【連載】県立図書館「廃止」を問う(2)=そこにポリシーはあるか/神奈川
要するに「経費削減のため」だけじゃダメってことでしょうね。大学でもILL (図書館間相互貸借) はありますけど、あれはお金もかかるし、1週間は待たないといけない。急ぎの調査には間に合わないですね。その場で一気に見られる、複写をしてもらえることの便利さは、郷土史調査なんかでも、大いにあるものです。
そして、本を眺めるブラウジングの面白さは、実際に図書館を使ったことのある方であれば、どなたも体験されていると思います。県立は本当はLPも大量に持っているので、そこも開架にしてほしいというのが本音ではありますが、整理が大変なので (利用者の人が自分で棚に戻すようにしておくと、間違った場所に戻した場合大変…) 、そこまでは望みません。ただ、データベースで探すのはやっぱり面倒だし、思わぬ資料を発見するのは、本でもCDでもレコードでも同じなんですね。
視聴覚資料の問題は、聴くのに時間が必要だということです。もちろん読むにも時間はかかりますが、例えばオペラ1曲を聴くには2時間以上はかかる。図書館から借りることができれば、例えば夕飯後にゆったりリビングのステレオで楽しめます。図書館だとヘッドフォンだし、閉館時間には帰らないといけない。これはやっぱり不便です。極端な例を言えば、紅葉坂を上って図書館の中でワーグナーの《指環》を聴くには何回通うんだろう、とか。
[2013.2.1 追記] 県立図書館内での「閲覧」もできないようになると、「紅葉坂を上って図書館の中でワーグナーの《指環》を聴く」ことは、そもそもできなくなるのですね。横浜市立図書館は視聴覚資料の貸出を行っていないので、実質的には「死蔵」状態になりそうです。聴けるとしても、市立図書館内のブースに通うことになるのでしょうか???
一方、6点の視聴覚資料を3週間借りられるのが県立図書館のポリシーですから、例えばワーグナーの《指環》4部作も、3週間あれば、ゆっくり家で楽しめますよね。この違いは大きい。しかもあそこの「佐藤コレクション」はワーグナーの宝庫です。そういった資料は、やっぱり館内使用だと、ゆっくり楽しめませんね。
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