満かな。

・田之倉稔『モーツァルトの台本作家:ロレンツォ・ダ・ポンテの生涯』

チャールズ・ローゼン『ピアニスト・ノート』、ルース・タトロー『バッハの暗号』も面白そうだったけど、今回はこれを。アピア富山東店にも、なかなかいい本が置いてある。

・映画『追想 (Anastasia) 』

「今頃そういう感想かよ」と言われると困るのですが、素晴らしい映画でした。ハリウッド映画は音楽付けすぎでお涙頂戴? いいじゃん、別に。Foxのアニメとはエンディングが違ってますね。

・映画『ザ・ディープ』

そもそも宝探しにロマンっていう設定に共感できないのは、おそらくいまどきの大人が、この映画でそれをやってるからなんでしょうか。そこが『パイレーツ・オブ・カリビアン』のように、多少マンガチックでも受け入れられる路線と違うのかもしれません。音楽はジョン・バリー。謎解きの部分は、2時間サスペンスっぽいところもあるなあ。

・映画『ショーシャンクの空に』

あれ、これ一部だけ観たことありました。でも最初から最後まで観たのは初めてかもしれません。ああ、こういう話でしたか。映画って、やっぱり台本なんですかねえ。映像的なスペクタクルも、脱出劇的スリルというのもないし。最終的に残るのが友情と希望ってことなんでしょうね。ただ preachy に感ずる人もいるかも。音楽はトーマス・ニューマン。アカデミー作曲賞ノミネートなんですね。