2024年3月24日日曜日

アメリカの音楽:18〜19〜20世紀 (MIA-117)

The Society for the Preservation of the American Musical Heritage MIA 117.

BENJAMIN FRANKLIN (1706-1790)
Quartetto for Three Violins and Cello
PLAYED BY
MEMBERS OF THE ROYAL PHILHARMONIC (LONDON)

SIDNEY LANIER (1842-1881)
Wind Song (Flute solo), Blackbirds (Flute and Piano)
Danse des Moucherons (Flute and Piano)
PLAYED BY
SEBASTIAN CARATELLI, Flutist and RAYMOND VIOLA, Pianist

CHARLES T. GRIFFES (1884-1920)
Two Sketches for String Quartet Based on Indian Themes
PLAYED BY
THE DELME STRING QUARTET (LONDON)

収録作品=ベンジャミン・フランクリン:3挺のヴァイオリンとチェロのための四重奏曲、チャールズ・T・グリフィス:《弦楽四重奏のための2つのスケッチ》(インディアンの主題にもとづく)、シドニー・ラニアー:《風の歌》、《からす》、《ブヨの踊り》
演奏=ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団メンバー (フランクリン作品)、デルメ弦楽四重奏団 (ロンドン) (グリフィス作品)、セバスチャン・カラテッリ (フルート)、レイモンド・ヴィオラ (ピアノ) (ラニアー作品)


最近個人所有のコレクションからアメリカ音楽関連の音源を譲り受けた。CRIのレコードも多く、そちらはSpotifyなんかで簡単に聴けるしライナーもNew World Recordsのサイトから簡単にダウンロードできる。しかし中には入手が難しいものもあり、これもその1枚といえる。Music in Americaのシリーズは一般発売されておらず、もっぱら図書館に納入されていたアメリカ音楽のシリーズだ。アメリカ音楽遺産保存協会というのだろうか、カール・クリューガー (アメリカ国会図書館サイトの情報によると、彼は「アメリカ人指揮者」だそうだ) が創設し、運営したということになっているらしい。クリューガーが指揮した音源については、Bridge レコードがいくらかCD化している。ただ、CD化されていない音源も多い。

このレコードの場合は、シドニー・ラニアーのフルート作品が、珍しい音源といえそうで、ベンジャミン・フランクリン(開放弦の響きが面白い曲)とグリフィス作品については、コホン弦楽四重奏団による Vox Box レーベルの録音がいまでは入手できる (→Amazon)。

作品として聴いて面白いのは、そうは言ってもグリフィスの《弦楽四重奏のための2つのスケッチ》(インディアンの主題にもとづく) だろう。いわゆる「インディアニスト」の流れの作品で、マクダウェルの《インディアン組曲》と比べると、若干第2曲に下行音型に先住民音楽特徴があるとはいえるが、第1楽章の、神秘的でメランコリックな特徴はマクダウェルと共通したところがある。ただ、おそらくより悲哀のこもった響きがするあたり、コロニアリズムから脱したいという欲求が聴けるのか、どうか(難しいかなあ)といったところだろうか。

ラニアー作品は、米国産無伴奏フルートのレパートリーとして《風の歌》が貴重なのかな、という感じがする。残りの2作品は、学生なんかが取り上げるコンサート小品としては面白いのかもしれない。

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