2010年4月18日日曜日

富大授業概略

富山大学で行った授業について

・全学部の学生が対象で、170人の大クラスであった。

・音楽にに詳しい学生も数人いたが(大学オケ所属と思われる者、現在は工学部だがピアノを習っていた経験のある学生、ジャズ研究会に所属している学生、ロックについて、かなりマニアックな知識をもっている学生など)、基本的には、高校までの音楽の時間で音楽を知っている、あるいはマスコミやネットメディア、携帯電話等から音楽を愛好する学生という前提で授業を行った。

・シラバスにみられるように、授業は基本的な音楽概念を扱い、それらを実際に音楽を聴きながら考えさせるものであった。

・概念的な部分について実際の作品を多く聴かせる場合、音楽ジャンルの枠にとらわれることなく、幅広い音源を選ぶことを心がけた。たとえば複合拍子の説明にはジブリ・アニメーションのテーマソングを使用したし、音楽の概念を問う場合には現代音楽も積極的に使用した。声域の広さを体感するため、チベット仏教の一部を聴かせたり、《魔笛》の<夜の女王のアリア>を使ったこともある。

・クラシックの「解釈」について学ばせるため、同一曲の聴き比べを行う授業を一度行ったが、大変好評だった。テレビ番組の「芸能人格付けチェック」のようだと喜んだ学生もいたし、「同じ曲を2つ聴いて違いが分かるか不安だったが、思っていたよりも違っていて驚いた」というコメントが寄せられた。

・こちらの方でもテンポやアーティキュレーションの違いが明確に分かるものを選んだにせよ、学生の感性の鋭さには感心させられた。こちらが普段考えていないような解釈に踏み込んだ学生もあり、私自身の学びが多い授業であった。

・基本的に教師が一つの音楽観に学生を閉じこめることがないようにし、たとえば現代音楽を聴かせるにしても、音楽だと思えないという意見については、決して多くはないが、真剣に音楽と考えている人もいる。最終的な判断は個人個人の問題だ、というスタンスで望んだ。

・期末テストの答案の下に、「音楽の専門ではないが、音楽にとても興味を持つようになった」と書かれているのが、とてもうれしかった。

・質問については、出欠表のコメント欄に積極的に書いてもらうようにし、次の授業では、まずコメントに答えることを最初30分あまり行った。場合によっては、授業をコメントから構築することもあり、例えば「鯨の声は昔からあるというが、音楽のルーツになるのだろうか」という趣旨のコメントから、音楽の起源について、純粋な想像の世界ではなく、考古学で行われている成果、あるいは動物生理学で進められている動物の音反応について、テレビ番組を使いながら紹介した。

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